スターベース東京のブログ

スターベース東京のブログです。店頭の様子や機材情報を中心に書いていきます。不定期更新。

【TOA-130N + TOA-35レデューサー0.7×】TOAは撮影もすごいです!!

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TOA-130NS + TOA-35レデューサー0.7× + Canon EOS6D(ノーマル) ISO-2000 4分×66枚

 

 ◇概要

TOA-130Nは対物レンズが同一で接眼部の異なるTOA-130NS(通常仕様)とTOA-130NFB(大型仕様)があります。今回はTOA-130NSを使っての撮影です。

 

中心像が実用上無収差で、極めてシャープな眼視を堪能できるTOA-130N鏡筒ですが、各種補正レンズを使えば天体写真用としても隅々まで引き締まった星像が得られます。今回使ったTOA-35レデューサー0.7×TOA-130Nの焦点距離を1000mm(F7.7)→698mm(F5.4)と短縮し、同時に35mmフルサイズをカバーするΦ44mmのイメージサークル全面でεシリーズとほぼ同等の結像性能です。(スポットダイアグラムでの比較です。実際には、屈折式であるTOA等と反射式のεシリーズでは星の写り方が異なります)

 

焦点距離700mmというと、フルサイズのカメラを使えば大型のメシエ天体などをちょうどよく収められ、一方では小型センサーでの深宇宙の撮影にも使える「ほどよい画角」ですね。そんな「焦点距離700mm前後が良い」という希望と「F値も明るい方が良い」「屈折望遠鏡らしい、星に十字の回折光条の発生しない写りが望ましい」という希望を同時に叶えようとすると、ずばり

【12cm~15cmほどの大口径屈折望遠鏡 + レデューサー】

が解になります。今回の組み合わせはそれを非常に高いレベルで満たしています。

 

 

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TOA-130NS + TOA-35レデューサー0.7× + Canon EOS6D(無改造) ISO-2000 4分 jpeg撮って出し

 

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TOA-130NS + TOA-35レデューサー0.7× + Canon EOS6D(無改造) フラット画像

 

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等倍画像



※上の3枚は撮影時の向きのままです。トップ画像では北を上にしています

 

※星の少ない領域で分かりづらくてすみません!

 

ご覧のように隅々まで星が点像(小さい円形)を保って写っています。青ハローや赤ハローも発生しないので、トップ画像のように強調処理を掛けた後は星の色合いが素直に表現しやすいのも◎です。

TOAシリーズは眼視最強の屈折望遠鏡として有名ですが、実はこのような撮影性能も非常に高いレベルで有していて、上でご紹介した「焦点距離700mm前後」「F5台」「屈折望遠鏡の星像」を兼ね備えた数少ない鏡筒でもあります。天体撮影のためにTOAシリーズの鏡筒をお選びになるお客様も多くいらっしゃいます。

TOA-35レデューサー0.7×はしばらく在庫切れとなっていましたが、この度再入荷しました!各鏡筒に最適化されたスペーサーリングとのセットがお買い得です。

TOA-130NS、TOA-130NFB は「130セット

・TSA-120とTOA-150Bは「150セット

 

 

↓中央部分の等倍切り出しです。(1800×1200px)

AI技術等を使わず、古典的な画像処理のみで軽めに仕上げています。上空の気流次第ではもっと詳細を写せるはずです。

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7月12日(月)からの営業につきまして

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スターベース東京は、7月12日からの緊急事態宣言中も引き続き上記のスケジュールで営業いたします。変更となる場合はまたご案内いたします。

 

引き続きのお願いですが、お客様には体調の優れない時はご来店をお控えいただくとともに、ご入店時の検温や手指消毒、マスクの着用など感染対策をお願い申し上げます。なお店内混雑状況によっては一時的にご入店をお待ちいただく場合もございます。

 

引き続きご不便をお掛けしてしまいますが、どうぞよろしくお願いいたします。

【ε-130D + εエクステンダー130D】イプシロンの可能性を拡げる新製品!

