先日発売となった中判センサー対応の「EDレデューサー0.7×DGQG」【7770】をメーカー様から借用し、試写する機会を得ましたので、その結果をご報告したいと思います。
このレデューサーはBORGの107FLと90FLに対応し、それぞれ焦点距離を0.7倍に短縮して420mmF3.9 / 350mmF3.9という屈折望遠鏡としてはかなりの明るさを実現します。中判センサー対応なので35mmフルサイズの周辺でも光量が豊富(順に約76% / 82%)なのも魅力です。今回は弊店展示機の107FLに対し、周辺パーツはこちらの説明書の通りに取り付けて撮影に持ち出してみました。
今回はビクセン互換のアリガタ・アリミゾで赤道儀に搭載するため、上の組み合わせとしました。オートガイダーは2つの鏡筒バンドの上方をアクセサリープレートで結び、その上に載せる格好にしました。なおピント合わせはヘリコイド式のため、ピントを合わせる際には2本の鏡筒バンドのどちらかをわずかに緩め、筒が内側を移動できるようにします。
■ピント合わせ
ピント合わせはヘリコイド式なので、ZWO EAFのような電動フォーカサーを取り付けしにくいですが、F3.9という明るさにも関わらず手動で快適に・確実にピント合わせが可能でした。ヘリコイドが大変滑らかに動きわずかな手加減にもきちんと追従してくれること、また結像がシャープなのでベストピント位置が明確に分かること、がこれを可能にしているのだと思います。私はヘリコイド式のフォーカサーを厳密な天体撮影に使用するのは今回が初めてでしたが、予想以上に使いやすく、びっくりしました!
風などの影響で追尾が少し流れてしまっていますが、それを差し引いてご鑑賞ください。35mmフルサイズの最周辺まで星像が小さく結像していて、しかも「鋭い」(星像の芯が明瞭であり、「ぼてっと」していない)です!焦点距離が短いので気流の影響を受けにくいのもあると思いますが、結像はかなりハイレベルです。中判センサーのカメラを使えなかったことが悔やまれます。
タカハシなどの製品とは異なりスポットダイアグラムが公開されていませんが、今回の実写では、非常に高い結像性能を有していることが分かりました。
フラット画像です。0.7×の強い効果のレデューサーですが、さすがは中判センサー対応ということで、35mmフルサイズの範囲内では減光はおだやかです。このフラット画像は「筒先を白色モニターに当てる」といういつもの方法で取得しましたが、これできれいにフラット補正ができました。
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「EDレデューサー0.7×DGQG」は補正レンズとしては高価な部類に入りますが、
★F3.9で鋭い像が得られること
★中判センサーまで対応する豊富な光量
★107FLと組み合わせても4kg程度という軽さ(今回の上下プレート込みで実測4.1kgでした)
を実現した大変意欲的な製品です!すでに107FLや90FLをお持ちの方も、これから検討中という方も、天体写真用としてきっと素晴らしい結果を得られることと思います。ご予算が見合えばぜひお勧めしたい製品だと思いました!