「FC-100DC」鏡筒は、ファインダーを除けばわずか2.8kgと、驚異的な軽さが特長の2枚玉フローライトアポクロマート屈折望遠鏡です。
ところで「FC-100DC」鏡筒と「FC-100DF」鏡筒は、同一の光学系が使用されています。では、その違いはどこにあるのか?まずは当店展示品の鏡筒を2本並べて撮影してみました。違いがよくわかるように、ファインダー脚は一時的に取り外しています。
FC-100DC鏡筒とFC-100DF鏡筒の接眼部比較
(上)FC-100DFの接眼部リング構成
F-50.8AD取付リング→50.8アダプター屈折用→50.8延長筒L→50.58スリーブ→アイピースアダプター接続環(短)→31.7アイピースアダプター
(下)FC-100DCの接眼部リング構成
ドローチューブ延長筒(FS-60CB)→補助リング(FS-60CB)→眼視アダプター(FS-60CB)→アイピースアダプター接続環(長)→31.7アイピースアダプター
並べてみると、接眼部のリング構成が異なることが一目瞭然で、
FC-100DF は、2インチサイズアクセサリー対応
FC-100DC は、31.7mmサイズアクセサリー対応
となっています。
主なスペックや仕様も以下の表で比較してみました。
FC-100DC | FC-100DF | |
有効口径 | 100mm | |
鏡筒外径(フード外径) | 95mm(124mm) | |
鏡筒全長 | 815mm | 785mm |
焦点距離 | 740mm | |
口径比(F値) | 7.4 | |
質量(ファインダー別) | 2.8kg | 3.3kg |
ドロチューブストローク | 30mm | 63mm |
FC/FSマルチフラットナー1.04× 対応 | 〇 | 〇 |
76Dレデューサー 対応 | 〇 | 〇 |
FC-35レデューサー0.66× 対応 | 〇 | |
販売価格(税込)2024年6月現在 | 223,300円 | 251,900円 |
「FC-100DC」の接眼体には、「FS-60CB」や「FC-76DCU」と同様の規格のものが採用されています。そのため、100DFや100DZの接眼体と比較するとドローチューブストロークが短かったり、M55.9接続の「FC-35レデューサー0.66×」は使用できなかったりしますが、その分 "本体質量3kg以下" という驚異的な軽量化に成功しています。
そんな、軽く(Karui)て、カッコよくて(Kakkoii)、取り扱いも簡単(Kantan)で、気軽(Kigaru)に使える、フローライト(Keiseki)を使用した「FC-100DC」鏡筒。高倍率でもクリア(Kuria)な見え味を実現する10cm屈折望遠鏡として特に眼視目的の方に人気がある他、「FC/FSマルチフラットナー1.04×」を使えば四隅までクッキリ(Kukkiri)な星像で撮影できることから、中口径でしっかり撮影を楽しみたい!いう方にも大変おすすめです。
ここでしつこく赤字で書いてしまいました、FC-100DC鏡筒の【7K】を、皆様ぜひ覚えていただければ幸いです!
軽くて(Karui)
カッコよくて(Kakkoii)
取り扱いが簡単で(Kantan)
気軽に使える(Kigaru)
高倍率でもクリアな見え味も実現し(Kuria)
マルチフラットナーを使えば四隅までクッキリな星像の(Kukkiri)
2枚玉フローライト(蛍石)屈折(Keiseki)
それでは皆さまご唱和ください
軽い、カッコいい、簡単、気軽、クリア、クッキリ、ほた…蛍石(けいせき)!