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ε-130D + εエクステンダー130D + Canon EOS6D(IR改造) ISO-2000 4分×20枚




 ◇概要

ε-130Dは基本状態で焦点距離430mm F3.3ですが、補正レンズをεエクステンダー130Dに交換して焦点距離650mm F5.0とした状態でも中心から周辺まで均一にシャープな像が得られます。鏡筒側で焦点距離を伸ばすことでアンダーサンプリングを回避し、基本状態では得られなかった天体の細部を高解像に撮影できるのが魅力です。

 

 

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ε-130D + εエクステンダー130D + Canon EOS6D(IR改造) ISO-2000 4分 jpeg撮って出し

 

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ε-130D + εエクステンダー130D + Canon EOS6D(IR改造) フラット画像

 

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等倍画像

※上の3枚は撮影時の向きのままです。トップ画像では北を上にしています

 

フラット画像は以前ご紹介した「鏡筒の対物フード先端にPCモニタを当てる方法」で撮りましたが、今回もこれでピッタリ補正ができました。デジタル一眼レフカメラのミラーボックスケラレの影響もあまり感じず、後処理が行いやすい印象を受けました。

 

εシリーズの鏡筒は基本状態では

・Fが明るいので比較的短時間の露出でもしっかり写る

・短焦点なので追尾エラーが見えにくい

という性質があり、ベテランの方はもちろん、これから本格的な天体写真に取り組んでみたいという方にもお勧めです。今回発売となったεエクステンダーはタカハシの他のエクステンダーよりもレンズ枚数が多い分高価ではありますが、ε鏡筒に「F5前後で周辺までシャープ、しかも気流条件等によっては基本状態より(写野が狭くはなりますが)より細かい部分まで写せる」という新しい魅力を吹き込み、同じ対象を撮るにしても異なるアプローチができるようになるアクセサリーだと思います。すでに鏡筒をお持ちの方にはぜひともお勧めです!
 

 

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FC-100DC+経緯台で木星・土星を見ました!

6月も中旬に差し掛かり、もうじき夏至…夜が短いのは残念かもしれませんが、いよいよ夜半過ぎに木星土星が輝く季節になりましたね!今回はこちらのセット

 

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FC-100DC+経緯台SBセットII を使って、これらの惑星をじっくり眺めてみました。手動式の経緯台なので付属の6×30ファインダーを覗きながら天体を導入し、追尾は微動ハンドルを回して行いました。

 

※覗きやすくするために 天頂プリズム31.7MC を併用し、私(新宿)の持っているアイピースから4本を選んで使いました。FC-100DCは焦点距離740mmなので、倍率は740をアイピース焦点距離[ミリ]で割った値になります。

※夜半過ぎから始めて薄明開始頃まで夢中で望遠鏡をのぞいていたら、足首などの露出した場所をたくさん蚊にさされてしまいました…虫除け対策はしっかり行ってから星空をお楽しみください!

※どの倍率でも

・遮光効果のある布を被って覗く

・少なくとも1分以上は対象を凝視する

ことで、惑星の場所ごとの色の違いや細かい模様が格段に良く見えるようになりました。前者は特に有効です。寒い時期はアイピースが曇ったりとデメリットが目立ちますが、これからの暖かい季節は、周囲に怪しまれない程度に、遮光布を被ると良く見えます。

 

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タカハシ LE 18mm (41倍)

「口径ミリ数の半分程度」となる低めの倍率です。木星は本体に縞模様があることとその向き、ガリレオ衛星の存在が分かります。土星には環がきちんと見えます。ただしどちらも小さく、しかも惑星面は明るすぎて色合いがあまりよく分かりませんでした。惑星観察を楽しむという倍率ではないようです。

今回は市街地での観察だったのでそのように感じましたが、もし天の川の見えるような夜空の暗いところへ持ち出してこのアイピースを使ったならば、背景に無数の恒星が散らばる中に惑星が存在感を持って浮かび上がり、煌びやかで心打つ景色になったのではないかと思います。

 

ニコン NAV-7SW (106倍)

