スターベース東京のブログ

スターベース東京のブログです。店頭の様子や機材情報を中心に書いていきます。不定期更新。

【FSQ-85EDP + レデューサーQB0.73×】 さすが専用品!新型レデューサーは超シャープです

 

天体写真を撮ると周辺までシャープに写り、眼視用としても抜群の中心像が得られる「フォトビジュアル」の大人気機種 FSQ-85EDP に、このたび専用品のレデューサーが登場しました。その名も FSQ-85EDレデューサーQB0.73× です。これまでMewlon-CRSシリーズと共用であった従来品レデューサーQE0.73×に対し、FSQ-85EDP専用の設計とすることで結像性能を一層向上させた製品です。

FSQ-85EDレデューサーQB0.73×

スポットダイアグラムを見ると中心から半径8mmのあたり(ZWO ASI533MC Proなどの最周辺に相当します)までは大きな差はありませんが、それより外側では星像の収束が改善されていることが分かります。

他の補正レンズも合わせてスケールを統一して並べてみました。新型品のレデューサーはフラットナーをわずかに上回るほどのスポットダイアグラムとなり、しかもイメージサークルΦ44mmを維持したままFが明るくなるので驚きます。

この度は新型レデューサーを使った撮影を行いましたので、その結果をご紹介いたします。

 

1.フルサイズの周辺像は◎

35mmフルサイズのデジタル一眼レフカメラ Canon EOS6DのIR改造機を使って撮影しました。

1枚撮って出し

等倍切り出し

フルサイズ最周辺まで色ハローが無く、しかも星像はほぼ真円を維持しています。F3.9の明るさでこの結像なので、すごいです。

 

従来品と同じ構図で撮り比べたデータはこちらです。シーイングの変化を避けるため、同じ夜に連続して撮影を行いました。

PixInsightの Aberration Inspector 機能で出力した2画像を並べました

こうしてみると、特にフルサイズの周辺において新型品の結像性能のすさまじさがよく分かります。

 

2.ミラーボックスケラレが少ない!

デジタル一眼レフカメラにはミラーボックスがあり、その枠自身や撮影時に跳ね上がったミラーが光路中の遮蔽となって周辺減光を生じることがあります。これがミラーボックスケラレです。

ミラーボックスケラレは画像の上下で横辺に沿った直線状の減光として見られ、特に画像の下側(実際のカメラでは上側=ミラーの跳ね上がった側)で強く生じます。従来品と新型品で、その程度を比較してみました。

RAW画像(ベイヤー配列)のまま「新型で撮った画像」を「従来品で撮った画像」で除算し、ぼかしてレベル調整(強調)したものです。上下の明るい領域が【新型のほうが光量の多い部分】 を表しています。

Fの明るい天体望遠鏡ではミラーボックスケラレが強く出る傾向がありますが、新型では従来品に比べて影響が軽減されていました。ミラーボックスケラレに関してはフラット補正でも補正が難しいので、一眼レフカメラをお使いの方にとっては嬉しい特長です。

これに関連して、画角の最周辺で明るい星に発生する放射状の光条(カメラマウントやミラーボックスでのケラレ由来)も、新型品のほうが目立たなくなっている印象を受けます。

※ミラーボックスケラレの程度はカメラにより異なります。今回はCanon EOS6D(IR改造)での結果です。他機種についても結果が得られ次第ご紹介いたします。

 

3.APS-Cセンサーでの比較

ここまでは35mmフルサイズで比較を行いましたが、最近はAPS-Cやそれより小さなセンサーを使ったカメラが人気です。小型の冷却CMOSカメラを使って素晴らしい写真を撮る方が増えています。皆様が気になるであろうAPS-Cまでの範囲では結像性能に差があるか?」も見ていきます。フィルターの有無による結像性能の比較も気になるところです。

以下にそれぞれの組み合わせで撮影した画像の、APS-C左上隅300ピクセル四方の切り出しを掲載します。

カメラはZWO ASI2600MC Proで、下段ではZWO IR/UVカットフィルター(2インチ)をカメラマウントDX-WRの対物側内側にねじ込んでいます。

<フィルター無しの場合>

APS-C での周辺像でも新旧レデューサーの結像に差が見られます。しかし従来品でも星像は丸くて色がずれているだけなので、画像処理によって新型品とほぼ変わらない結果に出来ると思います。

<フィルター有りの場合>

光路中にフィルターを追加すると、フィルター(ガラス)中を光が通過することによる諸収差の変化、フィルターの厚みに応じたバックフォーカスの光路長現象などの影響で結像性能が変化します。

このとき従来品では星像が放射状に伸びてしまいますが、新型品ではフィルターを入れてもなお真円を保っていて大変良好です。なお星像の"大きさ"に関してはシーイングの影響を受けているので完全な比較はできません。

最近は市街地から光害カットフィルターを使って天体撮影することが増えているので、そうしたニーズに対しても、新型の「フィルターを入れても最低APS-C周辺までは真円のまま」という特性は魅力的です。(フルサイズでフィルター有無の比較は、機会があれば後日行いたいと思います。)

