本記事では以前の記事の補足を兼ねて、タイトルの通り、スターベースオリジナルリングを使った接続方法をご紹介したいと思います。
大口径レンズを使用したFC-35レデューサー0.66×は、接眼部の内径が大きなFC-100DFやFC-100DZに適合しますが、小型接眼体を使用しているFC-100DCには取り付け出来ません。
…と公式には言われていますが、実は裏ワザがあります。
※ただしいくつか注意事項がありますので、本記事を最後までご覧になってから各自のご判断をお願いいたします。
使用するのはスターベースオリジナルの「FC-100DC用2インチ変換リング」です。
FC-100DCのドロチューブ後端(M55.9ネジ)に本リングを取り付けることでM72ネジへと変換し、FC-100DFに使うのと同じリング類を取り付けられるようになります。FC-35レデューサー0.66×を使用する場合、具体的な接続は下図のようになります。
無限遠にピントを合わせるため、FC-100DCの接眼部の延長筒を外しています。この状態でドロチューブを12~13mmほど繰り出すと無限遠にピントが合います。
レンズの組み合わせはFC-100DF + FC-35レデューサー0.66×と同じなので、合成焦点距離も同じく480mm F/4.8となります。しかし「DC」ではドロチューブの内径が「DF」よりも狭いため、(FC/FSマルチフラットナー1.04×では問題にならないものの)通常想定外となるFC-35レデューサー0.66×使用時には、周辺像で「ドロチューブ先端内径によるケラレ」が生じます。
実際に撮り比べてみました。
FC-35レデューサー0.66×を使用して天体写真撮影を行う場合、"585"センサー(ZWO ASI585MC Pro や Player One Uranus-C)程度まではFC-100DCでも変わらない光量が得られることが分かりました。しかしそれ以上の範囲では「DC」と「DF」の接眼体の内径差が影響して、「DC」のほうが周辺光量が少なくなります。
FC-100DF + FC-35レデューサー0.66×ではイメージサークルはΦ44mmですが、FC-100DC + FC-35レデューサー0.66×の場合は周辺減光が強まるので、中央比光量60%となるイメージサークルは実測でΦ35~37mm程度となりました。
また、今回のテストでは見られませんでしたが、「DC」の場合はケラレの影響で、画角周辺部の明るい星に回折光条が生じる"可能性"があります。
ただし、中央の結像性能は「DC」の場合でも良好です。マルチフラットナー使用時に比べて対象が小さく写りますが、F値が明るくなった分だけ同じ露光時間でもノイズの少ない結果が得られます。
まとめると、
・FC-100DCにも「FC-100DC用2インチ変換リング」を使えばFC-35レデューサー0.66×を使用でき、その場合は合成焦点距離480mm F/4.8になる
・ただし接眼体の延長筒を外すなどの手間が掛かる
・周辺光量の観点からはシステムチャート通りにFC-100DF + FC-35レデューサー0.66×としたほうが有利かつ安心。FC-100DCの場合はドロチューブの内径差のため、周辺光量が一層少なくなる
となります。
【ご注意】上記の構成でお使いいただく際は、各パーツをご購入の前に必ずお手元のFC-100DC鏡筒で、接眼体延長筒が外れるかどうかをお確かめください。外れない場合は無理をせず、当店へご相談ください。
いかがでしょうか?本記事の内容が皆様にとって「FC-100Dシリーズのどれを選ぶか問題」のご検討材料になれば幸いです。
土星が衝を迎えて観察しやすい季節になりました。気軽に持ち出せて、2枚玉で温度順応が早く、眼視も撮影もハイレベルに楽しめるFC-100Dシリーズ。ぜひご検討ください!!!