「口径ミリ数の1倍程度」で望遠鏡のシャープさが活きる標準的な倍率です。今回は100倍程度で、この状態では"ピンと伸ばした手の小指の幅"が、木星の直径や土星の環の直径とだいたい同じくらいになります(これを基準に他の倍率での見え方もイメージできるので便利です)。木星はもちろん、それよりも暗い土星でさえ視野の中ではとても明るく見えました。惑星像はキレッキレ、ゾクゾクするほどシャープで、非常に心地よい解像感を堪能できました。

土星の環のカッシーニの間隙が環を一周していることが最も分かりやすかったのが、この倍率です。

 

タカハシ TAK-3.3UW (224倍)

「口径ミリ数の2倍程度」となり、良質な屈折望遠鏡ではこの辺りが高倍率眼視に推奨されることの多い倍率です。FC-100DCではこの倍率を掛けても望遠鏡側の解像度が眼の分解能と拮抗している感じで、相変わらずシャープで気持ちのよい見え味です。100倍程度の時に比べ、惑星面の明るさがいくぶん落ち着きますので、その表面模様が見やすくなります。木星の縞模様はうじゃうじゃと見え、土星は緯度ごとの色合いの違いがよく分かります。惑星面や環の詳細が一番よく見えると感じたのはこの倍率です。

 

今回は手動式経緯台に載せて使いましたが、TAK-3.3UWの90°という見かけ視界の広さに助けられたのか、追尾が大変という感覚は全く起きませんでした。見かけ視界40°程度のアイピースでは、追尾のために微動ハンドルを回す回数が増えるので、複数人で代わる代わる覗くような用途ではやや使いにくいかもしれません。

 

ビクセン HR1.6mm (463倍)

もともとTOA-130N用に購入していたアイピースで、TOA-130Nでは625倍となりますが私は実用可能と思って日々使っています。今回は、これをFC-100DCに取り付けて覗きました。

倍率が高いので惑星面が暗くなり、場所ごとの色の違いが分かりにくく、しかも200倍程度の時と比べるとぼやけた像になってしまいます。しかも眼球に付着したホコリなどの影が網膜に投影されるので、それを避けながら天体を見る格好になりました。しかしそれでも、覗いた時の「迫力」は桁違いで、圧倒的なリアリティを感じます。200倍程度では地球に立った自分が受動的に惑星像を見ている印象でしたが、この超高倍率ではそれまで地上にいた自分の「足が浮く」感覚、木星土星が自分と同じ宇宙に確かに存在していて、手を伸ばせば今にも届きそうな感覚、が感じられました。これは超高倍率でしか得られない体験だと思います。FC-100DCは小型軽量ながらシャープなフローライト2枚玉で、463倍にも耐えてくれました。

しかし手動追尾がなかなか大変でした…(無理ではありませんが)。こうした超高倍率を使い場合には、できるだけ自動追尾のできる架台に載せたいところです。

 

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以上はすべて私の感想ですが、FC-100DCでの惑星観察では

・50倍前後…惑星用というよりも月面の全体像を見たりするのに使いたい

・100倍前後…キレッキレの像を楽しむのに好適。手動架台に載せて多人数で使いやすい

・200倍前後…惑星面の様子がもっとも分かりやすい

・400倍前後…圧倒的なリアル感、臨場感がある

と感じました。

 

ちょうど本日FC-100DZの受注が再開となりました。青ハローをFC-100DCFC-100DFの約半分に減らしたFCシリーズの完成形と言える製品ですが、FC-100DC(DFもレンズは同じ)でも、上記のように惑星観察を十二分に楽しめますので、この夏の惑星シーズンに導入をご検討ください!ただし月面のようなさらに明るい対象を眺める場合には、FC-100DZの青ハローの少なさが活きて、並べて見比べると差が出ると思います。

 

私は「過剰倍率派」で、HR1.6mmで見た臨場感あふれる惑星像に歓喜しているのですが、どなたでも快適にシャープな像を楽しめるのは、やはり口径ミリ数の2倍程度の倍率までではないかと思います。現状のタカハシアイピースではTOE-2.5mmが最高倍率なので、たとえばTOE-4.0mmやAbbe 4mm、TOE-3.3mmなどをお使いの方で過剰倍率眼視をしてみたい場合は、31.7 2×バロー のような良質なバローレンズを併用するのもありではないかと思います。

 

長くてとりとめのない文章にここまでお付き合いくださり、ありがとうございました!

