QHYCCD社の新製品「miniCAM8(ミニカムエイト)シリーズ」のご紹介の続きです。DSO撮影用のフィルターが入ったモノクロセンサーモデル「miniCAM8M Deep Sky コンボセット」を、スタッフが実際に使用してみました!


その使用感やおすすめの使い方などをご紹介したいと思います。
- 1.「miniCAM8M Deep Sky コンボセット」 の概要
- 2.「miniCAM8M Deep Sky コンボセット」+「FS-60CB」での実写レビュー
- 3.ここがオススメ!「miniCAM8M」の魅力
- 4.miniCAM8シリーズの新機能「LiniarityHDR」モード
- 5.最後に
1.「miniCAM8M Deep Sky コンボセット」 の概要
miniCAM8シリーズ は【高感度・高解像度のソニー製「IMX585」センサー】+【冷却機能】+【フィルターホイール機構】が搭載されたカメラです。
そして、miniCAM8M Deep Sky コンボセット には、専用のフィルターが「L,R,G,B,SII,Hα,OIII」の7枚入ったセットになっています。(ダーク撮影用の黒いプレートが1枚あり、計8枚となります。)

①から順に、「L,R,G,B,SII,Hα,OII,DARK」のフィルターを挿入しています
2.「miniCAM8M Deep Sky コンボセット」
+「FS-60CB」での実写レビュー
今回、この「miniCAM8M」をタカハシの「FS-60CB鏡筒」に「FC/FSマルチフラットナー1.04×」を使用して、撮影にチャレンジしてみました。
その作例がこちらです!

Linearity HDR モード使用(ゲインオフセット自動設定) 冷却温度:0℃
Hα:120s×30枚 OII:120s×42枚 のHOO合成
総露光時間 2時間24分
いかがでしょうか? モノクロセンサーで各色チャンネルごとに撮影することで、ピクセルピッチ2.9μmの解像度をフルに活かした撮影が可能です。ですが、今回は夏の短い1夜だけの撮影でしたので、各チャンネルごとに十分な露光時間をかけることができませんでした。(モノクロカメラの難しいところです…)
FS-60CB鏡筒は広がった銀河や星雲に適した比較的単焦点の鏡筒で、今回のマルチフラットナー撮影では焦点距離370mm F6.2ですが、miniCAM8Mのようなピクセルピッチの細かいカメラと組み合わせれば、このような見かけの小さい銀河や星雲にも威力を発揮します!
miniCAM8Mの使用レビュー

撮影時の様子 iPhone15 にて撮影
私スタッフ(M)はモノクロカメラでのナローバンド撮影の経験がほどんど無かったため、正直のところいきなり撮影成功とはなりませんでした・・・モノクロカメラでは、プレビュー画面は色のないモノクロ画像のため、初回のトライでは目視で天体を識別しにくく、天体への導入が難しく感じました。
そういったこともあり(前回のブログでは「SharpCap」による接続手順をご説明しましたが、)今回の作例写真撮影時は天体撮影用ソフトウェア「N.I.N.A」を使用し、SXD2赤道儀をワイヤレスユニット経由で接続し、自動導入+プレートソルブを用いて撮影を行いました。(「N.I.N.A」でもminiCAM8の冷却・撮影の制御やフィルターホイールの制御が可能です。カメラの接続やカメラドライバーインストールの手順も「SharpCap」と同様に行うことができます。)「N.I.N.A」では、有料プラン等なくシーケンス撮影をすることもでき、電動フォーカサー(EAF等)と組み合わせれば手間のかかる各色ごとの撮影を自動化できるためオススメです。
※恐れ入りますがN.I.N.A.に関するお問い合わせはお受けできません。ご了承ください。

