スターベース東京のブログ

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QHYCCDの新発売CMOSカメラ!「miniCAM8M」のご紹介 & セッティングについて

先日、QHYCCD社より「miniCAM8」(ミニカムエイト)シリーズが発売されました。この「miniCAM8」シリーズは、ソニー製の高感度・高解像度センサー「IMX585」にセンサー冷却機能と専用サイズのフィルター多数枚、フィルターホイール機能が合わさった天体用カメラです。

miniCAM8シリーズ
(QHYCCD社Webサイトより)

当店スタッフは本製品の情報が公開されてから、手元に届くのをずっと楽しみにしていました。この度、モノクロセンサーモデルである QHYCCD miniCAM8M Deep Skyコンボセットの展示を開始しました。展示品を開封し、実際にフィルターの取付などセッティングをしてみましたので、ご紹介します!!

 

 

1.外観

・本体の特長

miniCAM8Mの元箱

「miniCAM8M」はこのような箱で届きます!高さがあり、他社のCMOSカメラ等と比べると大きめです。ACアダプターも付属しているためでしょうか。

次にカメラ本体の画像がこちらです。

 

本体画像

大きな箱に対して、カメラ本体は非常にコンパクトです。円盤状の駆体にフィルターホイールらしさを感じます。

 

この裏側は次の画像のようになっています。

本体画像ウラ側

星図のデザインが施された冷却ファン側は、非常にシンプルな構造となっており、外部機器との接続はPC用のUSB3.0のみとなっています。冷却ファンが少し大きく、でこぼこした状態になっています。基本的にはPC等へ直接接続して使用します。ZWOやPlayerOneの冷却CMOSカメラのようなUSBハブがありませんので、電動フォーカサーやカメラ回転装置なども使用する場合は、それらはPCへ直接接続することになります。

本体裏側アップ

端子側を拡大しました。青い面の星図デザインは、おとめ座周辺の星図のようです。

 

 

電源端子は、ロックできるよう外側にネジが切ってあり、付属の電源延長ケーブルを使用すると右の写真のように、電源ケーブルが抜けないように固定できる設計となっています。

 

・miniCAM8Mの大きさはこんな感じ!

次にこのminiCAM8Mのコンパクトさを感じてもらうべく、大きさ比較を行ってみました!

 

非冷却のCMOSカメラと比べると大きく感じますが、冷却CMOSカメラ等と比べると、フィルターホイール機構が内蔵されているのにも関わらず、そこまで大きさが変わりません。つまり冷却CMOSカメラ+フィルターホイールが合体した状態にもかかわらず、とってもコンパクトなのです!

 

・鏡筒との接続について

専用のアダプターを使用すると鏡筒との接続が容易です。

①M48アダプター(標準付属品)

標準付属品の「M48アダプター」をフィルターホイール部の出口に直接ねじ込むだけで、多くの望遠鏡で採用されているM48 P0.75 メスネジ バックフォーカス55mmとなります。また、この「M48アダプター」差し込みで使用する場合は、バックフォーカス 23mm(実測値・フィルター厚は考慮しない値)になります。

 

②31.7mmアダプター(標準付属品)

31.7mm差し込み式の接続に対応したアダプターです。本品を使用して鏡筒側へ差し込む場合のバックフォーカスは19mm(同上)となります。

また、内側にはフィルターねじが設けられています。

 

(左画像がM48アダプター,右画像が31.7mmアダプターです。)

 

 

実際にFCT-65Dに接続してみるとこのようになります。マルチCAリング65DとminiCAM8M付属のM48接続アダプターとは、先日発売しました「スターベースオリジナル M52-M48接続リング」を使用して接続しました。これにより、メタルバックを合わせて接続することができます。

 

FCT-65D + FC/FSマルチフラットナー 1.04× で使用する場合の接続例

 

2.フィルターホイール内蔵なのに軽い!

また、miniCAM8Mは非常に軽量で、ZWO社の同じセンサー(IMX585)を使用した冷却CMOSカメラである「ASI585MM Pro」に8枚のフィルターを収容できる「EFW-8」を組み合わせ同等のセットやPlayerOne社の「Uranus-M Pro」、「 Phoenix M48  8x1.25”」を組み合わせたセットと総重量を比較すると

  1. miniCAM8M のみ                                   ・・・480g
  2. ASI585MM Pro(470g)+ EFW-8(400g)                        ・・・870g
  3. Uranus-M Pro(420g) + Phoenix M48  8x1.25” (520g)  ・・・940g

このようになります。「miniCAM8」シリーズは接眼部に掛かる荷重を低減できるため、ガタツキやそれによるスケアリング変化などの心配が軽減されます。また、FS-60CB鏡筒を始め、鏡筒全体でのバランスがカメラ側に偏りがちな鏡筒にはカメラ部分の軽量化は嬉しく思います。価格面でのアドバンテージも大きいです。

 

3.商品構成・付属品

miniCAM8M Deep Sky コンボセット一覧

今回当店の展示品として開封したのは、「miniCAM8M Deep Sky コンボセット」です。

  • miniCAM8M 本体
  • フィルター (L,R,G,B,SII,Hα,OIIIの計7枚)
  • ACアダプター12V5A 
  • 電源延長ケーブル
  • USB3.0ケーブル
  • 31.7mmアダプター
  • M48接続 アダプター(50.8mm差し込み可能)
  • 乾燥装置
  • プラスドライバー・プラスチック製ピンセット
  • フィルターホイール機構の予備のネジ
  • QHYCCDロゴ入りきんちゃく袋
  • カメラドライバーやSharpCapインストーラーがダウンロードされたUSB

このように周辺パーツが豊富に付属し、フィルターの取付からPCとの接続までこのセットのみで完結できるようになっています。

 

4.フィルターの取り付け方法解説!

