スターベース東京のブログ

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【Askar FMA180】35mmフルサイズ対応! 小型で多用途な撮影用鏡筒

Askar FMA180 + Canon EOS6D(SEO-SP4) ISO-1600 4分×30枚

 

Askar FMA180 は口径40mm / 重さ約600g(台座を含む)で、片手に載るほどコンパクトな鏡筒です。全系で6枚(対物3枚+付属補正レンズ3枚)の構成で、35mmフルサイズカメラに対応するイメージサークルΦ44mmを有しています。焦点距離は180mmと天体望遠鏡としては短いですが、その分小型の架台に載せたり気軽に使えるメリットがあります。

今回はこちらの鏡筒を試用する機会がありましたので、撮影結果をご紹介したいと思います。

 

 

Askar FMA180 + Canon EOS6D(SEO-SP4) 1枚撮って出し

同 等倍切り出し

Askar FMA180 + Canon EOS6D(SEO-SP4) フラット画像

 

この日は上空の気流が落ち着いていたこともありますが、FMA180は小口径・短焦点でシーイングの悪影響を受けにくい性質を持っており、星像はとても小さく引き締まって写ります。明るい星にくさび状の切れ込みやヒゲ状の光条が入りにくいようで、今回のように1等星が画面中心から外れたところにあるような構図でも星の形を綺麗に写しとめられます。

撮影用としては税込6万円強という価格でこれだけのハイパフォーマンスが得られる、大変お買い得な製品だと感じました。

 

FMA180 スポットダイアグラム。中心と35mmフルサイズの最外部(横構図の場合)に対応しています。画像全体でほとんど均一な星像が得られることが読み取れます。各々の正方形の一辺は200μmなのでタカハシが公開しているデータ(同100μm)とは異なります。

 

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FMA180の接続等をご紹介します。

 

まずは撮影状態です。鏡筒側はこのように組み上げます。写っているのは全て「FMA180」に含まれています。※このほかにも31.7アダプター等がさらに付属します。

 

この状態では後端がM42オスになっています。適正なバックフォーカスはこの端面から55mmで、これは市販のTリング+デジタル一眼レフ 等でぴったりになる距離です。

 

鏡筒側の筒外径が50.8mmより小さいため、たとえばZWOの冷却CMOSカメラなどをM42接続しようとすると、システム上で登場する「M48-M42アダプター」が端面で固定できず奥まで潜り込み、リング接続が設計光路長と異なってしまいます。このようなカメラを使う場合も一旦Tリング(Tマウント)でカメラマウントに変換し、マウントアダプター経由でカメラを取り付けることを推奨いたします。

 

今回はケンコー「Tマウント キヤノンEOS用」を使いCanon EOS6D (IR改造) を取り付けました。さらに、作例取得なので念のためオートガイド一式も取り付け、全体で1つのビクセン規格アリガタに載るような構成として撮影に臨みました。この写真ではEOS6DではなくEOS KissX5を取り付けています。
※FMA180にはアルカスイス互換とビクセンファインダー互換のアリガタが付いていますので、それらをダイレクトに活用することもできます。今回はビクセン互換アリガタの底面に設けられた1/4インチネジ穴を利用して銀色のアリガタへ取り付けました。

 

ピント合わせは対物レンズ部のヘリコイドで行います。動きは適度に重く、精密なピント合わせを行いやすいと感じます。構造上ごくわずかに傾きを生じる可能性もありますが、像質への影響はあまり気になるレベルではありません。鏡筒を軽量に仕上げるためにはラックピニオン等の接眼部ではなくこうしたヘリコイドを採用するのはベストチョイスだと感じます。ヘリコイド側面にはピントロック用の手回しネジがあります。



実際に無限遠にピントを合わせる場合は問題ありませんが、ヘリコイドを最も繰り込んだ状態ではアルカスイスプレート部分とヘリコイドが干渉します。ぶつけないように気を付けましょう。

 

対物フードの先端には48mmフィルターが取り付けられます。ただし単にフィルターを取り付けるだけでは迷光に対して極端に弱くなってしまうので、内側につや消し処理を施したM48延長筒などを別途ご用意のうえフードを設けるようにしてください。※フィルター追加はゴースト等の発生する可能性を高めます。あらかじめご了承ください。

 

以上です。ご検討を宜しくお願いします!