スターベース東京のブログ

スターベース東京のブログです。店頭の様子や機材情報を中心に書いていきます。不定期更新。

「正立視」の魅力とプリズム/ミラーの選び方

※10/1 「笠井トレーディング 31.7mm90°DX正立プリズム」 に関して追記しました。

 

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先日のブログでは、笠井トレーディングさん&ビノテクノさんの新製品「EZP」をご紹介しました。このような「正立視」のための製品はすでにいろいろ発売されていますが、今回は

・正立視の魅力

・正立視のためのプリズムやミラーの選び方

を書いていきたいと思います。

 

■正立視の魅力

正立視の魅力は、なんといっても天体が正立(肉眼で見上げたのと同じ向き)で見えることです。それに尽きます。

ほとんどの天体望遠鏡は、そのままアイピースを取り付けて覗くと倒立像(180°回転)に見えます。天頂ミラーと(通常の)天頂プリズムはどちらも像を折り返す効果がありますので、これらを使うと裏像(左右反転)になります。これらのどちらとも異なり、正立視は「肉眼で見たままの向きに見える」のがポイントです。

たとえば月は、肉眼と同じ向きに欠けて見えるのでリアル感が高く、また写真や図(これらは基本的に正立です)と照らし合わせてクレーターをじっくり眺めるのには便利です。惑星は「肉眼で見える向きと…」と照らし合わせることはできませんが、金星の満ち欠けや土星の本体の影が環に落ちる様子などは、実際の太陽との位置関係が視野内でも正しく反映されますのでこれもリアル感の増幅につながります。

さらに、夜空の暗い場所で正立視をすれば、オリオン大星雲のような「写真でよく見る対象」が「いつもの形」で視野内に見えますから、きっと感動も大きくなるものと思います。

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このように、正立視は「リアル感」を最大限に増幅し、天体望遠鏡の中の景色が実際の世界とつながっていることを自然に認識できる、簡単ながら非常に有効な方法ではないかと思います。

 

 

■正立視のためのプリズムやミラーの選び方

 

まずは大前提として、「正立天頂プリズムを使用すると、直視や天頂ミラー使用時より高倍率での”見え味”が低下する場合がある」ということをご認識ください。一般的な正立天頂プリズムでは内部の反射過程で光路の右半分と左半分を反転させて正立像を得ています。その左右の像を誤差ゼロで重ね直すことができないことや、中央の境界になっている部分(プリズムの稜線と呼んだりします)で乱反射が起きたりすることで、どうしても像の劣化が起きてしまいます。またプリズムの中を光が通過するために鏡筒の収差補正にも影響があります。こうした影響は、低倍率での観察に使用する分には気づかない程度に小さく、実用上何ら問題が無いということもありますが、高倍率で観察すると分かる場合があります。

 

そうしたことを踏まえ、正立視を行う場合には

・低倍率専用で使う → 基本的にどれを選んでも大丈夫

・高倍率にも使う → 何らかの方法で像劣化を克服した製品がお勧め

と、まずは希望の倍率によって選び方が変わってきます。

 

以下では当店取り扱い製品を中心に、どのような観点で製品を選んでいけばよいか、フローチャート形式でご紹介します。

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笠井トレーディング 31.7mm90°正立プリズム

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笠井トレーディング 31.7mm90°正立プリズム ¥3,850

まずは(高倍率での厳密な観察を除いて)気軽に正立視を楽しんでみたいという方にオススメの製品です。鏡筒側、アイピース側ともに31.7mm径で、光路長も約78mmと他の製品よりも短いため多くの鏡筒で無限遠にピントが出ます。地上観察に便利な45°傾斜タイプもございます。

 

 

 

笠井トレーディング 31.7mm90°DX正立プリズム

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笠井トレーディング 31.7mm90°DX正立プリズム ¥13,200

高精度なアミチプリズムを採用した本格モデルです。上の製品はプリズムの開口径がΦ21mmですが、こちらはΦ25mmなので、より低倍率・広視野のアイピースでもケラレが発生しにくいという特長があります。低~中倍率でさまざまなアイピースを取り付けて、しっかり長く使いたい場合にはこちらがお勧めです。

 

 

笠井トレーディング&ビノテクノ 31.7mmEZP正立天頂プリズム

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笠井トレーディング&ビノテクノ 31.7mmEZP正立天頂プリズム ¥31,350~

鏡筒側は31.7mm差し込みです。その制約の中で良い高倍率像を得たいという場合には大変オススメの製品です。光路長は109mmですが、前記事でご紹介したようにタカハシ小型屈折鏡筒にも別売りのアダプターによって取り付けが可能です。

一般的な正立プリズムでは避けられない「プリズムの稜線」の影響が無く、鏡筒のF値があまりに明るくなければ高倍率でもガンガン使えますので、50.8mm接続のできる鏡筒に対しても、敢えてこの製品を使うメリットがあります。

上画像の形状(入射=右、射出=左)が標準形ですが、その逆や、両方ペアでの販売もございます。

 