この「miniCAM8M」は、フィルターをユーザーが自身で取り付ける必要があります。ネットショップの商品には書ききれませんので、今回は、スタッフが実際にフィルターを取り付けた過程をご紹介します!

はじめに

フィルターの取り付けに別途必要な工具等はありません。付属品のプラスドライバーのみで全ての部品接続等を行うことができます。

<注意> フィルターを取り付けた後は、カメラセンサーのウィンドウガラスがフィルターの奥に隠されるため、ウィンドウガラスを清掃するためには都度フィルターホイールを外さなければなりません。(これは他のカメラでも同様ですが。)

そのためフィルターを取り付ける際は、なるべくホコリの少ない環境で作業いただくとともに、別途ブロアーを使用して各面にホコリが付着しないようにご注意ください。

 

①本体の分解

まず、「miniCAM8」のロゴが入った面の縁の4点のねじを外し、外側の蓋を外します。

 

②フィルター回転台の取り外し

中央の付近の4点のねじを外し、フィルター回転台(フィルターカルーセル)を外します。その際、中央の大きなネジに分解禁止のシールが貼ってあります。その部分には絶対に触らないようにしてください。(これ以上の本体の分解はしない)

 

 

また、フィルター回転台を取り外す際、まっすぐ引き抜こうとすると、画像右下のホイール回転ギア等が干渉します。干渉する前にほんの少し傾けて取り外すようにしてください。


③フィルターマスクを外す

次にフィルター回転台の8本のねじを外し、フィルターマスク(フィルターを固定するための蓋)を取り外します。このとき「miniCAM8M」では、①のフィルター挿入部分にあらかじめ黒いプレート(ダーク撮影用)が挿入されていました。このフィルターマスクを取り外す際に落ちないようにお気を付けください。

 

分解作業はこれにて完了です。

④フィルターについて

フィルター回転台に(数字の記載がある方)にフィルターを置いていきます。

フィルターはこの写真の向きで封入されています。フィルターの袋には、それぞれのフィルターの配置について記載があり、フィルターのケースを右に90°回転させると図と一致します。

 

 

フィルターの操作には付属のピンセットを使用しました。そして、フィルターには側面に印があります。(下記画像参照)フィルターには片面にコーティングがなされており、その向きを判別するためのものです。印の2本線の閉じているほうが、センサー側です。回転台に置く際は、下側になります。フィルターの向きを全て確認してから置いていくようにしてください。

 

また、フィルターのコーティング面は、目視でも確認することができます。フィルターを少し傾けてみたときに、端に光の屈折による青のエッジが見える面がコーティングされている面です。また、コーティングされている面は、その面で光が反射していますが、コーティングされていない面から覗くと、その面で光がほとんど反射せずに奥の面に反射面があるように感じます。スタッフとしては、印をみて確認するより、その方法で一つ一つ確認するほうが確実だと感じました。(フィルターによって印のどちら側が開いているかわかりにくいと感じるものもあったためです。)

 

以下、フィルターのコーティングや向きに関して、QHYCCD社で公開している資料になります。

 

⑤フィルターの挿入

傷がつかないように気を付けつつ、フィルターを回転台に並べていきます。今回は①~⑧までの番号に対して、「L,R,G,B,SII,Hα,OIII,ダーク」の順番で並べました。どの順番でフィルターを入れるかはユーザーが好みに応じて決定できます。(その後のPC制御の際にフィルターの種類と番号を任意に登録できます。)そのため、この時点で何番に何のフィルターを入れたのかを覚えておくようにしてください。


⑥フィルター回転台の固定

フィルターマスクをかぶせてから、8本のねじを締めることでフィルターを固定します。

この際、フィルターがぐらぐら揺れない程度にねじを締めるようにします。この時点でフィルターの両面とセンサーのウィンドウガラスを入念にブロアリングし、ホコリが付かないうちにフィルター回転台一式をフィルターカメラ本体へ固定します。

 

⑦最後に


この時点でフィルター表面にホコリが付着してしまったら、(ウィンドウガラスやフィルターの裏側にホコリが付かないように)ホコリのある部分だけそっとブロアリングします。その後外蓋をかぶせ、4本のねじで固定したら、フィルターの取り付けは終了です。