 

4.作例写真(M33)

FSQ-85EDP + FSQ-85EDレデューサーQB0.73× + ZWO ASI2600MC Pro
ゲイン100 -15℃ 3分×40枚(総露光2時間)

APS-C冷却CMOSカメラによる撮影です。総露光時間は2時間とそう長くはありませんが、F3.9の明るさに助けられて滑らかな結果を得ることが出来ました。

撮って出し(ASIFitsViewで明るさ調整)

APS-Cセンサーでも周辺減光はありますが、フラット補正によって綺麗に補正できました。FSQ-85EDフラットナー1.01×使用時と同じく中心から周辺まで色ハローが無く均一にシャープな写りなので、使っていてとても心地よく感じました。

 

今回最もシーイングの良かったコマです。

ASIFitsViewの機能で星の大きさを評価してみました。中心からAPS-C周辺まで星の大きさが均一なことが数値でも見て取れます。すでに秋~冬の気流となって肉眼でも星のまたたきが分かる条件でしたので、鏡筒の光学性能が完全には発揮できていないと思われますが、この時期にこれだけシャープに撮れればかなり良いのではないかと感じます。

 

5.その他の特長

鏡筒の前後バランスが多少改善されている

無限遠にピントを合わせた状態。ドロチューブ繰り出し量は約10~15mmです。

従来品「レデューサーQE0.73×」は光軸方向の長さが約45mmあり、さらにカメラを取り付けるので全体の重心がリアヘビーになりがちでした。前後ネジに対してレンズ位置の異なる「レデューサーQR0.73×」ではレデューサーの大部分がドロチューブ内に隠れるものの、逆にドロチューブの繰り出し量が増大して、結局リアヘビーの状態は変わりませんでした。
それに対して新型のFSQ-85EDレデューサーQB0.73×は、レデューサーの大部分がドロチューブ内に隠れて光軸方向の取付厚みが25mmと短く、しかも無限遠にピントを合わせた際のドロチューブ繰り出し量はわずか10mmほどです。したがって重心位置が比較的対物側に寄っていて、これまでよりも前後バランスを改善できています。

 

・カメラのスケアリングエラーに対して鈍感

従来品と新型品ではベストピントの前後で星像の傾向が異なります。どちらも中心像は〇→・→〇ときれいな円形ボケとなりますが、周辺像では

※模式図です

と変化します。このためもしカメラ側にスケアリングのエラー(センサー面の傾き)があっても新型のほうが「四隅の星像の傾向が似ている」という特長があります。

 

 

まだまだ撮りためたデータがありますので、今後もご用意ができ次第ご紹介してまいります!FSQ-85EDP鏡筒の魅力をまた一つ増やしてくれる新型レデューサー「FSQ-85EDレデューサーQB0.73×」。ぜひご検討ください。

 

中心像がすごい!!! タカハシTPLアイピース実視レビュー

AbbeやLE、Erfleに代わる新時代のタカハシ標準アイピースとして今年7月に登場したTPLシリーズ。発売当初は12.5 / 18 / 25mmの3種でしたが、この度6mmと9mmが追加されて一層選びやすくなりました。

今回、スターベースのスタッフが実際に覗いた感想を記事にしましたので、皆様のアイピース選びのご参考になれば幸いです。

 

※眼視は個々人の身体(眼球→網膜→脳)を使って楽しむ行為です。見え方そのものや、見え方に対する「好み」も人それぞれです。本記事の内容はあくまでもスタッフの主観に基づいたものですのでご了承ください。

今回はTOA-130NFBにアイピースを差し替えてテストを行いました。恒星時追尾を掛け、常に対象が視野中心となるようにして観察しました。観察した日のシーイングは標準的でした。

 

 

私の思う「TPLアイピースの魅力」

TPLアイピースは設計こそ"標準的"なプローセルですが、以下の点においてかなり"特殊"な見え味の製品だと感じております。

1.ベストピントの瞬間に見え味が大きく変わる

2.像が明るい

 

<1.ベストピントの瞬間に見え味が大きく変わる>

中心像の見え味に関する内容です。標準的なアイピースでは、ピントを合わせる最中に “ベストピントのシャープネスはきっとこの位だろう” と予想ができて、実際その通りの結像になるのですが、TPLアイピースベストピントの際に予想を大きく超えてシャープネスがグググッと伸びるので驚きました。

※主観にもとづいたイメージです

この現象はタカハシ旧製品のAbbeシリーズ等でも感じていました。しかしTPLではベストピントの瞬間の「シャープネスの伸び」が凄まじくて驚きます。

しかも、この「一気にシャープになるピント範囲」が、Abbe等ではカミソリの刃のように"薄い"のに対し、TPLではわずかではありますが"範囲"と呼べるくらいには広いと感じます。

 

TPLアイピースではベストピントの範囲では、シャープネスが一気に向上しますが、同時にコントラストがもう数段上がって、惑星表面の模様などの濃淡の「濃」が一層濃くなるように感じます。