 

 

笠井トレーディング 2インチ90°DX正立プリズム

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笠井トレーディング 2インチ90°DX正立プリズム ¥26,400

こちらは2インチ(50.8mm)差し込み式のアイピースが使えるモデルです。31.7mmアイピースでは焦点距離30mm前後までですが、50.8mmアイピースでは焦点距離50~60mm程度のものまであり、その分だけ倍率を下げて広い視野を眺められます。例えばタカハシ・ミューロンシリーズのような長焦点鏡筒で、オリオン大星雲などを正立で観察したい!という場合には、こちらのプリズムにLE50mmなどを組み合わせて使うのがオススメです。

 

 

 

ビノテクノ EZM

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ビノテクノ EZM ¥70,400~

ビノテクノさんの正立天頂「ミラー」です。プリズムではなく内部の2枚の平面ミラーで正立像を作っており、プリズムでは原理上避けられない色分散が起こりませんから、収差補正の観点からはこれが最強です。標準品はアルミメッキですが+7,700円で銀メッキや誘電体コートも選択できます。鏡筒側も接眼側も2インチ(50.8mm)に対応しています。

高倍率像のキレの良さは、鏡筒本体の結像性能がそのまま生かせるという意味で最高レベルではありますが、2面反射の都合で光路長が長い(本体149.2mm + 付属の31.7アダプター2mm)ために鏡筒によっては取り付けが不可となります。

 

 

 

バーダープラネタリウム 2"/90° Amici(正立)プリズム with BBHS

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バーダープラネタリウム 2"/90° Amici(正立)プリズム with BBHS ¥98,780

反射面に銀メッキを、透過面にはバーダープラネタリウム社の誇るファントムコーティングを施し、究極の正立プリズムを目指して作られた高品質な製品です。光路長は107mmと短めなので、光路長 + 2インチ対応 + 結像性能 の3つを兼ね備えた数少ない製品と言えます。アイピース側は2インチクリックロックが標準装備されており使いやすいのも特長です。本品のほかに、同シリーズで前後がT2(M42ネジ)接続のものもございますので、使い方によってはさらなる光路長の短縮も可能です。

 

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以上、長くなってしまいましたが、正立視を楽しむためのアクセサリーをご紹介いたしました。ご不明な点がありましたら、スターベース東京までお気軽にお問い合わせください!

 

 

 

 

これはすごい…! 新製品「EZP」のご紹介です

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笠井トレーディング & ビノテクノ 「31.7mmEZP正立天頂プリズム」

 

笠井トレーディングさんとビノテクノさんが共同開発した新製品「31.7mmEZP正立天頂プリズム」が入荷したので、展示品にと思い1つ開封し、実際に覗いてみたところ、これはすごい!ぜひお客様にご紹介したい!と思いましたので、このブログ記事を書いております。

 

この製品は、2インチ正立プリズムと同じサイズのプリズムを使用していますが、像質劣化の主要因であるプリズム中央の稜線部分を避けるように光路を配し、「ミラー」ではなく「プリズム」ゆえの光路長の短さと、高い結像性能を両立したものです。

 

今回はTOA-130Nに取り付けて覗いてみました。LE18mm(55倍)では直視と変わらない見え味です(さらっと書いていますが像質劣化を全く感じないということです)。TAK-3.3UW(303倍)では、通常の正立プリズムではピントの山が掴みにくくなるような高倍率ではありますが、このEZPでは直視とほとんど同じ見え方で、月や惑星の細部が「どこまで見えているか」という比較をしても結果にほぼ差がありませんでした。これは驚きです…。

ただし、収束途中の光束がガラスの中を長く通過しますので、これが球面収差に影響を与えます。TOA-130Nは事実上無収差の中心像ですので却って目立ってしまったのかもしれませんが、注意して見ると、焦点外像では赤紫、焦点内像では水色のハローが存在していることが分かります。しかし、焦点像ではこれらがうまく相殺され(?)ハローは見えなくなり、結果として直視にとても近い見え方をしていました。

 

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こちらは、同じくTOA-130Nで、一般的な正立天頂プリズムとEZPのそれぞれを使用して木星を撮影したものです。EZPではプリズムの稜線部分に光が入射しないことによる結像性能の向上効果は明らかです。対物側と接眼側のどちらも31.7mm仕様で、50.8mmアイピースは使えませんが、それを除けば最上位の正立天頂プリズムたちと比べても全く見劣りしない見え味です。

 

EZPは、EZM(正立天頂ミラー)よりも安価かつコンパクトに、しかもできるだけ近い像質で正立視を楽しみたい方には、非常に魅力的な選択肢となることと思います!EZMよりも光路長が短いので、下で取り付け方法をご紹介するタカハシ小型屈折望遠鏡たちや、ミューロンシリーズの鏡筒にはベストマッチです。正立像で夜空の天体たちを楽しみたい!という方は、ぜひ商品ページから詳細な情報をご覧くださいませ。

 

