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ミューロン180C、210は量産に向いたDall-Kirkham型で、中心像のシャープさが魅力ですが、周辺像が乱れるのがデメリットとしてさまざまな場所で語られてきました。しかし本当に、ミューロンは中心像「しか」使えないような鏡筒なのでしょうか?
本記事では実写画像をもとに「中心から何mmくらいで像が乱れ始めるか」を確認していきます。
ミューロン180Cを用いた月面モザイク画像です。本画像はZWO ASI174MMで8枚モザイクしていますが、そのうちの1枚(スタック後)はこちらです。
これにシャープ処理をやや強めにかけたものが下の1枚目、それにスケールを入れたものが2枚目です。
ミューロンは「中心像は点だが少しでも外側ではコマ収差が出始める」と言われ、実際たしかにその通りではあります。設計値だけをみれば、Φ6mmくらいから外で像の乱れが気になる可能性があるでしょう。ですが大気の状態やセンサーの選び方によっては、本画像のようにΦ8mmくらいは十分実用範囲内となりえます。
本撮影に使用したASI174MMはセンサーサイズ5.86µmと割と大きめなので画像の粗が目立ちにくく、ASI224MC(3.75µm)やASI290MC(2.9µm)では実用範囲がΦ8mmを下回るかもしれませんが、それでも前者はセンサーの対角長さ6.0mm、後者は6.4mmですから、こうしたカメラではセンサー全面にわたりシャープな画像が得られることと思います。
冷却モデルのASI290MC-Coolなどでは、(Fの暗さやミラーロック機構がないことがネックではありますが)補正レンズなしでも惑星状星雲などの撮影に好適です。