(視野の背景そのものが暗くなっている訳ではなさそうなので、あくまで気持ちの問題かもしれませんが…。)

 

 

<2.像が明るい>

レンズ枚数の多い広角アイピース等との比較ではもちろんですが、シンプルなタカハシAbbeシリーズと比較しても、やはり像が明るく見えます。

TOA-130NFBにAbbe6mmとTPL-6mmを取り付けてみずがめ座ζを観察した際にこれが顕著でした。みずがめ座ζは4.3等と4.5等の重星で、現在の離角は約2.4秒です。Abbeを覗いてからTPLに変えると明らかに像が明るく感じます。0.2等の差ですが重星のどちらがより明るいかを覗いた瞬間に判別できました。TPLは色合いが暖色系にならずニュートラルな感じなのも好印象です。

他の焦点距離でも、TPLアイピースは他のアイピースよりも像が明るく見えると感じます。重星の分離や暗めの惑星(土星天王星など)を観察するのにはvery goodです。

 

「レンズ全面を可視光全域で99%以上を透過する多層膜コートにし、迷光の入りにくい金物構成に良質な艶消し塗装を施している」(タカハシwebサイトより)

という工夫が効いているのでしょうか?TPLは「背景が暗く引き締まる」という感じではなく、「天体の明るさだけが明るくなっている」ような印象を受けました。不思議です。

 

 

★低~中倍率のTPLアイピース

こちらもTOA-130NFB鏡筒に取り付けて月面を観察してみました。

TPL-12.5 / 18 / 25mmも、高倍率の6 / 9mmと同様の印象です。ベストピントとなる瞬間に、シャープネスとコントラストが想像以上に向上します。ここで気づいた点を追加します。

 

<3."エッジ"が無い?>

いわゆる「エッジの立ちが鋭い」アイピースというと、月面クレーターなどの明暗部分で"明るさにメリハリのある領域"がくっきりしているような印象です。しかしTPLの見え味は、これとは異なるように感じます。

※スタッフの主観に基づいたイメージです

TPLアイピースで月のクレーターを観察した際など、背景の真っ暗な領域からクレーターの明るさまで、一瞬で輝度が上がったり下がったりする印象です。天体写真などでアンシャープマスクを掛けたときのような「フチがしっかりある」という感じではなく、「フチ」が無い…と言うべきなのでしょうか。このためかどうか分かりませんが、月面クレーターの "輝き感" は、LEやAbbeよりも一層強く感じられました。

 

タカハシwebサイトで公開しているデータをこちらに転載します。

タカハシwebサイトより転載

AbbeやLEとの比較は全て「エアリーディスク内の出来事」で、果たしてこのようなごく僅かの差が実際の見え味に影響するのか?と思う方も多いでしょう。しかし私の感想としては確かにTPLのほうがシャープに見える、と思います。

 

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ここまでTPLアイピースのいい所ばかり書いてきましたが、使用に際し注意が必要な点もあります。

1.アイレリーフが短い

2.視野は広くない(48°)

3.見口ゴムの折り返しに「慣らし」が必要

 

TPLはレンズ構成枚数の少ない古典的な設計を出発点としており、アイレリーフは長くありません。TPL-6mmやTPL-9mmの金物設計を見るとアイレンズ部分の金物が眼の側に飛び出しており、少しでも覗きやすくしたい…という努力は感じますが、それでも眼鏡が必須な方にはなかなか厳しいと感じます。

私は近視(望遠鏡のピント調整で補正できます)に加えて軽度の乱視(同:できません)があるので、できれば眼鏡を掛けたまま覗きたいです。しかしTPL-25mmでさえ、眼鏡を掛けたままでは全視野を一度に見渡すことがギリギリ出来ませんでした。高倍率で観察すれば乱視の影響は比較的穏やかになるので、私は眼鏡を外して覗くことができました。TPL-6mmやTPL-9mmでは目の周りの皮膚をアイカップに押し付けるようにして使用する格好になります。

 

見かけ視界は48°と広くはありませんので、いずれにしても「広い視野で臨場感たっぷりの見え味」というタイプのアイピースではなく、TPLは「中心像のシャープネスとコントラスト」に特化した製品という認識です。(良質なバローと組み合わせれば周辺像は改善できると思います。)

 

それから、ゴム見口も新しくなっています。

TPLのゴム見口はやや硬めで、最初は折り返しても数分で元に戻ってしまいました。ですが何度か折り返しているうちに馴染んできたようで、今は一度折り返せばしばらくそのままの状態を維持できるようになりました。

 

31.7mmスリーブ部分の意匠も新しくなっています。

個人的にはお洒落な感じがして好みですが、いかがでしょうか?