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タカハシ小型屈折望遠鏡への取り付けです。(天頂ミラー50.8が使える鏡筒ならば、天頂ミラー用31.7アダプターのような光路長の短めのアダプターと併用していただければみな無限遠にピントが出ますのでご安心ください。)

 

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FOA-60Q + EZP

・FOA-60Qには、鏡筒に標準付属のアダプターを使って31.7mmへ変換し、その後ろにEZPを取り付けることでこのようなドロチューブ繰り出し量で無限遠にピントが出ます。

・FOA-60は、もっとドロチューブを繰り込まないとピントが出ませんので、この方法では不可です。50.8mmスリーブの出口に対して天頂ミラー用31.7アダプターのような光路長の短いアダプターを接続し、そこにEZPを取り付けてください。

 

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FC-76DCU + EZP

FS-60CB, FS-60Q, FC-76DCU, FC-100DCは小型の接眼体を採用しています。これらの機種では標準付属のリング類では長すぎるため、上図の接続方法となります。

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ドロチューブ後端 → BORG[7911]BORG[7522]BORG[7317]

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※EZPを受けるパーツについて…視力や使うアイピースによっては、BORG[7317]ではなく標準付属の31.7アイピースアダプターでも大丈夫なこともあります。逆により光路長の短いBORG[7314]が必要なケースもありえます。

 

スタッフも実際に使ってみて、とてもよい製品だと感じました。(さっそく一つ購入してしまいました。)EZP、高倍率像を犠牲にすることなく正立で眼視を楽しみたい方にはおすすめです。

 

 

【冷却CMOSカメラ応援】 オリジナル撮影マニュアル配布開始!!!

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フルカラー20ページで豊富な内容が魅力です

 

この度、スターベース東京で【冷却CMOSカメラ】をご購入の方を対象に、新しく作成した「冷却CMOSカメラデビューを応援!撮影~画像処理かんたんマニュアル」の配布を開始いたします!

 

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・本日より、非冷却CMOSカメラをご購入の場合はこれまでと同じ「月惑星~かんたんマニュアル」、冷却CMOSカメラをご購入の場合はこちらの「冷却~かんたんマニュアル」が付属します。

・すでに当店で冷却CMOSカメラをご購入の方はネットショップのお問い合わせフォームより、ご購入時期と機種名を添えてメールにてご請求ください。(本マニュアルを郵送いたします)

・冊子単品での配布や販売はありません。また印刷版のみの発行です。

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こちらも前回の「月惑星~かんたんマニュアル」と同じく、実際に冷却CMOSカメラを使用しているスタッフが執筆したものです。はじめての方でも書かれている通りに設定を進めれば、ある程度のレベルで写真撮影ができるようになります。ただし月や惑星の撮影とは異なり、冷却CMOSカメラの主戦場である星雲や星団の撮影では

・淡い(暗い)

・輝度差が大きい(恒星~星雲中心部~淡い外縁)

・フィルターワークの選択肢が多い

・淡い部分の階調を損なわないような画像処理スキルが必要

といった条件が重なるためにどうしてもハードルが上がります。本冊子はこのようなことを踏まえ、立ち位置を

【すでにデジタル一眼レフカメラで天体撮影をしたことがある方が冷却CMOSカメラデビューするときのサポート資料】

としました。そのため多少の用語の説明は省略しています。また画像処理パートはダーク・フラット補正とコンポジット、その後の「デジタル一眼レフカメラで撮影したような状態に加工する」ところまでとし、画像処理の完成までは踏み込んでいません。ただし撮影時の各種パラメータの意味や推奨値についてはもれなく記していますので、デジタル一眼レフカメラで撮影~画像処理をしたことがある方であれば本冊子をお読みいただくことで冷却CMOSカメラのハードルを乗り越え、カメラのメリットを活かしてたくさんの天体写真撮影をお楽しみいただけるようになることと思います。

冷却CMOSカメラについてはネット上でもたくさんの情報が公開されていますが、これから始めたいというユーザー様にとって最大の難関は質問できる相手がいないということだと思っております。スターベース東京は実際にこうしたカメラを使っているスタッフがいますから、技術的な内容も安心して質問できるのが強みです!(これは取り扱い製品のすべてに言えることですが)お使いになって分からないことがあれば、お気軽にご相談ください。

 

【目次】

・撮影の準備、各種パラメータの意味と設定

 (SharpCapを用いて解説しています)

・オートガイド(簡単に触れています。PHD2使用)

・撮影開始

・ダーク、フラット画像の撮影方法

・コンポジットと画像処理(一部)(ステライメージ9使用)

・フィルターワーク、おすすめ製品の紹介

 

あわせて、これから数回にわたって冷却CMOSカメラの機種ごとの比較やアクセサリーのご紹介なども進めていきたいと思います。

 

それでは、どうぞよろしくお願いします!

【イラストあり】スコープテックの天体望遠鏡3種で土星・木星はこう見えた!

