◇概要
FS-60CBは現行タカハシ屈折望遠鏡で最も小さく軽い(全長440mm / 1.4kg)製品です。本体は焦点距離355mm(F5.9)ですがレデューサーC0.72×を取り付けると焦点距離255mm / F4.2 / イメージサークルΦ40mmとなります。
にもこの組み合わせの作例をアップしていましたが、今回はモザイク合成なしで撮ったものをご紹介します。
※上の3枚は撮影時の向きのままです。トップ画像では北を上にしています
公称イメージサークルはΦ40mmと、35mmフルサイズをカバーするΦ44mmには満たないのですが、これは周辺減光のためで星像の収束はΦ44mmで良好です。周辺像はごくわずかに色ズレがあるものの(設計通りです)、星像は肥大せず引き締まって写るのでシャープさは維持されています。フラット画像は「鏡筒の対物フード先端にPCモニタを当てる方法」で撮りましたが、これでピッタリ補正ができました。
この組み合わせでは焦点距離255mmという短さとF4.2の明るさを兼ね備えているため、オートガイドを使わずとも星を点にしっかり写せるのも魅力です。今回はEM-11TEMMA3に載せてオートガイドは行わずに撮影しましたが、突風の吹いたコマ以外はすべて星が点像でした。極軸合わせは極軸望遠鏡を覗いて「ある程度適当に」合わせましたが、90秒露出の各コマでは星は点に写りました。しかし最初と最後のコマでは星の位置が少しズレていました。オートガイドを使わない場合は極軸合わせの精度が大切ですが、それなりに適当であっても、今回はどうにかなりました…。
FS-60CBの魅力は、このようなレデューサー焦点での撮影だけでなく、
・フラットナー 焦点距離370mm F6.2
・エクステンダー 焦点距離600mm F10
でも撮影ができること、そして何より、天体望遠鏡の元来の用途である「眼視」に用いてもシャープな像を堪能できることだと思います。写真用のレンズは周辺まで均一であることが大切で、中心像のシャープさは最重要ポイントではありませんが、FS-60CBは各種補正レンズと組み合わせることでそのどちらも満足できます。
ただのカメラレンズではない、きちんとした「天体望遠鏡」のFS-60CB。場所を取らないのでずっと手元において使えます。お勧めです…!!!