 

今回も長文の記事を最後までご覧くださりありがとうございました。TPLアイピースこれから天体望遠鏡を手にする方のハイグレード標準アイピースとしてはもちろん、明るくシャープな中心像を求めるマニアの方の追加アイピースとしても、自信を持ってお勧めできる製品です。ご検討をどうぞよろしくお願いいたします。

 

商品ページはこちらです。↓↓↓

www.starbase.co.jp

※眼視は個々人の身体(眼球→網膜→脳)を使って楽しむ行為です。見え方そのものや、見え方に対する「好み」も人それぞれです。本記事の内容はあくまでもスタッフの主観に基づいたものですのでご了承ください。

 

 

 

タカハシの7×50ファインダーをガイド鏡化するアダプターのご紹介です!

今回はスターベースオリジナルの天体撮影便利グッズのご紹介です!

先日販売を開始した「7×50ファインダー ガイド鏡化アダプター」は名前の通りタカハシの7倍50mmのファインダーをガイド鏡として使用できるようになるアダプターです。

対物側は M41.5 P=0.75 のオスネジとなっております。
反対側は31.7mmスリーブの構造です。

7×50ファインダーに取り付けると以下のような感じになります。

画像では白いファインダーを使用していますが、もちろん黄色いタイプのファインダーにもご使用いただけます。取り付けの際は、下の画像の赤線部分で接眼側を外していただく形になります。ご購入前に、お手元のファインダーのこの部分が取り外し可能か(固着していないか)ご確認をお願いいたします。

ねじ込み式のため取り外せるようになっています

焦点位置は、ほとんどの場合でアダプター後端から外側に1-3mmほど出たところになります。そのため、「ZWO ASI120MM Mini」のような "センサー面を奥まで差し込めるタイプのガイドカメラ" であれば、問題無く無限遠にピントを合わせることができます。

逆に「ZWO ASI585MC」や「ZWO ASI533MC」など、径が太く奥まで差し込めないタイプのカメラはご使用いただけませんのでご注意ください。

本アダプターの適合

ZWO ASI120MMminiを取り付けた様子

また「QHY 5L-II M」のような"全体の直径が31.7mm以下のガイドカメラ"の場合、取り付け時に対物レンズに落下させないように注意が必要です。必要に応じて当店オリジナルの落下防止アダプター(同焦点リング)を併用いただくこともご検討ください。

 

さて、実際に鏡筒にも取り付けてみましょう。スタイリッシュでまとまった雰囲気を感じましたが、どうでしょうか。

FSQ-85EDPに取り付けてみました
この鏡筒にはファインダーは標準では付属しておりません

各部の固定がしっかりしていますので、高いガイド精度が期待できます。実は、当ブログ記事「すごいぞ! FSQ-85EDP+フラットナー1.01× で天体撮影」で北アメリカ星雲とペリカン星雲を撮影した際は、このガイド鏡アダプターの試作品を使用しておりました。当該記事にも「恒星が流れて(星が伸びて)いたり、ブレていたりしたコマは1つもありませんでした」とある通り、十分なガイド精度を得ることができました。

少し見にくいですが赤枠の部分にガイド鏡化アダプターを取り付けてあります。
試作品のためシルバーカラーです。この時は「QHY 5L-II M」を使用しました。

「7×50ファインダー ガイド鏡化アダプター」はお値段税込み 3,300円 、数量限定での販売です。ぜひご検討ください!

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すごいぞ!!【FC-76DCU+76Dレデューサー】とモノクロ冷却CMOSカメラで高解像度☆天体撮影

ここ数年のカメラ関係機器のめざましい進歩により、フィルターを活用して光害地域でも天体写真を撮影する手法が注目されています。中でも、カラー冷却CMOSカメラ + デュアルナローバンドフィルターの組み合わせはたいへん人気で、当店でも多くの方にお求めいただいております。先日こちらの記事でご紹介させていただきました「Optolong L-Ultimate フィルター」など、半値幅のきわめて狭いフィルターも登場しており、カラー冷却CMOSカメラでの撮影の幅はますます広がっていきそうです。

一方「モノクロ」冷却CMOSカメラは、最低でも3色、つまりカラーカメラの3倍撮影し、RGBチャンネルごとに位置合わせをした上でRGB合成を行わないとカラーの作品として完成しないことから、気軽に天体を撮影したい場合には敬遠されがちでした。

とはいえ、一つの「色」ごとに全ての画素を使って撮影し高い解像度を実現できる点は、モノクロ冷却カメラの大きなメリットです。そこで本記事ではHαフィルター"だけ"を使って光害地から撮影した写真をご紹介いたします。「色」は付きませんがカラーカメラで撮影するよりも高解像度です。このような撮影・鑑賞法もアリではないでしょうか?