 

先日、税込5万円未満でお求めいただけるきちんとした天体望遠鏡セット STARBASE80 (税込49,500円)の実視レビュー記事をご紹介いたしましたが、実は同じ頃にスコープテックから販売されているもう少し小型の天体望遠鏡3つ

ラプトル50  税込11,000円

ラプトル60  税込19,800円

アトラス60  税込29,800円

も使って土星木星を観察していました。このくらいの口径の屈折望遠鏡は同じような設計や組立であれば「大口径ほどよく見える」のですが、必ずしもすべての方にとって大きな望遠鏡が良い選択になるとは限りません。大きく重い望遠鏡は保管・移動・使用のどれもが大変になりますから、実際にはユーザーそれぞれの環境に合わせ、長くきちんと使い続けられるようなものを選んでいただきたいと思います。

 

この記事では上の3製品についてスタッフが覗き比べをし、「実際にどのように見えるのか」をまとめました。ただし天体望遠鏡の見え味はさまざまな要因で大きく変わりますから、本記事をご覧いただいている方の環境では違った見え味になるかもしれません。あらかじめご了承ください。(※本記事の最下部にこのあたりの内容を再度まとめています)

 

【本編の前に…便利な画像を作ってみました】

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下の記事中では「○○倍で見た様子」という形でご紹介していきますが、それが実際に視野の中でどのくらいの大きさに見えているのか、イメージしにくいと思います。こちらの画像をスマホに保存→プレビューし、大きさのイメージをつかむ助けとしてご活用ください。

 

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ラプトル50 税込11,900円

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ラプトル50

口径50mmの天体望遠鏡セットです。三脚とアイピース(30倍/75倍)、天頂ミラーが付属し、全体重量約1.5kgです。三脚は固定式(望遠鏡との接続部分=高さ約90cm)で、伸ばしたりはできませんが、その分シンプルな造りで非常に軽く、持ち運びやすい製品です。こちらの記事でも紹介しているような覗き穴式ファインダーを使って天体に向けます。惑星を拡大して見るときは、最初に低倍率(30倍)の状態で対象を視野に入れてからアイピースを交換して高倍率(75倍)で観察します。

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上側が北です。天頂ミラーを介しているので実物とは左右逆に見えています

土星は本体と環が明らかに分離して見えます。注意して見ると、土星本体は下半分よりも上半分が濃い色をしていることが分かります。また環は下側で土星の手前を通り、上側では土星の裏側にあることが、なんとなく分かります。環の下側からは土星の本体が少しはみ出ているのも分かります。

 

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上側が北です。天頂ミラーを介しているので実物とは左右逆に見えています

木星は最も目立つ上側の太い縞と、下側の2本の縞のような暗い部分が確認できます。それぞれの縞の間にある明るい帯状の部分は、場所ごとに微妙に色合いや明るさが違うことも分かります。

 

入門用の天体望遠鏡ではありますが、双眼鏡とは倍率がまるで違うため、惑星の拡大観察や月面の観察に使用すればとっても迫力ある姿を楽しめます!

 

 

ラプトル60 税込21,800円

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ラプトル60

 口径60mmの天体望遠鏡セットです。三脚とアイピース2本(35倍/87.5倍)、天頂ミラーが付属し、全体重量約2.5kgです。ラプトル50とは異なりこちらは三脚が伸縮でき、望遠鏡接続部分の高さを約80-128cmで調節できます。ベランダ等で柵があるために三脚を長くしたい場合などには便利です。こちらも覗き穴式ファインダー式で、望遠鏡の筒部分を手で持って見たい方向に向ける仕組みは変わりません。

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上側が北です。天頂ミラーを介しているので実物とは左右逆に見えています

付属アイピースはラプトル50と同じですが、倍率が6:7で大きいのと光量も増しているので、体感的にはもっと大きく見えているように感じます。下側(南側)で環が本体の手前にあり、上側(北側)では奥にあることがきちんと分かります。またカッシーニの間隙にあたる部分は、明確に間隙が見えることはなかったものの、環の一部が暗くなっているように見えました。土星の暗いエリアと明るいエリアの境界には暗めのすじがあることも分かりました。なおこの観察だけ日付が異なりますが、そのために太陽-地球-土星の位置関係が変わり、土星本体の影が環の右側だけに落ちて見えていました。

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上側が北です。天頂ミラーを介しているので実物とは左右逆に見えています

こちらもラプトル50よりも詳細が観察できました。口径は5:6、対物レンズの面積比では44%増しですので、こうした差が効いているものと思います。④のエリアはこの下で紹介するアトラス60では「微妙な濃淡がある」ように見えたのですが、こちらでは倍率が足りないためか、ただぼうっとした平坦なように見えました。

 

 

アトラス60 税込32,800円

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アトラス60

ラプトル60と同じく口径は60mmですが、ハンドルを回すことで微妙な向き調整のできる架台と、(それによって高倍率を掛けても対象を追いやすくなるので)133倍の高倍率用アイピースが標準付属します。(40倍、64倍、133倍の3本と天頂ミラー)三脚は伸縮式です。

