スターベース東京のブログ

スターベース東京のブログです。店頭の様子や機材情報を中心に書いていきます。不定期更新。

【重要】店頭販売休止のお知らせ(1月23日~)

f:id:starbase:20220121191730p:plain

 

いつも弊店をご利用くださいまして誠にありがとうございます。新型コロナウィルスの感染拡大の状況を鑑み、1月23日以降は当面の間、店頭販売を休止させていただきます。

※明日(22日土曜日)は11-18時で開店いたします。

 

急な決定でご不便をお掛けしてしまい申し訳ございませんが、何卒ご理解賜ります様、よろしくお願いいたします。

【焦点距離200mmクラス】天体写真用の小型鏡筒で撮り比べてみました!

この記事ではBORG55FL(レデューサー使用)Askar New ACL200Askar FMA230(レデューサー使用)を用いた天体写真撮影の結果をご紹介します。

焦点距離200mm前後の撮影を目的とした鏡筒は激戦区で、どれを選べばよいのか迷われている方もいらっしゃると思います。今回は一晩に上記3機種で撮り比べることができましたので、私(スタッフH)の感じたことなども含めてご紹介したいと思います。各鏡筒の諸元は以下の通りです。重量はCanon EOS Kiss X6i(約575g)を接続した際の総重量です。

f:id:starbase:20211023132153p:plain

各鏡筒の諸元

今回はオートガイドは行わず、露出はすべてISO3200、90sで統一しました。

焦点距離400mmくらい以上の鏡筒ではオートガイドを使わないと、一コマ1分以上の露出で星をきちんと円形に写しとめるのはなかなか難しいのですが、一方で今回のように焦点距離200mm程度ならばオートガイドは必ずしも必須ではなく、システムを簡易にすることも可能です。


---
※ピント位置はライブビューモニターで色ハロが出来るだけ目立たなくなる場所に合わせています。
※画像処理はダーク・フラット補正と多少の調整を加えたのみです。星を小さくする、色収差を補正する等の処理は行っていません。
---

 

まずはBORG55FLです。

f:id:starbase:20220115170905j:plain

BORG55FL(レデューサー使用)+ EOS kiss x6i(IR改造) ISO3200 90s 60枚

f:id:starbase:20211023132352j:plain

Borg55FLの接続例


BORG55FLはF3.6と競合機種の中で最も明るい鏡筒で、その速写性は圧倒的です。F4の鏡筒と比べても約1/3段明るい(約80%の露出時間で同じように撮れる)ため淡い対象を狙う際に真価を発揮してくれるでしょう。
ピント合わせのヘリコイドは適度な硬さがあり微妙なピント合わせが可能ですが、Fの明るさに伴うピントの薄さからピント合わせには少し苦労しました。

この鏡筒についてもう一点特筆すべき点は軽さです。カメラ、鏡筒、アリガタまとめて1500g弱しかありません。ポータブル赤道儀での運用を考えている方にとっては大きなアドバンテージになるのではないでしょうか。
圧倒的軽さと速射性が唯一無二の製品だと感じました。

 

 

次にNew ACL200です。

f:id:starbase:20220115170949j:plain

New ACL200(絞り解放 F4) + EOS kiss x6i(IR改造) ISO3200 90s 60枚

f:id:starbase:20211023132556j:plain

New ACL200 接続例

New ACL200はアストロカメラレンズと称される製品です。F4と十分に明るく、粗動+微動のピント合わせ、絞りリング、カメラ回転機構といったカメラレンズのような取り回しの良さが特徴です。

f:id:starbase:20211023133748j:plain

微動ピントリング、粗動ピントリングの、絞りリング、回転可能な三脚座の様子
それぞれに固定ネジがついています


天体を撮影する場合、粗動ピントリングは予め∞指標に合わせてロックしておき、微動ピントリングで細かくピントを合わせることになります。微動ピントリングは軽快に回せるので初めは「こんなに軽くて大丈夫…?」と不安でしたが、実際に使ってみるとベストピント位置がとっても分かりやすく、簡単にピント合わせができたのが印象的です。ただし、ピントロックをする際にピントリングを回転させる方向に力を掛けないよう注意する必要があります。