 

以下にご紹介しますのは、タカハシのFC-76DCU + 76Dレデューサー + ASI294MM Pro + Hα ナローバンドフィルターを使用した作例です。

NGC6888 クレセント星雲周辺
撮影鏡筒 タカハシ FC-76DCU76Dレデューサー
撮影カメラ ZWO ASI294MM Pro -5°冷却
フィルター  ZWO ナローバンドHaフィルター 7nm
露光時間 60秒 × 141コマ(総露光 2時間21分)
画像処理 ステライメージ9 FlatAidePro PhotoshopCC
中程度の光害地で撮影

使用したタカハシの「FC-76DCU」はファインダーを含めて1.9㎏とたいへん軽量でコンパクトな2枚玉フローライトアポクロマート屈折望遠鏡です。別売の「76Dレデューサー」を併用すればF/5.5 焦点距離417mmとなり、速写性が向上し、より広い範囲を一度に撮影できるようになります。軽量なためにコンパクトな赤道儀にも搭載しやすく、ご自宅のベランダからの撮影も可能です。

今回撮影を行った場所もスタッフの自宅のベランダで、天の川はもちろん見えないどころか、頑張ればなんとか南斗六星が見える気がするような光害の影響が大きい地域です。


暗い空・・・とはとても言えないような場所です。M16を撮影中です。画像は記事の後半でご紹介します♪

今回は2"(48mm)のHαフィルターを使用し、ZWOのマウントアダプターII・ASIカメラ全般用の内側にねじ込んで取り付けています。フィルター外枠とマウントアダプター内壁までの距離が1.5mmほどしかありませんので取り付けの手間は掛かりますが、2"(48mm)フィルターをここに取り付けできて便利です。

 

以下に撮って出しとスタック後の画像もご紹介いたします。

左:撮って出し(1分露光) 右:スタック後(1分×141コマ)

1分露光の撮って出しでは、中心のクレセント星雲が一応確認できる程度の写り(それでも十分にすごいのですが)でしたので、「クレセント星雲、ちゃんと写るかなぁ~」と少々不安を感じながら撮影をしていました。ところが、スタック(コンポジット)後に出てきた画像を見てビックリ!!星雲がハッキリ写っていて、背景のガスのうねりも分かります。画像を見ただけでも嬉しく感じ、その後の画像処理もそこまで複雑な操作は行いませんでした。(ステライメージ9のコンポジットパネルでスタック→FlatAideProで恒星が飽和しないように対数現像→PhotoshopCCのCamera Raw フィルター・トーンカーブを使用して強調処理を施しています。恒星を分離したり、星マスクを作成したりするなど、恒星を保護するような処理は行っておりません。)

 

ただ、ダーク減算とフラット補正は行っています。このような撮影の場合、面倒でもこれらは行ったほうが良いと感じます。

左はダーク減算・フラット補正「あり」右は「なし」ですが、その差は一目瞭然です。天体写真の画像処理では非常に強い強調処理を行うため、周辺減光など星雲とは関係のないムラは、可能な限り補正しながら処理を進めていくことが大切です。またダーク減算はディザリングガイドを行うことで省略することも可能ですが、今回使用した「ZWO ASI294MM Pro」では、アンプグローを消すためにもダーク減算はぜひしたいところです。ダーク画像やフラット画像の取得は面倒に感じがちですが、結果に大きな差があります。

 

今回は同じ機材・撮影地で、M16も撮影してみましたのでご紹介します。

M16 わし星雲
露光時間 60秒 × 161コマ(総露光 2時間41分)

わし星雲の中心部には、ハッブル宇宙望遠鏡の画像で有名な「創造の柱」があります。なんとなく"あこがれ"を感じる創造の柱、撮影中もプレビュー画面を拡大して、写り具合を確認しながら楽しく過ごしていました。

 

そしてやはり「想像の柱」部分を拡大して画像処理してみたくなりましたので、超クローズアップの作例も仕上げてみました。

光害地で撮影したとは思えないような解像感で、処理していてとても楽しく感じました。これを実現しているのは、FC-76DCUのポテンシャルの高さ &  ASI294MM Pro の超高密度なセンサーのおかげでしょう。ASI294MM Proはマイクロフォーサーズのモノクロ冷却CMOSカメラで、8,288×5,644ピクセルという高い解像度と2.3μmの小さなピクセルサイズが魅力です。ほどよいセンサーの大きさと、超高画素を両立しているカメラですので、上記のような創造の柱のクローズアップなど、画像の一部を強拡大して作品を仕上げるという楽しみ方も十分可能となっております。

 

同様にM8も撮影してみました。が、途中で曇られてしまいあまり露光時間が稼げませんでした。

M8 干潟星雲
露光時間 60秒 × 64コマ(総露光 1時間4分)

露光時間が短い分、上記2対象と比較すると解像度に欠けるようにも感じますが、考え方を変えますと約1時間の露光でこれだけ写ってくれれば十分と捉えることもできるでしょう。ご自宅や近くの公園などで1時間ほどの露光をするという方法でしたら、お仕事などが忙しくて天体写真をやる暇がない!という方でも撮影に取り組みやすいかもしれません。実際、たった1時間でも素晴らしい解像度で、中心部分のみをトリミングして処理しても、十分魅力的な画像に仕上げることができました

天体写真の画像処理は”難しい”というイメージをお持ちの方も多くいらっしゃるかもしれません。私は画像処理の中でも特に「色がうまく出ない」「カラーバランスの調整が難しい」「色が変になってしまう」など「色」に関して悩むことが良くあるのですが、モノクロ画像の場合はこの「色」について悩むことはありません。だってモノクロなのですから。モノクロ画像の画像処理はカラー画像よりもしやすいように思います。

 

さて今回は「FC-76DCU+76Dレデューサー」と「ASI294MM Pro+ナローバンドHαフィルター」で楽しむ高解像度モノクロ天体写真についてご紹介してきました。モノクロカメラをカラー合成用の道具ではなく「モノクロの作品を楽しむカメラ」として考えるのは、現代ではちょっと新しい考え方かもしれません。それでも今回私は、撮影でも画像処理でも十分満足することができました!