こちらの機種はSTARBASE80と同じくオプションで光学式のファインダーを取り付けられます。月や惑星の導入は、本体に備え付けの覗き穴式ファインダーでも十分ですが、肉眼で見つけられないような暗い天体(銀河や星雲など)を探すのには光学式ファインダーがあると便利です。

 

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上側が北です。天頂ミラーを介しているので実物とは左右逆に見えています

133倍という比較的高倍率で観察することで、対象が大きく見えるのと同時に、見えている像の明るさもいくらか落ち着くので元々が明るい土星木星では「見やすい明るさ」となり、表面の濃淡が分かりやすくなります。

 

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上側が北です。天頂ミラーを介しているので実物とは左右逆に見えています

木星では目立つ縞は存在がよく分かりますが、それらに加えて④などの「何らかの模様が存在するような気配」が感じられます。その具体的な模様はよく分かりませんでしたが、均一ではなく微妙な濃淡があるように思いました。これはラプトル60に付属の8mmアイピースを使った場合(87.5倍)では分かりませんでしたので、倍率の違いも効いているものと思います。

 

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価格帯もスペックも標準的ではありますが、天体を見ることに慣れてきて、大気の影響などの条件に恵まれれば、このような惑星観察を楽しめます!この夏~秋から天体望遠鏡を使って「星見」を始めてみませんか…!!

 

■ご紹介したイラストについて

この記事でご紹介したイラストは、精密なスケッチではなく、あくまでイラストです。例えば木星ならば「縞」や「黒い点々」が見えたので記していますが、このイラストと全く同じ位置に・全く同じ形で見えていたのではなく、多少の誤差があることをご了承ください。

天体望遠鏡を使うとき、ただ天体を「眺める」のではなく、表面模様を「観察する」という気持ちを持って接眼レンズを覗くことで、宇宙の神秘的な姿をより一層認識できるようになります。ただし観察には多少の根気強さ・慣れが必要ですので、初めての方にはここまでは見えないかもしれません。何度も覗くうちに見かたのコツがわかってきて、どんどん詳細が観察できるようになります。また大気の状態や近くの熱源の影響も受けますので、見る場所や時間帯を少しずらすだけで見え方が大きく変わることもあります。たとえばスタッフの自宅からは、1kmほど先のビル群のある方向に惑星があるときよりも、大きなビルの無い(ゴルフ場などがある)方向に筒先を向けた時のほうが惑星の細かい模様が見えると感じています。

上空大気は一般には冬よりも夏の方が良いですので、夏場に土星と惑星が見える今年はラッキーです。天体観察はおうちでひっそり楽しめる趣味ですから、ぜひ多くの方に楽しんでいただきたいと願っています。

 

 

【イラストあり】STARBASE80で土星・木星はこう見えた!

今年の夏はご自宅や近くの空地から惑星を見てみませんか?夏の大三角から視線を南へおろすと、やや低いところに輝く「土星」と、それを追いかけるように東(左)から昇ってくるひときわ明るい「木星」。この2つの惑星はビギナー向けの小型天体望遠鏡でもしっかりと見ることができます。

 

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当店オリジナル・口径80mm屈折望遠鏡セット「STARBASE80」です!

 

今回は当店オリジナルのSTARBASE80を使ってこれらの天体を見てみました。目で見た様子を記録するために筆者は人生初めての惑星イラストに挑戦しました…これから上達していく予定です。

 

■STARBASE80の使い方

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STARBASE80は、レンズ式のファインダースコープ(メイン望遠鏡の横に取り付ける照準合わせ用の小さな望遠鏡)が付属しません。鏡筒本体には円形にくりぬかれた小さな突起が2つ(=のぞき穴式ファインダー)あり、これを使って筒先を天体に向けます。接眼レンズは2つ付属し、差し替えることで低倍率(Or14mm:57倍)と高倍率(Or6mm:133倍)を切り替えられますが、まずは低倍率の状態にしておいて、のぞき穴式ファインダーの2つの穴が同心円になるように接眼側から覗き、その2つの穴の重なった先に目標の天体が見えるようにします。するとメインの望遠鏡の視野にも目標天体が見えていますから、あとはピントを合わせればOKです。

この状態(57倍)でも、土星は円形ではなく楕円状であること、木星にはガリレオ衛星が見えるので、一目でそれらの天体と分かります。しかし本当に楽しいのは接眼レンズを交換して高倍率(133倍)にしたときで、以下でご紹介するような見え方になります。

 

 

土星

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上側が北です。天頂ミラーを介しているので実物とは左右逆に見えています

土星は、接眼レンズの視野の中では環の長径が「ピンと前方に伸ばした手の薬指の太さ」くらいの大きさに見えます。パッと見ただけでは本体に環がついている=土星だ!とわかるのですが、それで満足して見るのをやめてしまうのは大変もったいないです。高倍率で惑星などを見るときは、じっくりと時間を掛けることで、最初は全く分からなかった詳細がはっきりと見えるようになってきます。少なくとも1分間くらいは注視してみてください。そのようにすると、この時は