三脚座の部分で鏡筒ごと回転させ構図の調整を行うことができるのは便利でした。また本鏡筒ではカメラレンズのように絞りが搭載されているのですが、少なくともAPS-Cまでの範囲であれば、絞り解放(F4)の状態で周辺まで星がきれいに写りました。絞り解放状態では絞り環が隠れて完全な円形となるので、カメラレンズにありがちな、明るい星に放射状の「ヒゲ」が生えて写る現象が大幅に軽減できます。

f:id:starbase:20211023133240p:plain

絞り環の様子
絞り解放F4(左) と 一段絞った状態F5.6(右)

鏡筒外径は最大部で約95mmと、FC-76DCUの対物フード部分と同じくらいの太さがありますので、レンズヒーターを使う時はやや大きめのものをご用意ください。

この鏡筒はカメラ込みで2500g超と3機種の中で最も重量があります。重さを気にしないのであれば、普段使い(マニュアルフォーカスですが)も見込めて使い勝手と明るさのバランスがとれた製品だと感じました。アリガタ、ファインダー台座が付属しているのも魅力的ですね。

 

最後にFMA230です。

f:id:starbase:20220115171009j:plain

FMA230(レデューサー使用)+ EOS kiss x6i(IR改造) ISO3200 90s 60枚

f:id:starbase:20211023133516j:plain

FMA230 接続例


FMA230はレデューサー使用でF4.6と、今回使った3機種の中では暗いですが、それが有利に働いているのかAPS-Cの範囲内では本鏡筒が最も結像性能が高いように感じました。(今回は色ハローが無くなる位置にピントを合わせましたが、この状態で周辺までとても良い像になりました)ヘリコイドはBORGと同様に適度な硬さがありピッチも細かく、微妙なピント合わせが可能でした。


軽さと星像のバランスがとれた製品だと感じました。こちらの製品もアリガタ、ファインダー台座が付属しているのは魅力的ですね。

 

-------------------

 

圧倒的な軽さに明るさを兼ね備えたBORG55FL、カメラレンズの使い勝手の良さを持ち普段使いも見込めるNew ACL200、軽さと星像のバランスがとれたFMA230、それぞれ特徴を持った鏡筒だと思いました。星像の写り方には少しずつ差はあるのですが、今回の掲載サイズで鑑賞する分にはどれも全く欠点が見えてこないと思います。それほどに、どれもハイレベルな天体写真に十分対応できる製品です!

※周辺光量落ちの補正だけでなく、カメラのセンサーに固有の様々なムラやノイズを取り除くため、フラット補正ができるのであればした方が良いと思います。今回は筒先を白色モニターに押し当てる簡易的な方法(こちらでご紹介しているような方法です)で取得しましたが、3機種とも容易にフラットが合いました。

 

※すべてEM-10赤道儀を使った撮影です。このEM-10赤道儀は旧型のスケールパターンを内蔵しているので現在の北極星の導入位置が書いてありませんが、極軸望遠鏡を覗き、それを「予想」して目測で合わせました。極軸設置誤差のため、最初と最後のコマでは星の位置が少しズレてしまいましたが、それでも各コマ90秒の露出ではそれぞれの元画像は点像となっていたので、このようにコンポジットをすれば十分なクオリティの天体写真となります。そういった手軽さも含めて魅力的な製品群だと思います。

 

短焦点の屈折望遠鏡としてFS-60CBについても記事にしています。あわせてご覧ください!

