しばらく前ですが、新月期に晴れそうな予報の日がありましたので、日の出光学の双眼鏡たちを持ち出して天の川の見える環境に星見に出かけてきました。もともと私(スタッフ新宿)は 5×21-A+ という機種を持っていたのですが、そのほかの機種もじっくり見比べることでそれぞれの個性がよく分かりましたので、このブログでご紹介したいと思います。
今回は日の出光学の双眼鏡のうち、星空や天体の観察におすすめの
・5×21-A5 税込14,800円
・5×21-A+ 税込19,800円
・6×30-B+ 税込32,800円
・8×42-D1 税込40,800円
を使ってみました。
■5×21-A5 税込14,800円
実視界11度、アイレリーフ16mm、最短合焦距離2.0m、重さ215g、眼幅調整範囲55~70mm
日の出光学のベストセラー Aシリーズ の現行機種です。ヌケが良く、手振れしにくい5倍という低倍率で、さまざまな用途に使えます。ソフトケースごとズボンのポケットに入るくらいの大きさで(※あぶないので実際はやりません!!)しかも軽いので、いつものカバンに常に入れておいて、気になる景色に出会ったときにサッと取り出して使うのには最適です。夜、ふと空を見上げると月がきれい…そんなときにも気軽に使えるので稼働率は抜群に高く、せっかく買ったのにあまり使わなかったということになりにくいのも魅力。プラスチックボディですが各部を可動させてもきしみ・たわみは皆無で堅牢です。対物レンズキャップはありませんが、対物レンズはボディ外面から1cmほど奥まったところに配置されているので不用意に触ることはなさそうです。
アイレリーフは16mm。眼鏡を掛けて覗いた場合、眼鏡のレンズを双眼鏡側の目当てに軽く当てるようにする(かなり近づける)と視野のほぼ全体が見渡せます。
昼間の景色を見ると非常にクリアで、視野が白く濁った感じがなく快適です。中心から視野周辺までの6割くらいまでは非常に整った像で、そこから外側は穏やかに像がぼやけていきますが、像の崩れ方が滑らかなので不快感を感じることはありません。中心部を注視するような使い方では周辺像質の劣化に気づかないこともありそうです。総合的には「快適」という言葉が似合う、気持ちの良い見え味です。
天の川の見えるような環境では、口径21mmではありますが主要な星雲や星団などがしっかりと見えます。こうした淡い対象を見る専用機としては、より大口径の機種(B+やD1など)のほうが適していると思いますが、A5の魅力は高水準の見え味だけでなくコンパクトさも両立している点にあります。常に持ち歩けるメリットは計り知れません。月が雲間から出てくる幻想的なシーンや、旅行先で遠くの景色を見たいとき、カバンからサッと取り出して使える高性能機としてA5は特にお勧めです!
■5×21-A+ 税込19,800円
実視界11度、アイレリーフ16mm、最短合焦距離2.0m、重さ215g、眼幅調整範囲55~70mm
A+とA5は外観および表面的なスペックはほとんど変わりませんが、5倍の低倍率双眼鏡にも関わらずEDレンズを採用し、5倍双眼鏡のフラッグシップともいえるほどの高性能を実現した意欲的な製品です。地上の景色を見ると、対象にピントが合う直前と直後で輪郭の色づきがA5よりも少ないことに気づきます。またピントが合った状態でのシャープさもA+のほうが鋭く感じます。
星を見てもこの傾向は同じで、明るい星にいっそう芯がある、鋭い印象を受けました。ただし周辺像の傾向はA5とあまり変わりません。
※双眼鏡が初めての方にとってはA5とA+の差はほとんど見いだせないかもしれません。いろいろ見比べていて完璧な性能を求める方にはA+がお勧めです。重ねて書きますが、A5でさえ素晴らしくクッキリ・ハッキリした見え味なのです。そこは誤解の無きようお願いいたします!
私(スタッフ新宿)はこのA+を初めて覗いた瞬間、想像をはるかに超えたクリアネスに驚き、即買いしてしまいました。それからは常に通勤用バッグに入れています。帰りがけに月が見えたとき、夜景がきれいだなと感じたとき、すぐに取り出してそれらを眺めて幸せな気持ちになります。特に満月は(背景が暗く本体がとても明るいので)このようなスコープ類にとっては難敵ですが、A+では色収差をほぼ全く感じず、月面が肉眼で見るのと同じ色に見えて(=色再現性も◎)、注視すれば大きめの名のあるクレーターたちもしっかり分かります。5×21-A+は、月を見るための専用機としても、カバンに忍ばせておく価値が大いにあると思います!