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①環は本体と比べてはっきり白い色をしていること

②本体に対して環は下側(=南側)で手前、上側(=北側)で奥にあり、奥側では本体からの影が落ちているようにみえること

 ※より大口径の望遠鏡で見直したら、影のようなものはもっと小さく見えました。

カッシーニの間隙(環に目立つスキマがあること)

④本体には横(東西)方向にこげ茶色~黒色の縞があり、その上(北)は濃い茶色、下(南)は薄い茶色で緯度ごとに色合いが異なっていること

⑤下(南)側で、土星の輪から本体が少し飛び出していること

が見えてきました。

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このうち②は、観察をした8月2日には左右でほとんど等量に見えましたが、太陽と地球、土星の位置関係が変わると影の落ちる向きも変わるため、8月後半になると片一方だけに見えるようになるはずです。このように日ごとの変化を楽しむこともできます。

③のカッシーニの間隙は、これから数年かけて土星の傾きが小さくなっていきますので、なるべく早くに見たほうが分かりやすいです。4~5年後には環の真横から見る位置関係になるため環は細く線状に見え、ほとんど見えなくなる時期もあります。その後はまた開いていきます。

 

 

木星

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上側が北です。天頂ミラーを介しているので実物とは左右逆に見えています

木星の見かけの大きさは(今の時期は)土星の環まで含めた大きさとあまり変わらず、ピンと前方に伸ばした手の、薬指の太さくらいです。こちらもパッと見ただけでは「横(東西)方向に縞があるので木星だ!」とわかるのですが、せっかくなのでじっくり観察しましょう。縞、といってもどのような色合いか、まっすぐかぐにゃぐにゃしているか、縞の中に目立つ模様は無いか…そうしたことをじっくり観察するとたのしいですよ。この日は

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①上方(北側)はくすんだ肌色で、外側ほど暗くなっている

②その下の薄いこげ茶色の縞は、上下に小刻みにぐにゃぐにゃしながら左右に伸びている

③この縞は左右にスッと直線状に伸びる部分とぐにゃぐにゃした部分が隣接している

④縞の中に黒めの小さい楕円状の模様がある

⑤大赤斑

⑥下部(南側)はあまりグラデーションは無く、均一な印象

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のように見えました。木星は表面の模様が分かりやすいのと10時間ほどで自転していますので、一度しっかり観察して、もし表面に大赤斑や目立つ模様が見えたなら、1~2時間後にもう一度観察するとそれらが移動していることがしっかり分かります。とっても楽しそうではありませんか…?

 

 

■おわりに

長々と書き連ねてしまいましたが、これらはSTARBASE80で実際に見えた惑星の様子ということを強調したいと思います。税込5万円未満の天体望遠鏡でも、ただ天体を「眺める」のではなく、表面模様を「観察する」という気持ちを持って接眼レンズを覗くことで、宇宙の神秘的な姿を存分に楽しめます。ただし観察には多少の根気強さ・慣れが必要ですので、初めての方にはここまでは見えないかもしれません。何度も覗くうちに見かたのコツがわかってきて、どんどん詳細が観察できるようになります。また大気の状態や近くの熱源の影響も受けますので、見る場所や時間帯を少しずらすだけで見え方が大きく変わることもあります。上空大気は一般には冬よりも夏の方が良いですので、夏場に土星と惑星が見える今年はラッキーです。天体観察はおうちでひっそり楽しめる趣味ですから、ぜひ多くの方に楽しんでいただきたいと願っています。

 

 

■その他

STARBASE80で高倍率状態で惑星などを観察する時、対象の天体の周囲に赤紫色のにじみが出る位置がベストピントで、惑星の表面模様などが最もはっきり見えます。少しピントをずらすと赤紫色のにじみは消えますが、天体の詳細は見えにくくなります。つまりこの望遠鏡では常に「にじみ」が出た状態で観察していただくことになります。(それでも上のイラストのように見えますが!)

「にじみ」を無くそうとすると、屈折望遠鏡ではより高価なレンズ素材に頼ったり、反射望遠鏡を使ったりする必要があります。見え味は向上しても、価格が上がったり、望遠鏡一式が大きく重くなったりします。そのあたりを踏まえた天体望遠鏡の選び方については、またしっかりご紹介したいと思っています。

 

 

日の出光学の双眼鏡4選! 星空はこう見える!