 

 

年末年始 営業時間のお知らせ

f:id:starbase:20211228202715p:plain

本年もたいへん多くのお客様に弊店をご利用いただき、誠にありがたく存じます。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

年末年始の営業につきましては、入居しているビルの工事等もあり、長めのお休みをいただきます。

-----

・1月9日(日)まではお休み

・1月10日(月)と11日(火)は店頭営業無し

・1月13日(木)からは通常通り(火・金・土で店頭営業)

-----

休業期間にいただきましたご注文やお問い合わせは10日より順次ご対応させていただきます(10日と11日ではすべて終わらないかもしれません)。ご不便をおかけしてしまいすみませんが、何卒ご理解をいただけますと幸いです。

 

それでは皆様、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

【TOA-130N + TOA-645フラットナー】 結像性能最強!TOAシリーズ全機種に使える新発売のフラットナーです

f:id:starbase:20211115211748j:plain

TOA-130NS + TOA-645フラットナー + ZWO ASI2400MC Pro + ZWO IR/UVカットフィルター / -5℃, Gain=140, 3分×109枚コンポジット

 

◇概要

TOAシリーズ鏡筒用にはこれまで「35フラットナー」(イメージサークルΦ40mm)と「67フラットナー」(同88mm)がありましたが、67フラットナーは今年の3月に生産終了となっておりました。それに代わる次世代の高性能フラットナーが今回ご紹介する「TOA-645フラットナー」です。

タカハシwebサイトでは【妥協が一切無い対物レンズの性能を100%生かすベストパートナー】と謳っていますが、それにふさわしい最高性能の製品です。計算上のスポット径は中心1μm、APS-Cの周辺で2μm、フルサイズ周辺でも3μmで、光の回折を考慮すれば「これ以上星像を小さくできない限界」に達していると言えます。またイメージサークルの最周辺でも同5μmと、気流の影響を考慮すれば実用上完璧な収差補正がなされています。

 

f:id:starbase:20211115213135j:plain

旧「67フラットナー」との比較。67フラットナーもかなり良い性能なのですが…645フラットナーはその1段上を行く超高性能です。

 

TOA-645フラットナーを使うと焦点距離が1%程度短縮されます。

---

TOA-130シリーズ 1000mm→990mm(F7.6)

TOA-150シリーズ 1100mm→1085mm(F7.2)

---

 

TOA-130NSなどにも使える!】

旧67フラットナーは大型接眼体を備えたTOA-130NFBやTOA-150B等にしか取り付けられませんでしたが、今回のTOA-645フラットナーはすべてのTOAシリーズ鏡筒に対応しています。合焦位置ではかなりドロチューブを繰り出す状態になり、大型接眼体のTOA-130NFBやTOA-150BではM92の延長筒「67フラットナー延長筒」を2つ重ねて追加する必要があります。

f:id:starbase:20211115220047j:plain

 

 

それではいつものように画像をご紹介してまいります。

 

f:id:starbase:20211115220149j:plain

TOA-130NS + TOA-645フラットナー + ZWO ASI2400MC Pro + ZWO IR/UVカットフィルター / -5℃, Gain=140, 3分 ステライメージでFITS画像を現像のみ


今回は冷却CMOSカメラの撮影なので、フラット画像についてはいつもとかなり違う条件となっています。Canon EOSRaで撮影したフラット画像を以下に掲載します。

f:id:starbase:20211115221539j:plain

TOA-130NS + TOA-645フラットナー + Canon EOSRa フラット画像

 

f:id:starbase:20211115222423j:plain

TOA-130NS + TOA-645フラットナー + ZWO ASI2400MC Pro + ZWO IR/UVカットフィルター 等倍画像

 

容量の関係で生データをご覧いただけないのが残念ですが、撮影後に元画像をじっくり眺めて驚きました。画像のどこを見ても星像が一様で、光量分布も偏りがないので、アップで見ていると一体どちらが画像の中心なのか全く見当もつかないのです。

f:id:starbase:20211115223151j:plain

【クイズ】これは画像のどのあたりでしょう?正解は本記事の最後で。

TOA-645フラットナーはレデューサーではないので併用時はF7台とそこまで明るくはありません。しかし現代のデジタルカメラと組み合わせれば無理なくさまざまな対象を狙えるスペックです。それに加えて、この画像全体での(いろいろな意味での)フラットさは、単独構図での撮影はもちろん、モザイク合成を行うような場合にも◎です。一切つなぎ目の分からないモザイク合成…も不可能ではありません。これまでのすべてのTOAシリーズ鏡筒に適合するのも嬉しいですね。最高の眼視用鏡筒であるTOAシリーズを、このTOA-645フラットナーで最高の撮影用鏡筒に変身させましょう!