この夏は、高解像度なモノクロHα天体写真を楽しんでみるのはいかがですか?

 

【今回使った機材のご紹介です】

(1)FC-76DCU鏡筒

アリガタアリミゾ化してお使いになるのなら、こちらのセットがお得です。↓↓↓

 

(2)冷却CMOSカメラ ZWO ASI294MM Pro


(3) ナローバンドフィルター※Hαのみ

今回はZWO マウントアダプターII・ASIカメラ全般用の内部に2"(48mm)タイプをねじ込みましたが、ASI294MM Proでは付属のアダプターを使って1.25"(31.7mm)フィルターも取り付けられます。


Optolong L-Ultimate 究極のワンショットナローバンドフィルターによる作例!

 

当店ブログでは、これまで撮影や電子観望用途に様々あるフィルターについてご紹介してきました。

 

starbase.hatenablog.jp

starbase.hatenablog.jp

 

なかでも Optolong L-eXtreme フィルターはHα、OIII周辺での半値幅7nmというたいへん狭い帯域幅をもち、当店でもワンショットカラーカメラで淡い輝線星雲を撮影してみたい方にとても人気が高いフィルターです。

今回は、この L-eXtreme フィルターよりも更に狭い帯域幅をもつ Optolong L-Ultimate フィルターを使った作例を撮影してきましたので、ご紹介します!

 

L-Ultimate フィルターについて

このフィルターの特長は、なんといってもその狭い半値幅で、L-eXtreme が 7nm なのに対し、L-Ultimate は 3nm になります。これにより、光害の多い地域や撮影に適さない月齢時期であっても、超高コントラストな撮影が期待できます。

L-eXtreme フィルターと L-Ultimate フィルターの比較

左が L-eXtreme、右が L-Ultimate の波長特性です。グラフを一見しただけでも、いかにL-Ultimateの帯域幅が狭いかがおわかりいただけるかと思います。また透過率のピークについては、L-eXtreme が90%を超えているのに対し、L-Ultimate は90%弱なので、若干 L-eXtreme に分があると言えますが、どちらも高い透過率をもっていることがわかります。

 

網状星雲を撮影

今回は山梨県にて、このフィルターで夏の定番(?)の網状星雲を撮影しました。

網状星雲一枚撮って出し
TOA-130NS + TOA-645フラットナー + QHY268C + Optolong L-Ultimate フィルター / -5℃, Gain=26, 6分 ASIFitsViewでオートストレッチ

上記データ(一枚撮り)のピクセル等倍

ダーク減算等の前処理は一切していませんので輝点ノイズはありますが、まず一枚撮りオートストレッチのみでここまで淡い部分まで写った結果が出てくるというのが驚きで、撮影地でも思わず声を上げてしまいました。明るい星がない領域ということもありますが、目立ったゴーストやハロなどもありません

TOA-130NS + TOA-645 フラットナーというひじょうに高い結像性能をもつ光学系に、カメラは QHYCCD QHY268C というカラー CMOS カメラを使用しています。ZWO ASI2600MC Pro と同じセンサです。ゲインはGain=26 であり、ZWO ASI2600MC Pro における Gain=100 に相当します。

途中、温度変化によるピントずれの修正などをしました(帯域幅の狭いフィルターですと明るい星が少ない場合にピント合わせに苦労するのがデメリットと言えます)が、夏場の貴重な撮影時間のうち3時間ほど露光することができました。

TOA-130NS + TOA-645フラットナー + QHY268C + Optolong L-Ultimate フィルター / -5℃, Gain=26, 6分×30枚コンポジット, PixInsight, Photoshop で画像処理

重ねて強調処理をしてみると、網状星雲の複雑な構造だけでなく、東側(外側)のたいへん淡い Hα の構造まで見えてきてさらに驚かされます。3時間と決して長い露光時間ではありませんが、見ごたえのある結果が得られたのではないかと思います。

またこの画像では前処理のうちフラット処理をしていません。TOA-130NS + TOA-645 フラットナー + APS-Cセンサではフィルターを入れていても周辺まで十分な光量が得られていることの証左です。

 

※半値幅の狭いフィルター使用時の注意

F値の小さいεシリーズやFSQシリーズ(レデューサー併用時)などの望遠鏡では、有効口径の「へり」の部分から入射した光は大きな角度をもってフィルターへ届きます。すると目的の波長よりも短い波長成分を透過してしまう「ブルーシフト」現象が起こります。