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今回星空の下へ持ち出した双眼鏡たち。

 

しばらく前ですが、新月期に晴れそうな予報の日がありましたので、日の出光学の双眼鏡たちを持ち出して天の川の見える環境に星見に出かけてきました。もともと私(スタッフ新宿)は 5×21-A+ という機種を持っていたのですが、そのほかの機種もじっくり見比べることでそれぞれの個性がよく分かりましたので、このブログでご紹介したいと思います。

今回は日の出光学の双眼鏡のうち、星空や天体の観察におすすめの

5×21-A5 税込14,800円

5×21-A+ 税込19,800円

6×30-B+ 税込32,800円

8×42-D1 税込40,800円

を使ってみました。

 

5×21-A5 税込14,800円

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5×21-A5(ホワイト×ダークグレー)

実視界11度、アイレリーフ16mm、最短合焦距離2.0m、重さ215g、眼幅調整範囲55~70mm

 

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天体望遠鏡アクセサリーと並べると大きさが分かりやすいでしょうか…?

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横 107mm × 縦81mm × 厚さ 50mm。スマートフォンと並べました

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ソフトケース、接眼キャップ、ストラップが付属。対物キャップはありませんが構造上露出していないので安心です。

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ツイストアップ式見口。

日の出光学のベストセラー Aシリーズ の現行機種です。ヌケが良く、手振れしにくい5倍という低倍率で、さまざまな用途に使えます。ソフトケースごとズボンのポケットに入るくらいの大きさで(※あぶないので実際はやりません!!)しかも軽いので、いつものカバンに常に入れておいて、気になる景色に出会ったときにサッと取り出して使うのには最適です。夜、ふと空を見上げると月がきれい…そんなときにも気軽に使えるので稼働率は抜群に高く、せっかく買ったのにあまり使わなかったということになりにくいのも魅力。プラスチックボディですが各部を可動させてもきしみ・たわみは皆無で堅牢です。対物レンズキャップはありませんが、対物レンズはボディ外面から1cmほど奥まったところに配置されているので不用意に触ることはなさそうです。

 

アイレリーフは16mm。眼鏡を掛けて覗いた場合、眼鏡のレンズを双眼鏡側の目当てに軽く当てるようにする(かなり近づける)と視野のほぼ全体が見渡せます。

 

昼間の景色を見ると非常にクリアで、視野が白く濁った感じがなく快適です。中心から視野周辺までの6割くらいまでは非常に整った像で、そこから外側は穏やかに像がぼやけていきますが、像の崩れ方が滑らかなので不快感を感じることはありません。中心部を注視するような使い方では周辺像質の劣化に気づかないこともありそうです。総合的には「快適」という言葉が似合う、気持ちの良い見え味です。

 

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5×21-A5 で、肉眼で天の川が見えるような環境で、夏の天の川(M8,M20周辺)を見たイメージ。

 

天の川の見えるような環境では、口径21mmではありますが主要な星雲や星団などがしっかりと見えます。こうした淡い対象を見る専用機としては、より大口径の機種(B+やD1など)のほうが適していると思いますが、A5の魅力は高水準の見え味だけでなくコンパクトさも両立している点にあります。常に持ち歩けるメリットは計り知れません。月が雲間から出てくる幻想的なシーンや、旅行先で遠くの景色を見たいとき、カバンからサッと取り出して使える高性能機としてA5は特にお勧めです!

 

 

5×21-A+ 税込19,800円

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実視界11度、アイレリーフ16mm、最短合焦距離2.0m、重さ215g、眼幅調整範囲55~70mm

 

A+とA5は外観および表面的なスペックはほとんど変わりませんが、5倍の低倍率双眼鏡にも関わらずEDレンズを採用し、5倍双眼鏡のフラッグシップともいえるほどの高性能を実現した意欲的な製品です。地上の景色を見ると、対象にピントが合う直前と直後で輪郭の色づきがA5よりも少ないことに気づきます。またピントが合った状態でのシャープさもA+のほうが鋭く感じます。

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5×21-A+ で、肉眼で天の川が見えるような環境で、夏の天の川(M8,M20周辺)を見たイメージ。

 

星を見てもこの傾向は同じで、明るい星にいっそう芯がある、鋭い印象を受けました。ただし周辺像の傾向はA5とあまり変わりません。

※双眼鏡が初めての方にとってはA5とA+の差はほとんど見いだせないかもしれません。いろいろ見比べていて完璧な性能を求める方にはA+がお勧めです。重ねて書きますが、A5でさえ素晴らしくクッキリ・ハッキリした見え味なのです。そこは誤解の無きようお願いいたします!

 

私(スタッフ新宿)はこのA+を初めて覗いた瞬間、想像をはるかに超えたクリアネスに驚き、即買いしてしまいました。それからは常に通勤用バッグに入れています。帰りがけに月が見えたとき、夜景がきれいだなと感じたとき、すぐに取り出してそれらを眺めて幸せな気持ちになります。特に満月は(背景が暗く本体がとても明るいので)このようなスコープ類にとっては難敵ですが、A+では色収差をほぼ全く感じず、月面が肉眼で見るのと同じ色に見えて(=色再現性も◎)、注視すれば大きめの名のあるクレーターたちもしっかり分かります。5×21-A+は、月を見るための専用機としても、カバンに忍ばせておく価値が大いにあると思います!