 

 

35フラットナーとの使い分けについて】

TOAシリーズに対応する現行のフラットナーはもう一つ「TOA-35フラットナー」があります。こちらと今回のTOA-645フラットナーは上下関係というよりも相補的な関係にあります。

---

◆35フラットナー(イメージサークルΦ40mm)の魅力

・フラットナーから焦点面までの設計距離が長いので、撮影だけでなく天頂ミラー等を併用した眼視にも使える

・2インチ差し込みで組み換えが簡単

・エクステンダーED1.5×と組み合わせて使うこともできる

・TSAシリーズにも使える

---

◆645フラットナー(イメージサークルΦ60mm)の魅力

・圧倒的な結像性能と周辺光量の豊富さ

 

「さまざまに使いやすい35フラットナー」と「写真性能最強の645フラットナー」とも言えるでしょうか。用途に応じて使い分けていただけるラインアップかと思います。

 

TOA-645フラットナー併用時に、フジGFXを取り付けられるようにするオリジナルリングもご用意しています!

 

f:id:starbase:20211116114429j:plain

タカハシ工場勤務の先輩Tさんの作品です! TOA-130NS + TOA-645フラットナー + Canon EOSRa (ISO-3200, 600s×20枚)

f:id:starbase:20211116115151j:plain

上の画像の1枚撮って出しです。



 

※今回は本ブログの作例としては初めて冷却CMOSカメラを使った画像でご紹介いたしました。今回の作例写真がいつもよりクオリティが高く感じるのはそのおかげもあると思います。冷却CMOSカメラのご紹介はまた別の記事で詳しく書く予定です。なおスターベース東京で冷却CMOSカメラをご購入いただいた方には、撮影を手厚くサポートするスタッフ特製のマニュアルが付属します!

f:id:starbase:20211115224803j:plain

 

 

(クイズの答え)

f:id:starbase:20211115224344j:plain

白枠の箇所でした!

 

【BORG107FL + EDレデューサー0.7×DGQG】とにかく像が鋭い!高性能な大型レデューサーです

f:id:starbase:20211023110953j:plain

はくちょう座サドル付近 BORG107FL + EDレデューサー0.7×DGQG[7770]

 

先日発売となった中判センサー対応の「EDレデューサー0.7×DGQG」【7770】をメーカー様から借用し、試写する機会を得ましたので、その結果をご報告したいと思います。

このレデューサーはBORGの107FLと90FLに対応し、それぞれ焦点距離を0.7倍に短縮して420mmF3.9 / 350mmF3.9という屈折望遠鏡としてはかなりの明るさを実現します。中判センサー対応なので35mmフルサイズの周辺でも光量が豊富(順に約76% / 82%)なのも魅力です。今回は弊店展示機の107FLに対し、周辺パーツはこちらの説明書の通りに取り付けて撮影に持ち出してみました。

 

f:id:starbase:20211025220042j:plain

それなりにフロントヘビーになります。が、この一式で約4.1kg。軽い!

f:id:starbase:20211025220106j:plain

純正鏡筒バンドの上下をMORE BLUE製品で保持しています。アリガタ=「AU002」、トッププレート=「AU012」+スペーサー。

f:id:starbase:20211025220134j:plain

トッププレート「MORE BLUE AU012」には「Northern Cross タカハシ鏡筒用ファインダー台座」を取り付け…

f:id:starbase:20211025220327j:plain

「QHY miniGuideScope」と「QHY 5L-II M」を載せています

今回はビクセン互換のアリガタ・アリミゾで赤道儀に搭載するため、上の組み合わせとしました。オートガイダーは2つの鏡筒バンドの上方をアクセサリープレートで結び、その上に載せる格好にしました。なおピント合わせはヘリコイド式のため、ピントを合わせる際には2本の鏡筒バンドのどちらかをわずかに緩め、筒が内側を移動できるようにします。