N.I.N.A での撮影時の様子 iPhone15にて撮影
また、基本的にモノクロカメラでの撮影では、各フィルターごとにピント合わせをする必要があり撮影時の手間が増えますが、逆に鏡筒によっては波長ごとにピントを合わせることで、色ハローを低減できる効果もあるかもしれません!
これはカラーセンサーカメラの光害カットフィルターによるワンショットナローバンド撮影ではできないことなので、モノクロカメラでの撮影の大きなメリットかと思います。
さらに、冷却機能もしっかりしていてセンサー付近には結露防止ヒーターも内蔵されています。メーカー公称値では、周辺外気温-45℃まで冷却が可能であるとされています。この結露防止ヒーターのON/OFFはユーザーで切り替えることはできなさそうです。自宅近くでの試運転時は、20℃程度の東京の熱帯夜の中での撮影でしたが、0℃程度であれば2時間以上結露することなく冷却することができました!
この暑く、湿度も高い夏の環境での冷却は結露するリスクが高いですが、「miniCAM8」は比較的安心して使用できそうです。
3.ここがオススメ!「miniCAM8M」の魅力
この「miniCAM8M」の魅力は、ハードルの高いモノクロカメラでの天体撮影をお手軽に始められるところにあります!前回のブログでは、そのコンパクトで重量が軽いことなどをご紹介しましたが、その他のおススメポイントがこちらです!
- 価格面がお手軽!
通常であれば、モノクロカメラで本格的な天体撮影をしたいと思った場合、
1.モノクロ冷却CMOSカメラ
2.フィルターホイールもしくはフィルターホルダー
3.各フィルター L,R,G,B + SII,Hα,OIII
これら全てが「miniCAM8M Deep Sky コンボセット」では1つにまとまり2025年8月時点では、価格が¥129,800円(税込)です。!
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モノクロ撮影に 必要な物! |
miniCAM8M 同等の構成なら・・・ (税込価格) |
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冷却CMOSカメラ |
ZWO ASI585MM Pro ¥119,200円 |
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フィルターホイール
(フィルターホルダー)
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ZWO EFW-8 ¥51,000円 (ZWO フィルタードロワーM42-II ¥13,500円) |
| LRGB フィルター |
ZWO LRGB フィルターセット(1.25”) ¥25,200円 |
| SII,Hα,OIII フィルター |
ZWO ナローバンド(7nm)フィルター ¥62,900円 |
| 合計 |
フィルターホイールの場合 ¥258,300円 |
すべて、2025年8月時点での値段です。
このように本来であれば、必要な機材をあれこれそろえるのに費用も手間もかかってしまいますが、そんな中「miniCAM8M Deep Sky コンボセット」ならばすべてがセットになっておりリーズナブル!憧れのモノクロ天体撮影撮影へのハードルをぐっと低くすることができると思います。
- 短焦点鏡筒で高解像なクローズアップ撮影を!
今回の実写では「FS-60CB」を「FC/FSマルチフラットナー1.04×」の併用で撮影しました。この鏡筒と補正レンズの構成での焦点距離は370mmであり、フルサイズセンサーからAPS-Cセンサー等を使用した撮影では、広がった銀河や星雲の撮影に適しています。
ですが、この「miniCAM8M」で使用される「IMX585」センサーは1/1.2型のセンサーサイズとなっており、フルサイズ(35mm判)に対しての換算焦点距離が1,140mm程度になります!ピクセルピッチも2.9μmと細かいこともあり、
見かけの小さい天体のクローズアップ撮影を高解像度で行うことができます!
今までは、一眼レフカメラなどでカラーの天体撮影を楽しんでいた方や、すでにZWO ASI2600MC Pro・Player One Poseidon-C Proなどの大きめのセンサーのカラーCMOSカメラで天体撮影をしていた方で、
★お手持ちの短焦点鏡筒を小さいセンサーによるクローズアップ撮影に使いたい
★SHO合成など可視光の色合い以外の撮影に興味がある!
★光害地からのフィルター併用のモノクロ撮影に挑戦したい!
という気持ちに応えてくれる製品だと思います。
以下、焦点距離が416mmとなるFCT-65D鏡筒+FC/FSマルチフラットナー+APS-Cセンサーカメラでの作例です。鏡筒やカメラは異なりますのでクローズアップのイメージを持つための参考としてご覧ください。
焦点距離416mm(鏡筒+補正レンズ)×フルサイズセンサー
だとこの構図になるものが・・・

FCT-65D鏡筒 +FC/FSマルチフラットナー1.04× ASI6200MC Proで撮影
タカハシwebサイトより
この構図になります!(焦点距離1140mm相当)
短焦点鏡筒のFS-60CB鏡筒やFCT-65D鏡筒で見かけの小さい星雲撮影にチャレンジしてはいかがしょうか!?色ハローが僅少でシャープな像を結ぶFCT-65Dならば、ピクセルピッチの細かいminiCAM8Mと組み合わせてもキレのある写真になるのではないかと思います!
4.miniCAM8シリーズの新機能「LiniarityHDR」モード
この「miniCAM8」シリーズには、QHYCCD社の新技術である「LiniarityHDR」モードが備わっています。前回のブログでもご紹介しましたが、このモードでは「ハイゲイン時のデータ」と「ローゲイン時のデータ」を統合して処理することで、本来であればセンサーのADCが12bitであるのに対して、16bit相当のダイナミックレンジを得ることができるというものだそうです。(ソフトウェア的アプローチにより12bitから16bitへ遷移させる際の直線性を補正しているようです。)
この「LiniarityHDR」モードはユーザー側でONとOFFが切り替えることができるので、撮影した画像がどのようになるのでしょうか。
試写画像が以下になります。
まずは、通常撮影と同様に12bitの階調の得られる「Full Resolution」モードの画像です。

ダーク・フラット等の処理なしの1枚撮り画像
次に、この「LiniarityHDR」モードでの撮影画像です。

ダーク・フラット等の処理なしの1枚撮り画像
撮影モード以外のカメラの設定や露光時間は、どちらも全く同じです。
しかし、画像をご覧になるとわかるかと思いますが、ゲイン・オフセット値が「Liniarity HDR」モードでは、ゲインが9、オフセットが100となっています。どうやら、「Liniarity HDR」モードで撮影をする場合ゲイン・オフセットの値がユーザーでは設定できずデフォルトゲインで「N.I.N.A」で撮影した場合のFitsヘッダーにはゲインが9、オフセットが100と記述されるようです。(実際にその設定で撮影されているわけではなく、「Liniarity HDR」モードでの撮影情報が正しくFitsヘッダーに記述されていないという状況です。) そういったことが気になるようでしたら、通常仕様の「Full Resolution」モードをお使いください。
メーカーでは、この「Liniarity HDR」モードの使用を推奨しています。メーカーによると、バイアス、ダークやフラットフレームにおいても撮影時と同じ「Liniarity HDR」モードでの設定で良いそうです。今回、作例を撮影した際も「Liniarity HDR」モードを使用しましたが、特に問題なく使用できました。
5.最後に
使用してみて「miniCAM8」シリーズは、モノクロ天体撮影の第1歩としてオススメできるものだと感じました。DSO撮影用のCMOSカメラとしては、センサーサイズが小さいものとなっておりますが、そこも他の天体用CMOSカメラや一眼レフカメラとの差となり、選択肢が広がってよいと思います。
「miniCAM8」は当店にてお取り扱いしています。また、店頭で展示もしていますのでぜひご興味ありましたら、お立ち寄りください!