 

 

【FS-60CB + レデューサーC0.72×】 使いやすい小型・高性能な撮影システム!

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FS-60CB + レデューサーC0.72× + Canon EOS6D(IR改造) ISO-3200 90秒×50枚


 ◇概要

FS-60CBは現行タカハシ屈折望遠鏡で最も小さく軽い(全長440mm / 1.4kg)製品です。本体は焦点距離355mm(F5.9)ですがレデューサーC0.72×を取り付けると焦点距離255mm / F4.2 / イメージサークルΦ40mmとなります。

 

starbase.hatenablog.jp

にもこの組み合わせの作例をアップしていましたが、今回はモザイク合成なしで撮ったものをご紹介します。

 

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FS-60CB + レデューサーC0.72× + Canon EOS6D(IR改造) ISO-3200 90s jpeg撮って出し

 

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FS-60CB + レデューサーC0.72× + Canon EOS6D(IR改造) フラット画像

 

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等倍画像



※上の3枚は撮影時の向きのままです。トップ画像では北を上にしています

 

公称イメージサークルはΦ40mmと、35mmフルサイズをカバーするΦ44mmには満たないのですが、これは周辺減光のためで星像の収束はΦ44mmで良好です。周辺像はごくわずかに色ズレがあるものの(設計通りです)、星像は肥大せず引き締まって写るのでシャープさは維持されています。フラット画像は「鏡筒の対物フード先端にPCモニタを当てる方法」で撮りましたが、これでピッタリ補正ができました。

 

この組み合わせでは焦点距離255mmという短さとF4.2の明るさを兼ね備えているため、オートガイドを使わずとも星を点にしっかり写せるのも魅力です。今回はEM-11TEMMA3に載せてオートガイドは行わずに撮影しましたが、突風の吹いたコマ以外はすべて星が点像でした。極軸合わせは極軸望遠鏡を覗いて「ある程度適当に」合わせましたが、90秒露出の各コマでは星は点に写りました。しかし最初と最後のコマでは星の位置が少しズレていました。オートガイドを使わない場合は極軸合わせの精度が大切ですが、それなりに適当であっても、今回はどうにかなりました…。

 

FS-60CBの魅力は、このようなレデューサー焦点での撮影だけでなく、

・フラットナー 焦点距離370mm F6.2

starbase.hatenablog.jp

・エクステンダー 焦点距離600mm F10

starbase.hatenablog.jp

でも撮影ができること、そして何より、天体望遠鏡の元来の用途である「眼視」に用いてもシャープな像を堪能できることだと思います。写真用のレンズは周辺まで均一であることが大切で、中心像のシャープさは最重要ポイントではありませんが、FS-60CBは各種補正レンズと組み合わせることでそのどちらも満足できます。

 

ただのカメラレンズではない、きちんとした「天体望遠鏡」のFS-60CB。場所を取らないのでずっと手元において使えます。お勧めです…!!!

 

 

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撮影のイメージ (鏡筒バンド80QS + KBプレートQS)


 

 

εエクステンダーの有無による実写比較!

 

εエクステンダーは2021年4月に発売となったεシリーズ初のエクステンダーです。鏡筒にもともと組み込まれている補正レンズを外し、かわりにこちらを取り付けることで、結像性能を損なうことなく焦点距離を1.5倍に伸長します。

 

高性能ですが高価なエクステンダーです。その価格に見合う価値があるのか?見定めてからご購入の判断をされる方も多いと思います。今回の記事では、

 

●εエクステンダーを使うと主焦点の状態に比べて何が良くなるのか?