■ピント合わせ

ピント合わせはヘリコイド式なので、ZWO EAFのような電動フォーカサーを取り付けしにくいですが、F3.9という明るさにも関わらず手動で快適に・確実にピント合わせが可能でした。ヘリコイドが大変滑らかに動きわずかな手加減にもきちんと追従してくれること、また結像がシャープなのでベストピント位置が明確に分かること、がこれを可能にしているのだと思います。私はヘリコイド式のフォーカサーを厳密な天体撮影に使用するのは今回が初めてでしたが、予想以上に使いやすく、びっくりしました!

 

 

f:id:starbase:20211023111300j:plain

BORG107FL + EDレデューサー0.7×DGQG[7770] + Canon EOS6D(IR改造) ISO-2500 240s 撮って出し

 

f:id:starbase:20211025222702j:plain

等倍切り出しです

 

風などの影響で追尾が少し流れてしまっていますが、それを差し引いてご鑑賞ください。35mmフルサイズの最周辺まで星像が小さく結像していて、しかも「鋭い」(星像の芯が明瞭であり、「ぼてっと」していない)です!焦点距離が短いので気流の影響を受けにくいのもあると思いますが、結像はかなりハイレベルです。中判センサーのカメラを使えなかったことが悔やまれます。

 

タカハシなどの製品とは異なりスポットダイアグラムが公開されていませんが、今回の実写では、非常に高い結像性能を有していることが分かりました。

 

f:id:starbase:20211023111420j:plain

BORG107FL + EDレデューサー0.7×DGQG[7770] + Canon EOS6D(IR改造) フラット画像

フラット画像です。0.7×の強い効果のレデューサーですが、さすがは中判センサー対応ということで、35mmフルサイズの範囲内では減光はおだやかです。このフラット画像は「筒先を白色モニターに当てる」といういつもの方法で取得しましたが、これできれいにフラット補正ができました。

 

---

 

EDレデューサー0.7×DGQG」は補正レンズとしては高価な部類に入りますが、

★F3.9で鋭い像が得られること

★中判センサーまで対応する豊富な光量

★107FLと組み合わせても4kg程度という軽さ(今回の上下プレート込みで実測4.1kgでした)

を実現した大変意欲的な製品です!すでに107FLや90FLをお持ちの方も、これから検討中という方も、天体写真用としてきっと素晴らしい結果を得られることと思います。ご予算が見合えばぜひお勧めしたい製品だと思いました!

 

 

 

【ビクセンAX103Sで天体撮影】 色収差の無い、多目的・高性能な屈折望遠鏡です!

 

f:id:starbase:20211025211440j:plain

アイピースは付属しません。

 

今回の記事はビクセンAX103Sを使った天体写真撮影のご紹介です。この鏡筒は対物レンズ3枚玉+フィールドコレクター内蔵という設計で「フォトビジュアルタイプ・フラッグシップ」を謳う製品です。

 

f:id:starbase:20211025211211j:plain

標準状態のリング構成です。

本編に入る前に、まずは少し眼視のご紹介をさせてください。AX103Sは他の多くのビクセン鏡筒と同じく、ドロチューブ後端がM60ネジとなっていて、付属のアダプターを介して2インチ(50.8mm)接続が可能です。眼視や、眼視と小型カメラの切り替えに便利なフリップミラーが標準付属しています。ドロチューブ内にフィールドコレクター(補正レンズ)が入っていますので、像質の観点からは接眼部のリング構成はビクセンの公開しているシステムチャート通りとするのが無難でしょう。

 