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A5やA+で星を見るコツ…これらの機種では双眼鏡を逆さにして持って使うと迷光耐性が向上し、地平線のあたりに明るい光源があってもその影響を受けにくくなります。
■6×30-B+ 税込32,800円
実視界8.4度、アイレリーフ20mm、最短合焦距離4.0m、重さ482g、眼幅調整範囲50~70mm
ハイクラスな7~9層マルチコートをレンズのすべての面に施し、明るくクリアな見え味で「ポロ(対物側と接眼側で折れ曲がった形状の双眼鏡)のフラッグシップ」をうたう製品です。輝度差のあるような対象を見ても不快な色付きがなく、また両方の対物レンズどうしが離れている構造のために景色やステージの人物などを見ると立体感を感じやすいのも特徴です。
500gのペットボトルくらいの重さですが、付属のネックストラップは首に当たる部分が太く柔らかい素材なので(嬉しい!)、首にぶらさげて持ち歩いても疲れにくいのも特徴です。前後キャップとソフトケースが付属します。対物キャップはOリングで本体に取り付けられていますが外すこともできます。
アイレリーフが20mmと長いので眼鏡を掛けた方にも覗きやすく、また目幅調整が50mmから可能なためお子様の目幅にも合いやすい造りです。どなたにとっても使いやすい製品だと思います。
5×21-A5 /A+ やこの後ご紹介する 8×42-D1 よりも見かけ視界は狭めですが、その分、視野の中の「黒でない部分」、つまり星空の景色が強調されるような見え方で、明るめの星雲や星団はきちんと分かります。口径30mmというと、一般に天文用としてオススメされる機種より小さめではありますが、しっかりした造りで像がシャープなのと持ち運びの容易さ、それに昼間の風景などの一般用としての転用も鑑みると、「天体 + 日常」の使い方ならオススメできる機種だと思いました。
■8×42-D1 税込40,800円
実視界7.5度、アイレリーフ18mm、最短合焦距離2m、重さ688g、眼幅調整範囲57~75mm
日の出光学が【星空観察用】として企画した製品です。EDレンズを採用したシャープな像と、金属製で耐久性の高いボディで、星見用としてずっと使い続けられる双眼鏡です。ピント合わせがIF(片目ごと)ではなくCF(両目同時)なので、星空だけでなく昼間の使用も快適です。アイレリーフも眼鏡着用者にとって十分な18mmを確保。
8×42-D1は、5×21-A5 / A+ や 6×30-B+と比べると、同じピント移動(たとえば、近くの景色→無限遠 など)を行う際のフォーカスリングを回す量が大きいように感じました。逆に言えば精密なピント合わせが行いやすいということです。これは星空観察用として、とっても嬉しいですね。
さすがは「天文用双眼鏡」です。背景が黒く引き締まり、星々は芯があってシャープ、8倍ですが手振れの影響も少なく微光星たちもちゃんと点として結像します。視野の豪華さや視野内に見える星の数がもっとも多いのはこの機種でした。口径が大きい分、淡い星雲などがしっかり分かります。昼間の景色を見ると輝度差のある対象の縁にわずかに黄緑色の色付きが見えましたが、夜、星を見る限りでは全く気づきません。
それぞれの印象をまとめました。
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双眼鏡で淡い天体を見ようとするとき、基本的には口径の大きい方がたくさん光を取り込むのでよく見えます。ただし、きちんと作られたシャープで高コントラストな双眼鏡ならば多少の口径差をひっくり返すこともあり、また「日々の生活で使う」「長く使う」ことを考えれば小型軽量の製品のほうが使いやすい…ということもあります。さらには対ゴースト性能などは外見上のスペックからはわからないことも多々ありますので、実際に覗いてみないと評価できません。
そのようなバランスを考えつつ双眼鏡を選ぶなら、今回ご紹介した日の出光学の各機種はどれもオススメできる良い製品だと思います。双眼鏡が欲しいな~という方も、双眼鏡にあまり興味の無かった方も、ぜひ日の出光学の双眼鏡を覗いてみていただきたいと思いました!
以下ネットショップへのリンクです。
・5×21-A5 税込14,800円
・5×21-A+ 税込19,800円
・6×30-B+ 税込32,800円
・8×42-D1 税込40,800円