ブルーシフトの概念図

このように、F値の小さい望遠鏡などに半値幅の狭い干渉フィルターを組み合わせると、有効口径の中央部から入射する光は正しく目的の波長を透過できますが、周辺部から入射する光では星雲の情報をほとんど含んでいない波長を透過することになってしまい、せっかくの「明るい鏡筒」のアドバンテージを発揮できなくなってしまいます。

以上のことから、F値の小さい光学系では極端に半値幅が狭いフィルターは避けた方が無難と言えます。市販の多くの天体望遠鏡では半値幅が6~7nmのフィルターを使えば安心です。逆にミューロンシリーズや今回使用したTOA-130(F7.7)のようなF値の大きな屈折望遠鏡では、今回ご紹介した L-Ultimate のような超強力なナローバンドフィルターを使うメリットがあります。

 

 

いかがでしたでしょうか?

今回は 3nm という究極的な狭半値幅をもつ Optolong L-Ultimate による作例をご紹介しました。これからの時期、そして冬にかけてもこのフィルターの強さを活かせる淡い輝線星雲はいくつかあります。また光害の多い地域などでもその強さを発揮する製品です。ぜひお試しあれ!

フィルターサイズは 2'' と 1.25'' の枠ありをご用意しています。

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<TPLシリーズ追加> タカハシ「TCA-4」拡大率の計算と一覧表

 

2023.11.07  TPL-6mm, TPL-9mm発売に合わせて情報を更新しました。

 

タカハシ「TCA-4」は、アイピースを併用して月や惑星の拡大撮影を行うためのアダプターです。バローレンズとは異なり【中に入れるアイピースや本体チューブの伸縮によって拡大率を変えられる】のが魅力です。

 

TCA-4内部には外径Φ42mmまでのアイピースを入れることができ、タカハシ現行製品ではLE-5mm~30mmと、Abbe / Erfle / TOE / TPL の全アイピースが使用可能です(LE-40mm / LE-50mm / TAK-UW は外径が大きいので使用不可)。

 

TCA-4使用時の「拡大率」の計算式と注意事項、タカハシ製アイピースと主要なカメラを使った場合の各拡大率を下の一覧表にまとめました。

 

画面拡大、または保存→プレビューでご覧ください。

 





 

すごいぞ! FSQ-85EDP+フラットナー1.01× で天体撮影

今回は冷却CMOSカメラによる天体写真作例のご紹介です。

ここ数年での冷却CMOSカメラの普及にはすさまじいものがあると感じます。当店でも、撮影したい対象やご予算に合わせて多くの方にお買い求めいただいております。

冷却CMOSカメラ最大のメリットは、センサーを一定の温度に冷却できることで「正確なダークノイズ減算が可能となる」ことでしょう。これにより、総露光時間を延ばせば延ばすほど、なめらかで質の高い画像を得ることができます。こうしたカメラの特性を最大限活かすため、近年では1つの天体を複数夜にわたって撮影し、以前では考えられないような超長時間露光で作品を仕上げる手法も撮影スタイルの1つとして確立しつつあります。

そこで今回は、天の川がくっきり見える夜空の暗い場所に、タカハシの大人気コンパクト屈折望遠鏡FSQ-85EDPとZWOの大人気冷却CMOSカメラASI2600MC Proを持ち出して、2晩を使って撮影してみましたので作例としてご紹介します。過去にもFSQ-85EDPとデジタル一眼レフカメラを使用した作例をご紹介していますが、今回は冷却CMOSでの撮影になりますのでご参考になればと思います。

FSQ-85EDP + FSQ-85EDフラットナー1.01× + ASI2600MC Pro ノーフィルター
焦点距離 455mm F5.4 3分×205枚 6秒×10枚(総露光 10時間16分) 

大まかな処理フローは、ステライメージ9でコンポジット(スタック)→FlatAideProで対数現像→PhotoshopCCで強調処理という手順です。

もしかすると、今話題のPixInsightプラグインツール「BlurXTerminator(通称BXT)」を使っているかな?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、今回は使用せずに画像処理しています。実は、処理した画像をほかのスタッフに見てもらった際も「さすがBXTだね!」と言われてしまったほどで、使っていないことを伝えたところ、驚きを隠せていない様子でした。

ペリカン星雲部の切り出し画像

スターベーススタッフも「さすがFSQ-85EDP!やっぱり自信を持ってお勧めできるいい鏡筒!!」と再認識した次第です。

※結像性能の指標となるスポットダイアグラムについては、以下の過去ブログ記事もご参照ください。

starbase.hatenablog.jp

 

またFSQといえば、何といってもシャープで色ハローがほぼ全くない星像が魅力です。今回はAPS-Cセンサーでの撮影のためフラットナーは必須ではありませんでしたが、できる限り完璧な星像を得るために FSQ-85EDフラットナー1.01× も使用してみました。以下が撮って出しの画像と周辺像の様子です。

FSQ-85EDP + FSQ-85EDフラットナー1.01× + ASI2600MC Pro
3分1枚撮って出し トーンカーブ調整のみ

周辺像の様子(等倍切り出し)

