◇概要
FC-76Dシリーズ(DC,DCU,DS)の鏡筒に「76Dレデューサー」を併用すると、焦点距離417mm / F5.5 / イメージサークルΦ36mmとなります。
フローライト2枚玉で月惑星のシャープな像はもちろん、76mmという絶妙な口径でコンパクトながらディープスカイ観望まで楽しめる万能機の「ナナロク」ですが、各種補正レンズの併用によって、天体写真用としてもかなりハイレベルにお使いいただけます。
「76Dレデューサー」併用時は収差補正や周辺光量の点では「FC/FSマルチフラットナー1.04×」に少し及びませんが、それでもF5.5という明るさは強い武器になります。
APS-Cセンサー使用時はフルサイズ換算約650mmとなり、メジャーな天体を画面にちょうどよく収めるのに適した焦点距離です。後述のようにAPS-Cの四隅まではほとんど周辺減光もありませんので、FC-76D + 76Dレデューサーは大変使いやすい組み合わせだと思います。
※スポットダイアグラムのデータもあわせてご覧ください。
◇実写画像とその印象
周辺減光は避けられませんが、「イメージサークルの境界で一気に落ちる」タイプですので、APS-Cの範囲までは光量がほとんど均一であることに注目してください。つまりAPS-Cまでのセンサーをもつカメラならば、フラット補正が容易、もしくは不要であるということですから、初めての方でも比較的気軽に画像処理に取り組んでいただけると思います。
色ハロのない素直で緻密な星像が得られます。イメージサークルはΦ36mmですが、この場合は中央光量比を基準に定まったもので、実はフルサイズの最周辺まで星像はシャープです。星像自体は肥大しておらず、目立つ収差は「色ズレ」だけですので、これはPhotoshop系の「色収差の除去」コマンド等で容易に補正可能です。
本作例もフルサイズセンサーのカメラで撮っていますが、適切なフラット補正と色ずれ補正さえ行えば、フルサイズの全面で均一・色ハロがない・シャープな星像を得られます。
軽量コンパクトのエントリー機という位置づけながら、撮影もハイレベルに対応可能。それがFC-76Dシリーズの強みであると思います。