 

というテストの結果をご紹介します。

 

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物理的に広い画角を得られるようになりF値も明るくできるレデューサーとは異なり、エクステンダーは拡大した分だけF値が暗くなりますから、もしもエクステンダーを使ったときに「ただ星像が拡大されるだけ」であれば、主焦点などで撮影しておいて、後から希望の部分だけをトリミングするような撮影の仕方で十分ということになってしまいます。それではエクステンダーを使うメリットがあるとするならば何か?というと、周辺像の改善などを抜きにすれば「解像力」の向上ということに尽きると思います。

 

星像がわずかな個数のピクセルに収まってしまうようないわゆるアンダーサンプリングの状態でセンサーへ光が届いてしまうと、星からの光をきちんと円形の像で捉えることができなかったり、RGBベイヤーセンサーでは星のまわりに偽色が付いたり星像が肥大したりすることがあります。これらを根本的に解決する手段は(おそらく)

・よりピクセルピッチの細かいカメラに変えたりカラー→モノクロカメラとする

・結像性能を損なわないエクステンダーを使う

のどちらかしかありません。εエクステンダーは後者のための強力なアイテムです。

 

それでは実写画像をご紹介します。今回は作例写真を仕上げるための露出時間を確保できなかったので

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撮影対象=M13(ヘルクレス座

鏡筒=ε-130D(430mmF3.3) / ε-130D+εエクステンダー130D (650mmF5.0)

カメラ=Canon EOS6D(IR改造)

ISO-2000、各コマ20秒露出(M13の中心部が飽和しないように。どちらも統一)

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としました。

 

■全体の構図

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ε-130D + Canon EOS6D(IR改造) / 1枚撮り

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ε-130D + εエクステンダー130D + Canon EOS6D(IR改造) / 1枚撮り

これだけではほとんど差が分かりませんが…

 

 

①420px四方で切り出し

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主焦点

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エクステンダー焦点

どちらも等倍でしっかり解像しています。同じ条件で撮影していますのでエクステンダー焦点のほうが撮影結果が暗くなります。

 


 

②M13をトリミング、同じ見かけの大きさに調整

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主焦点1枚撮り→3倍拡大

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エクステンダー焦点1枚撮り→2倍拡大

①の画像からそれぞれ同じ画角をトリミングし、主焦点の画像は3倍 / エクステンダー焦点の画像は2倍拡大して見かけの大きさを揃えた状態です。ドットの状態を分かりやすくするためにステライメージの「ニアレストネイバー」法で解像度変更をしています。

こうすると差が見えてきます。エクステンダーを使えば主焦点では写らなかった淡い星まで写る…といったことはありませんが、εシリーズ鏡筒のようにF値が明るくシャープでアンダーサンプリングになりがちな鏡筒においては、高性能なエクステンダーを使えば主焦点では限界であった近接した星たちの分離が可能になることが分かります。偽色の影響も相対的に減少しています。

 

 

 

③各々20枚コンポジット&調整

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主焦点20枚コンポジット→3倍拡大

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エクステンダー焦点20枚コンポジット→2倍拡大&トーンカーブ調整

 

各々20枚の画像(総露出400秒)をコンポジットしてから②と同位置でトリミングしました。こちらはより実践的に、画像の拡大はステライメージを使って「バイキュービック」法で解像度変更を行いました。さらにエクステンダー焦点の画像にはトーンカーブ調整を行って主焦点の画像と似た明るさになるように調整しました。

いかがでしょうか。εエクステンダーを使うことで主焦点の限界を超えた「解像力」を得られるということをご覧いただけたと思います。

 

ε-130D、ε-180EDには発売中のεエクステンダーが対応します。ε-160ED用の「εエクステンダー160ED」は今後発売となる予定です。「D」の付かない旧機種のεシリーズ鏡筒には対応エクステンダーのご用意がありません。

 

εシリーズ鏡筒でのクローズアップ撮影には、「トリミング→拡大」ではなくεエクステンダー…おすすめです!!!

 

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【注意】

・今回は鏡筒の温度順応を終えた後に主焦点→エクステンダー焦点、と連続して撮影を行いました。M13は常に天頂付近にありました。このように、なるべく条件の差が出ないように心がけて比較を行いましたが、上空の気流の影響などで本記事の主張を後押しするような補正が掛かっている可能性もあります。

・エクステンダーを使うことによる「解像力」の向上は、一般にはシーイングが良くアンダーサンプリング気味のときほど影響が大きく現れます。冬場の撮影や、超高画素カメラを使った場合などは、主焦点との差が小さくなるかもしれません。

 ・「解像力」という言葉はきちんと定義せずに使っていますのでご了承ください。