覚えられましたでしょうか(^^)
ということで、今回は作例とともに7KなFC-100DC鏡筒の魅力をたっぷりとご紹介していきます(^^)/
まず今回は「FC/FSマルチフラットナー1.04×」使用時のリング構成にし、カメラマウントDX-WRを経由してZWOのASI6200MCを取り付け、MORE BLUEのアリガタと鏡筒バンドも装着した状態でビクセンの「鏡筒三脚ケース100」に収納し、空の暗いところに鏡筒を持ち出して撮影しました。ファインダーは使用しなかったため取り外して持ち運べば、気持ちの良いくらいピッタリなサイズで収納することが出来ました。
スターベースから自宅までは電車で、自宅から遠征地までは高速道路を使いながら車で移動しましたが、実際に持ち運んで思ったことはやはり、軽いということです。もちろん、一応10cmの屈折が入っていますので 軽々しく持ち上げられる!というほどに軽いわけではありませんが、持ち運ぶのがとても大変と感じることはありませんでした。女性や体力に自信のない方でも持ち運びに苦労しないサイズのように思います。ケースなどに収納すれば遠征地への運搬時に光軸がずれてしまうこともまずないでしょう。FC-100DCなどの扱いが簡単な鏡筒は、運搬時に精神的なストレスを感じにくいことも大きなメリットです。
前置きが長めになってしまいましたが、実写画像もご紹介していきましょう。まずは球状星団の「M13」を撮影しました。星の密集した中心部をどこまで解像できるでしょうか。なお、この後のM8, M20の作例に出来るだけ時間を充てたかったので、本作例は総露光わずか14分(!)です。
いかがでしょうか。周辺までクッキリで、星像の色ハローは僅かです。下の画像は、中心部を解像度の高い画像でご覧いただくために、ASI585MC(11.2mm×6.3mm)程度の画角にトリミングしたものです。
スポットダイアグラムからは一見すると青ハローが広がるように思われるかもしれませんが、青いドットの「密度」が低いことからも分かるように、実写画像への影響はごく僅かです。今回の画像でも青ハローを低減する処理は一切かけておりません。
なお今回は鏡筒本来の性能をご覧いただくために、BlurXTerminatorなどの星像を点に近づけるような処理もしていません。
続いて夏の代表的な星雲、M8とM20のペアも撮影してみました。こちらもBlurXTerminatorは使用していません。
正直、FC-100DCってここまで撮影できるのか!と感動してしまいました。F7.6と決して明るいF値ではありませんが、明るくてメジャーな天体であればそこまで長くない総露光時間でも十分に楽しめるように思いました。対象の細部の写りなどは、口径5~6cmの小口径鏡筒で撮影するのとは全くの別物です。対物レンズの面積比で単純計算すると、FC-76Dの約1.7倍、FS-60CBの約2.7倍も光量が豊富になります。
せっかくですので、それぞれの星雲をトリミングして、拡大した画像も見てみましょう。例えばAPS-Cサイズセンサーで撮ったとすると、M8がちょうどよく収まるサイズになります。
ASI294MC Proなどフォーサーズサイズ程度のカメラで、明るい星雲や銀河をクローズアップして撮影するのも楽しそうです。
いかがでしょうか?
重さ・大きさの点でも無理ない程度に、10cmクラスのカッコイイ鏡筒を使った撮影を十分に楽しみたいという方に「FC-100DC+FC/FSマルチフラットナー1.04×」の組み合わせは自信を持ってお勧めできるシステムです。
ちなみに、「FC-100DC」は「76Dレデューサー」にも対応していますが、スポットダイアグラムは以下の通りでイメージサークルは30mmとなっています。
正直なところレデューサーを使用して、明るく・広角で撮影をしたい!という場合は「FC-35レデューサー0.66×」がオススメで、その場合は対応している「FC-100DF」鏡筒が選択肢として挙がってくるでしょう。FC-100DF+FC-35レデューサー0.66×ではF4.8となり、FC-100Dシリーズでは最もF値の明るい組み合わせで撮影できます。
また、さらにワンランク上の眼視体験や撮影を楽しみたい!という場合には「FC-100DZ」鏡筒も視野に入れてご検討いただければ幸いです。しかしこちらは、税込313,500円(2024年6月現在)と100DCと比較して10万円近い価格差があります。ですが、FC-100DZはその価格差を考慮しても十分に魅力的な鏡筒です。
FC-100Dシリーズの3機種(FC-100DC / FC-100DF / FC-100DZ)は、似ているようでいてそれぞれに個性があり、どれを選ぶか悩んでしまいますね…。
なお、眼視での見え味につきましては、3年前にこちらの記事でご紹介をしております。
随分昔の記事ですので、販売終了となっている製品が多く登場しておりますが、シャープでクリアな見え味の参考にしていただければと思います。
さて、今回は「FC-100DC鏡筒+FC/FSマルチフラットナー1.04×」での天体写真撮影についてご紹介させていただきました。 "7K"が自慢のFC-100DC鏡筒で、眼視や撮影を楽しんでみませんか???
↓↓お求めはぜひ、スターベース東京をご利用ください!↓↓