【眼視】

AX103S鏡筒は中心像の色収差補正が大変優れていて、300倍前後で月などを眺めても青ハローを感じず、自然な色合いでシャープに高倍率の観察ができます。また周辺まで補正がよく施されていますから、低倍率にして夜空を眺める場合も周辺像の乱れが少なく快適です。古典的なアクロマート鏡筒や口径比の小さい短焦点アポクロマート鏡筒とは一線を画す、落ち着いた、よく収差の補正された見え味です。このような眼視性能の高さをまずは強調しておきたいと思います。それでは天体写真撮影の結果のご紹介です。

 

【直焦点撮影】

f:id:starbase:20211025211023j:plain

リングの取り付けです。

この状態では焦点距離825mm(F8)です。鏡筒にフィールドコレクターが内蔵されていますので、補正レンズは追加せず(ただしVC用延長チューブが別途必要です)このままの状態で天体写真撮影に使えます。眼視と同様にやはり色収差は感じず、星ぼしの色合いを自然に写しとめられます。35mmフルサイズでも周辺減光は軽微でフラット補正は行いやすいと感じました。

 

f:id:starbase:20211023132914j:plain

AX103S(直焦点) + Canon EOS6D(IR改造) 1枚撮って出し

中心から周辺まで星像の均一性に優れています。周辺光量にも余裕があり、画角周辺に明るい星があっても口径食による光条は発生しにくいようです。均一性の高さが印象的です。

 

f:id:starbase:20211023133446p:plain

各600ピクセル四方の切り出し

中央と右下から各600ピクセル四方で切り出したものです。右下の画像は星像の肥大などもほぼ無く、画像中のどのあたりから切り出したのか分かりませんね。公開されているスポットダイヤグラムの通り、素晴らしい結像です。

 

f:id:starbase:20211023110537j:plain

AX103S(直焦点) + Canon EOS6D(IR改造) フラット画像

 

F8というと近年の写真用鏡筒のトレンドであるF4~F6程度よりも「暗い」状態ではありますが、最近の高感度なカメラと組み合わせれば、極端に淡い対象でなければ無理なく写しとめられると思います。補正レンズ無しでこれだけ「フラット」(結像と周辺光量の両方の意味で)な画像が得られるので、眼視と撮影を頻繁に切り替える場合でも使いやすいのが魅力ですね。

 

この日は急激に気温の降下する夜で、レンズヒーターも使用しておらず、対物レンズが結露してしまいました。数枚撮って、結露がひどくなったらクリーニングクロスで拭いて…を繰り返しながらなんとか撮り続け、一応、画像処理を行いました。↓↓↓

f:id:starbase:20211023110100j:plain

アンドロメダ銀河 AX103(直焦点) + Canon EOS6D(IR改造)

 

★本記事はまだ続きます!★

 

 

続きまして

レデューサー併用撮影】です。

f:id:starbase:20211025211123j:plain

リングの取り付けです。

AX103SレデューサーHDと組み合わせると焦点距離が825mm→635mm(F6.2)となり、この状態でも35mmフルサイズで写真撮影が可能です。

f:id:starbase:20211022170139j:plain

M45 AX103S + レデューサーHD + Canon EOS6D(IR改造)

この状態でも色ハローがほとんど発生しないので、この作例のように明るい星から暗い星までそれぞれの色合いを表現しつつ「輝き感」を表現したい場合にはとても適しています。周辺での星像の崩れは軽微なので安心です。

 

f:id:starbase:20211022170709j:plain

AX103S + レデューサーHD + Canon EOS6D(IR改造) 撮って出し

 

f:id:starbase:20211023143215j:plain

上の画像の等倍切り出しです(各600ピクセル四方)

 

f:id:starbase:20211022170833j:plain

AX103S + レデューサーHD + Canon EOS6D(IR改造) フラット画像

 

AX103Sは、一見するとF8というスペックのために眼視性能ばかりが注目されがちですが、実は2通りの焦点距離でかなりのハイレベルな天体写真のできる鏡筒でした!

