◇概要
ε-130Dは焦点距離430mm / F3.3の鏡筒です。副鏡(斜鏡)の遮蔽を考慮した実効F値は3.8ほどとなります。
実は眼視にも使えますがメインの用途はやはり天体写真です。εはさまざまな面で「暴れ馬」だと言われますが、このε-130Dは小型・コンパクトで光軸も狂いにくく、フラット補正も小口径屈折望遠鏡並みに容易で、実に使いやすい鏡筒だと感じます。持ち前の速写性と焦点距離の短さから、オートガイドなしでも星を点として写しとめられる可能性も高く、はじめての天体写真用機としても安定した成果を出していただける「身近な」存在になると思います。
実写してまず驚いたことが「フラットが簡単に合った!」です。PCのモニターに白画面を表示させ、そこに白い紙を1枚当てて鏡筒先端を押し当て、カメラ回転方向とピント位置は撮影時のままにして得たフラット画像が、ミラーボックスのケラレ箇所を含めほとんどピッタリ合い、まるで小型屈折鏡筒のフラット補正をしているかのように快適に画像処理に進むことができました。ε-130Dはフラット補正が(そんなに)難しくない!これは皆様にもお伝えしたい本製品の大きなアドバンテージです。
また、今回の撮影に用いた鏡筒は店頭で6年間展示していたものです。今まで何度も鏡筒バンド着脱・移動運搬をし、ミラーにもホコリが視認できるような状態での持ち出しでしたが、ご覧のとおり全面にわたりほとんど均一・シャープな星像が得られました。
ちなみに、この撮影時の光軸は
このような状態でした。光軸の追い込み具合と星像の関係の目安としてご参考にしてください。
※これは鏡筒を筒先が上を向くように立てて撮影したもので、接眼体や銘板の取り付けられた「正面」の向きから「まっすぐ」覗いた状態とは見た目が90度回転しています。
構造上、輸送等によって光軸がずれる可能性はゼロではありませんが、それでも元来イプシロンシリーズは頑丈な構造なので、心配は少ないほうです。
もし光軸がずれても/鏡面清掃の後は、本作例くらいの星像の状態でよければ、完全に厳密に光軸を追い込む必要はありません。※もちろん、さらに光軸を追い込んで、星の形の均一性を高めることもできます!
反射系特有の「星の色乗りの良さ」(十字の光条へ色がにじみ出るので星色の表現をしやすいように思います)、実効Fでも4を割る明るさ、それにEM-11にも搭載可能な軽量コンパクトさが魅力のε-130D鏡筒は、天体写真を撮りたい皆様にお勧めできるトータルバランスに優れる製品です!