ご覧の通り、撮って出しからひじょうにシャープで、色ハロー(縦色収差)も周辺像の色ずれ(横色収差)も見られません。またAPS-Cであることもあり、周辺減光もあまり気になりません。

 

今回、そんなFSQを撮影で使用した率直な感想は光学系(→素材画像) の良さが天体写真にもたらす効果は絶大だということです。特に感じたことは

・ベストピントの位置がハッキリわかる

・画像処理がしやすい

この2点でした。以下その詳細をご紹介させていただきます。

 

ベストピントの位置がハッキリわかる

FSQ-85EDPは色ハローのほとんどない芯のある星像で、ピントが合うと「あ!ここがベストピントの位置だ!」とハッキリわかります。今回は鏡筒に標準付属の減速微動装置を使って手動でピントを合わせましたが、ピント位置に迷うことは全くありませんでした

撮影時のピントが天体写真の仕上がりに与える影響は大きく、どんなに鏡筒の結像性能が良くともピンボケ状態で撮影してしまったら、その性能を最大限に活かすことはできません。つまり、撮影時に「いかにベストピントで撮影できるか?」は天体写真を撮影するうえで重要な要素の1つであり、FSQ-85EDPの「星像がひじょうにシャープ」で「ベストピントの位置がハッキリわかる」という点は、たいへん大きなメリットといえるでしょう。

ベストピントの位置が分かりやすいとリフォーカス*1も快適です。これはどんな望遠鏡でもいえることですが、外気温が変化するとベストピントの位置も変化するため、撮影中のリフォーカスはかかせません。したがって、ピント位置を判断しやすいことはリフォーカスの観点からも大きなメリットとなります。今回は約1時間ごとにリフォーカスを行いましたが、慣れてしまえば1分もかからず煩わしさはほとんど感じませんでした。夜の短いこの時期にもかかわらず2日間で10時間以上の露光を達成できたことも、このリフォーカスの快適さによるものが大きかったように思います。

シグナスウォールもたまりません!

画像処理がしやすい

「天体写真は 撮影半分・処理半分」といわれるほど、天体写真にとって画像処理は重要な要素です。画像処理は主に、「整える作業*2」と「強調する作業*3」の2つに分けられます。このうち、整える作業の難易度を高くする要因としてあげられるのが、色ハローや歪んだ星像です。フリンジ軽減など一定の処理である程度改善することはできるかもしれませんが、本来の星の色の情報が失われてしまうなど、画像を改善するための処理が画像に良くない効果を与えてしまうということも起こり得ます。しかし今回の画像では、色ハローに困ることは全くなく、画像処理が快適に行えました!

右下隅(青枠部)の超拡大画像

このように、タカハシのFSQ-85EDPは天体写真撮影に自信をもっておすすめできる間違いのない鏡筒です!さらに、今回改めて感じたことは「これから撮影をはじめる初心者にもおすすめの鏡筒」だということです。

上記2点(ピント位置と画像処理)は初めての方がつまずきやすいポイントともいわれますが、FSQ-85EDPはそのハードルを大幅に引き下げてくれるように感じました。この他にも、定期的な光軸調整の必要がなく取扱いが容易なことや、3.6kgと軽量で焦点距離も短いためにオートガイド精度がそこまで求められないことも、初めての方にとっては心強いメリットとなってくれることでしょう。実際、今回はビクセンのSXD2赤道儀に搭載して撮影しましたが、時おり強風が吹いていたにもかかわらず、恒星が流れて(星が伸びて)いたり、ブレていたりしたコマは1つもありませんでした。これは、赤道儀の剛性によるところもあるでしょうが、鏡筒の軽さや455mmという比較的短めの焦点距離も重要なポイントであることは確かです。

梅雨明けは夏の夜空の本格的なシーズンです。夏が過ぎればアンドロメダ銀河などが天高く輝き、冬はオリオン大星雲に代表される煌びやかな星雲がたくさん撮影できます。

梅雨のうちが機材拡充にちょうどよいタイミングかもしれません。

 

天体写真用鏡筒に FSQ-85EDP はいかがでしょうか?

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2023.07.01 追記

おまけ:冷却カメラの消費電力について

今回の撮影で使用した ASI2600MC Pro を SharpCap に接続し、20秒露光によるライブビューをしながら冷却した際の電流を測定しました。冷却カメラは、冷却後に温度を安定させて使用する時間が一番長いですから、その際の消費電力を主に測定しました。電源は12V DCです。また SharpCap では冷却のパワーも表示されますので、パワーと電流の関係も見てみました。冷却のシステムを考える際に参考にしていただければと思います。

24℃の室温中で測定しましたので、実際の観測中では温度等の条件が変わる可能性があります。AstroPhotographyTool でも近日中に測定してみる予定です。

*1:撮影中に再度ピント位置を合わせることです。

*2:ダーク・フラット補正、コンポジット(スタック)、フリンジ軽減 など

*3:トーンカーブ調整、色彩調整 など