 

★★★★★

本日より11月30日まで、AX103S鏡筒の限定セールを開始します!台数にも限りがございますのでご検討はお早めに!

★★★★★

 

 

 

【セレストロンC8 + レデューサーSCT用】 見かけの小さい天体の撮影に活躍します!

f:id:starbase:20211001180741j:plain

M27 C8 SCT + レデューサーSCT用 + ZWO ASI2400MC Pro + オプトロン L-eXtremeフィルター 総露光110分 / 神奈川県川崎市にて撮影 ※マイクロフォーサーズ相当にトリミングしています

 

今回はセレストロンのC8 SCT OTA CG5鏡筒を使った天体写真撮影の結果をご紹介します。

 

本鏡筒は単体では口径203mm / 焦点距離2000mmで、その大口径を活かして月や惑星の観察・撮影を中心としてマルチに活躍する製品です。それに

レデューサー0.63× SCT用

Tアダプター SCT用

・市販のTリング(下図ではビクセンTリング(N)

・カメラ

と接続すると 焦点距離1280mm f/6.3となります。

f:id:starbase:20211001184812j:plain

C8 + レデューサー0.63× SCT用 の取付例

 

これだけの長い焦点距離なので、きちんと天体写真を撮ろうとするとオートガイドは不可欠です。今回はC8鏡筒下部の長いアリガタレールを活用して、

NorthernCross アリミゾマウント(中)

QHYCCD miniGuideScope

QHYCCD QHY5L-II M

を組み合わせて「コバンザメ方式」で吊り下げるようにして取り付けました。

f:id:starbase:20211001191011j:plain

f:id:starbase:20211001191033j:plain

この方法でオートガイドは全く問題なく成功しました。鏡筒下部にアリガタレールが付いている機種ではおすすめの方法です。

 

さて、撮影後の画像はこのような感じです。(冷却CMOSカメラなのでデジタル一眼レフカメラの「撮って出し」とは異なります)

f:id:starbase:20211001191656j:plain

周辺光量落ちと、周辺では像がやや崩れますが、マイクロフォーサーズAPS-Cの範囲に限れば周辺光量落ちも少なく像もシャープです。このくらいのセンサーのカメラと組み合わせれば、F6.3の明るさを活かして系外銀河や惑星状星雲、星団などの撮影に活躍しそうです!

 

f:id:starbase:20211001195810j:plain

画像処理後(35mmフルサイズ)

f:id:starbase:20211001180741j:plain

上の画像をマイクロフォーサーズ相当にトリミングしたもの(色調も微調整しています)

 

C8鏡筒は口径20cmクラスにも関わらず、【本体5.7kg・全長432mm】とかなり軽量コンパクトなのも魅力です。比較的小型の赤道儀にも載せやすい鏡筒で、いつもは自宅近くから月や惑星を楽しめます。夜空の暗い所では光量を活かして星雲や星団を見るのも楽しいです。それに加えて、このレデューサーを使えばf/10→f/6.3まで明るくなるのと同時にマイクロフォーサーズAPS-C程度までの範囲でシャープな像を写せるので、マルチに使えるコストパフォーマンスに優れた鏡筒と言えると思います。

 

同じ20cmクラスの鏡筒では、より中心像の鋭いMewlon180CMewlon210、Fの明るいR200SS、天体写真性能を高めたEdgeHD800-CG5などがあり激戦区ではありますが、そこにお求めやすい価格のマルチプレーヤーC8 SCT OTA CG5 も加わって、ニーズに合わせたものをお選びいただけます!

 

-----

 

※今回はデジタル一眼レフカメラではなくZWO ASI2400MC Proでの撮影です。冷却CMOSカメラの画像処理過程になじみのない方も多くいらっしゃると思いますので、そのあたりは今後の記事でご紹介したいと思います。

※光害のつよい神奈川県川崎市からの撮影です。ワンショットナローバンドフィルター オプトロンL-eXtremeを使っています。こうした話題もご紹介していきたいと思っております…!