 

A5やA+で星を見るコツ…これらの機種では双眼鏡を逆さにして持って使うと迷光耐性が向上し、地平線のあたりに明るい光源があってもその影響を受けにくくなります。

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6×30-B+ 税込32,800円

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 実視界8.4度、アイレリーフ20mm、最短合焦距離4.0m、重さ482g、眼幅調整範囲50~70mm

 

イクラスな7~9層マルチコートをレンズのすべての面に施し、明るくクリアな見え味で「ポロ(対物側と接眼側で折れ曲がった形状の双眼鏡)のフラッグシップ」をうたう製品です。輝度差のあるような対象を見ても不快な色付きがなく、また両方の対物レンズどうしが離れている構造のために景色やステージの人物などを見ると立体感を感じやすいのも特徴です。

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レンズは良質なコーティングでヌケが良いです!

 

500gのペットボトルくらいの重さですが、付属のネックストラップは首に当たる部分が太く柔らかい素材なので(嬉しい!)、首にぶらさげて持ち歩いても疲れにくいのも特徴です。前後キャップとソフトケースが付属します。対物キャップはOリングで本体に取り付けられていますが外すこともできます。

 

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6×30-B+と付属品。

アイレリーフが20mmと長いので眼鏡を掛けた方にも覗きやすく、また目幅調整が50mmから可能なためお子様の目幅にも合いやすい造りです。どなたにとっても使いやすい製品だと思います。

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6×30-B+ で、肉眼で天の川が見えるような環境で、夏の天の川(M8,M20周辺)を見たイメージ。

5×21-A5 /A+ やこの後ご紹介する 8×42-D1 よりも見かけ視界は狭めですが、その分、視野の中の「黒でない部分」、つまり星空の景色が強調されるような見え方で、明るめの星雲や星団はきちんと分かります。口径30mmというと、一般に天文用としてオススメされる機種より小さめではありますが、しっかりした造りで像がシャープなのと持ち運びの容易さ、それに昼間の風景などの一般用としての転用も鑑みると、「天体 + 日常」の使い方ならオススメできる機種だと思いました。

 

 

8×42-D1 税込40,800円

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実視界7.5度、アイレリーフ18mm、最短合焦距離2m、重さ688g、眼幅調整範囲57~75mm

 

日の出光学が【星空観察用】として企画した製品です。EDレンズを採用したシャープな像と、金属製で耐久性の高いボディで、星見用としてずっと使い続けられる双眼鏡です。ピント合わせがIF(片目ごと)ではなくCF(両目同時)なので、星空だけでなく昼間の使用も快適です。アイレリーフも眼鏡着用者にとって十分な18mmを確保。

 

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8×42-D1は、5×21-A5 / A+ や 6×30-B+と比べると、同じピント移動(たとえば、近くの景色→無限遠 など)を行う際のフォーカスリングを回す量が大きいように感じました。逆に言えば精密なピント合わせが行いやすいということです。これは星空観察用として、とっても嬉しいですね。

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8×42-D1 で、肉眼で天の川が見えるような環境で、夏の天の川(M8,M20周辺)を見たイメージ。

さすがは「天文用双眼鏡」です。背景が黒く引き締まり、星々は芯があってシャープ、8倍ですが手振れの影響も少なく微光星たちもちゃんと点として結像します。視野の豪華さや視野内に見える星の数がもっとも多いのはこの機種でした。口径が大きい分、淡い星雲などがしっかり分かります。昼間の景色を見ると輝度差のある対象の縁にわずかに黄緑色の色付きが見えましたが、夜、星を見る限りでは全く気づきません。

 

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それぞれの印象をまとめました。

 

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双眼鏡で淡い天体を見ようとするとき、基本的には口径の大きい方がたくさん光を取り込むのでよく見えます。ただし、きちんと作られたシャープで高コントラストな双眼鏡ならば多少の口径差をひっくり返すこともあり、また「日々の生活で使う」「長く使う」ことを考えれば小型軽量の製品のほうが使いやすい…ということもあります。さらには対ゴースト性能などは外見上のスペックからはわからないことも多々ありますので、実際に覗いてみないと評価できません。

 

そのようなバランスを考えつつ双眼鏡を選ぶなら、今回ご紹介した日の出光学の各機種はどれもオススメできる良い製品だと思います。双眼鏡が欲しいな~という方も、双眼鏡にあまり興味の無かった方も、ぜひ日の出光学の双眼鏡を覗いてみていただきたいと思いました!

 

以下ネットショップへのリンクです。

 

5×21-A5 税込14,800円

5×21-A+ 税込19,800円

6×30-B+ 税込32,800円

8×42-D1 税込40,800円

【重要】店頭販売休止のお知らせ(7月30日~)

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日ごろ弊店をご利用くださいまして誠にありがとうございます。

直前のお知らせとなり恐縮ですが、新型コロナウィルスの感染拡大の状況を鑑み、明日30日より当面の間店頭販売を休止させていただきます。お客様におかれましては店頭販売以外の方法(お電話、メール、ネットショップ、FAXなど)にて引き続きご利用いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。