11月14日に堂々発売をした「FSQ-85EDレデューサーQB0.73×」は、大変な人気を博しておりまして多くの方にお買い求めいただいております。ありがとうございます。なお、在庫につきましては潤沢にございますので、本記事や前回の記事などをご参考にじっくりご検討いただければと思います。
それでは早速!作例のご紹介をしていきます。まずは、前回の記事でご紹介できなかったフルサイズカメラでの作例です。
スポットダイヤグラムを裏切らない素晴らしい星像を実現しています。フルサイズ周辺でも申し分はないでしょう。
今回は、馬頭星雲(IC434)やM78星雲、オリオン座の三つ星(2等星のアルニタク、アルニラム、ミンタカ)を含む構図にしてみました。中心から周辺まで均一でシャープな星像が得られています。周辺減光の様子は画像をご参照ください。
APS-Cサイズのカラー冷却CMOSカメラ「ZWO ASI2600MC Pro」でも撮影してみました。
いかがでしょうか。総露光は約1時間12分です。
近年の長時間露光傾向をふまえれば、決して長いとはいえない総露光時間かと思います。また撮影地も、天の川の見える場所ではありますが、南側の低空は少々街明かりも気になるような場所で、主観ではありますが"非常に暗い"といえるところではありません。ただ、透明度とシーイングはよい日でした。
このように"長い"とは言えない総露光時間&"とても良い"とは言えない条件で撮影した、このオリオン大星雲。周囲のもくもくまで結構写ってくれて撮影したスタッフもビックリです。これを実現してくれたのは、何といっても「F3.9」という明るいF値でしょう。
さらに明るい星雲部分を拡大してみます。
1時間ちょっとでこれだけの解像度を実現できるのかと驚きました。今更ながら「FSQ-85EDP鏡筒」のポテンシャルの高さを再認識します。やはり、自信を持ってお勧めできる素晴らしい鏡筒に間違いありません。
M42以外にもいくつかの対象を"短めの"総露光時間で撮影してみました。
馬頭星雲や燃える木の構造も十分に解像してくれています。
続いてばら星雲です。
ばら星雲は冬の天の川の中に位置する星雲のため、これまでの3作品と比較して恒星が多く写っている印象です。撮影した日は、シーイングが非常に悪く星像がぼてっとしてしまっていましたが、画像処理をしてみたら星の色は良く出たという印象でした。
いかがでしょうか。
どの対象も1時間ほどと、短めの総露光時間ながら十分な写りを得ることができ、仕上がった作品にも満足することが出来ました。
昨今は「1晩1対象」や「長時間露光は正義」のような雰囲気を感じることもありますが、貴重な仕事の休みを使って、数時間運転して、寒い中頑張って機材を設置したのなら「たくさんの対象を撮影したい!」と思うのも自然かと思います。
今回は「FSQ-85EDP+FSQ-85EDレデューサーQB0.73×」という組み合わせで撮影していますが、F3.9という非常に明るいF値や、その鏡筒の光学性能の高さを生かせば、一晩にたくさんの対象を撮影して楽しむことも十分可能だと感じさせてくれました。
さらには、せっかくですので自宅のベランダ(中程度の光害地)で オプトロンの「L-eXtremeフィルター」を使用して比較的長めの総露光時間でも撮影してみました。撮影開始したら寝てしまう、お気楽の睡眠撮影です。
星雲の色は先のM42のようにはいきませんが、長い総露光時間のおかげで背景が滑らかになり、無理のない表現が実現できているかと思います。自宅のベランダなどじっくり撮影できる場所から、このようにお気軽撮影を行うのにも、Fの明るい光学系は便利です。
なお「FSQ-85EDレデューサーQB0.73×」を取り付ける場合「カメラ回転装置M」が必要になりますが、「FSQ-85ED鏡筒」をお使いの場合はこれを買い足していただくことになります。しかしまずは安価にスタートしたい…という場合、カメラ回転装置Mの代わりになる延長筒として「主焦点補助リング(M72 P1.0 32mm延長筒)」をご使用いただくことも可能です。
今回は以上となります。ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
オリオン座が日付をまたぐ頃に南中する、冬の星雲星団が撮影しやすい時季となりました。鏡筒のポテンシャルの高さ、明るいF値と周辺像の良さを実現するレデューサーを使って、メジャーで明るい星雲星団をたくさん撮影してみませんか?