フィルターの取り付けに関しては、そこまで複雑な作業がなく初めての方でも手順を読みながら進めれば行えると思います。また、ねじは、予備が付属品として入っているため万が一操作中に失くしてしまっても安心です。しかし、ねじが小さいため、フィルターやホイールを固定する際にポロっと落としてしまい、フィルターを傷つけてしまう等のリスクはあるかと思います。十分に気を付けて作業してください。

 

5.カメラドライバーに関して

CMOSカメラ等に不慣れな方向け

カメラドライバーは、QHYCCD社のホームページからダウンロードできます。2025年6月初旬現在では、下記の画像の「All-in-one Pack」の「Ver.20250324(Beta)」をダウンロードし、インストールしてください。miniCAM8シリーズでは、ベータ版(最新版)のドライバーの仕様をメーカーが推奨しております。また、このとき、カメラをPCに接続した状態でドライバーのインストールを行わないように注意してください。また、この「All-in-one Pack」の大部分はサードパーティー製ソフトウェアをサポートするプラグインで構成されています。もし、この時点で、撮影用のソフトウェア(SharpCap等)をインストールしていない場合は、先に撮影用ソフトウェアのインストールをしてから「All-in-one Pack」をインストールするようにしてください。

CMOSカメラの制御に慣れている方向け

すでに、様々な撮影用ソフトウェアをお使いの方で、All-in-one Packのインストールが不要な方は、最新のSDKファイル(qhyccd.dll)やASCOMドライバー(カメラ・フィルターホイールの制御用)のみ別途ダウンロードしていただくことでもカメラを使用することができます。

 

6.SharpCapでの制御

全てのインストールが完了した状態で、カメラに12V電源を接続し、USB3.0ケーブルでPCと接続した状態で、撮影用ソフトウェアを起動してください。今回はSharpCapを用いて、カメラと接続してみます。

カメラがうまく認識されるとカメラの「QHYカメラ」の欄に「miniCAM8M」が表示されるようになり、クリックするとセットアップが始まります。ここでの設定は、後からでも変更できるので、まずはデフォルトでも構いません。

・Linearity HDRモードに関して

本商品の特長の一つに「Linearity HDR」モードによるADCの拡張があります。

本来IMX585センサーのネイティブADCは12ビットですが、miniCAM8Mでは、ハイゲイン時のデータとローゲイン時のデータを統合して処理することで、疑似的な16ビット相当のダイナミックレンジを得ることができます!この16ビット深度はネイティブではないのですが、「Linearity HDR」では、アルゴリズムを用いたソフトウェアによる補正をかけることで、階調を12ビットから16ビットへ遷移させる上での直線性を調整しています。これにより、ADCを拡張した際に懸念される階調の不自然さや色表現の不自然さを解決しています。

つまり、この「Linearity HDR」モードでは、ゲインやオフセットの調整が自動でなされユーザー側での設定ができません!(ゲインやオフセットの調整を変えても反映されません。)

miniCAM8Mで広いダイナミックレンジを体感してみたい方はぜひお試しください。

 

・「Linearity HDR」モードのコントロールに関して

また、SharpCapの設定より「QHY SDK によって提供されるカスタム コントロールを表示します」をオンにすると、HDR補正(HDR_correction)をカメラコントロールにて調整できるようになります。

このHDR補正はデフォルトでオンになっているので、もし調整したい場合はオフにしてお使いください(メーカーはオンにすることを推奨しています。)

 

操作できるパラメーターは次の2つです。

HDR_L_K:低チャネルのストレッチ値

HDR_L_b:低チャネルのオフセット値

この2つの値は画像の直線性(12ビットから16ビットへ階調を遷移させる際の変化率)に影響を与えます。不適切な設定をすると画像にバンディング(縞模様)が発生する可能性があります。ご注意ください。

 

また、カメラコントロールにて、reedmodeを「Full Resolition」を選択すれば、12ビットにはなりますが、他のCMOSカメラ同様にゲインやオフセットの調整をしながらお使いいただけます。



・フィルターの設定に関して

フィルターの設定に関しては、カメラコントロールの「望遠鏡制御」にて行います。下記のようにセットアップを押すとフィルターごとに名前とオフセットを設定できるため、ご自身でわかるように設定してください。(Linearity HDRでは、オフセットの設定の必要はありません。)

 

8.最後に

ここまで読んでいただきありがとうございました!

これでminiCAM8Mの基本的なセッティングは完了です。フィルターの取り付けなど少し精密な作業が必要にはなりますが、一度セットしてしまえば、そのあとは、フィルターの交換もセンサーの冷却も全てPCから制御することができ、簡単にお使いいただけます。鏡筒との接続や光路長を考えるためにシステムチャートとにらめっこすることや、撮影の度にフィルターを付け替えるといった作業から解放されます!!

軽量かつ多機能なのにリーズナブルなminiCAM8M。当店スターベース東京にて取扱いしております!購入後にご不明点があれば、スタッフが対応致しますので、ぜひお気軽にご連絡ください。

 

なかなか晴れない日が続きますが、この夏は私たちもminiCAM8で天体写真を撮りたいと思います!!

 


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