1月20日に発売され、魅力的なスペックで話題になっているSky Watcherの新型コンパクト赤道儀 Star Adventurer GTi。今回スタッフが試用してみましたので 、その結果をご紹介いたします。
・本体約2.9kg / 搭載可能重量約5kg
・照明付きの極軸望遠鏡が内蔵
・オートガイド端子あり
と魅力的なスペックで、「同社のEQ5GOTO赤道儀(搭載可能重量約9.1kg)ほど大がかりなものは要らないけれど、気軽に自動導入赤道儀を使いたい!」というニーズにベストマッチです。今回はこの赤道儀を頑丈な三脚と組み合わせたこちらのセット
を使って天体写真を撮影してみました。セット内容はこちらです。↓
■1/4"→3/8"変換アダプター(特別品)
一般的な端面に「ツバ」のあるタイプではStar Adventurer GTiマウントの下部と雲台アダプターとの間に隙間が出来てしまい、面どうしを合わせてしっかり固定することができません。このアダプターは「ツバ」の無い珍しいタイプで、マウント底面の内部に完全に埋め込めるのでしっかりと固定が出来ます。
■ビクセン 雲台アダプター (特別追加工品)
Star Adventurer GTi一式を三脚に載せるためのアダプターです。中央のカメラネジ1点で固定するタイプですが、裏面に大きな窪みがあることを利用して2箇所の抜け止めネジの追加工を施しました。抜け止めネジは2mmのヘクスキーで固定します。あまり強く締めなくても赤道儀を使用中に緩んでしまうリスクを大幅に減らせます。
ビクセンAP赤道儀とセットで使用されることの多い三脚です。本体は3.0kgと軽量ながら、ねじれ剛性が高く3段伸縮脚で高さ調整範囲が広いなど、機動性の高いStar Adventurer GTiにはベストマッチな三脚です。
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これらの組み合わせは当店オリジナルの「Star Adventurer GTi 強化型三脚セット」として販売しております。ぜひご検討ください。
さて、鏡筒を載せてみましょう。
この状態で撮影を行ってみました。風は微風でした。その結果がこちらです。
一コマあたり3分の露出を掛けて、オートガイド有りで撮影を行いました。今回は微風だったからか、星像が流れてしまうコマは1枚もありませんでした。
この拡大率で見ても星はしっかり円形を保っています。この日は気流も良かったのか、オートガイドはRMSエラーが1.5秒角ほどで良好な結果を得られました。今回のような使い方ならば天体撮影にも安心して使える組み合わせだと感じました。
こちらはFC-76DCU鏡筒一式(約2.5kg)を載せた状態です。この状態では天体撮影は行いませんでしたが、TOE-4.0mmを取り付けた142.5倍で特に不満なく天体観察ができました。このような高倍率で月や惑星をじっくり観察するのには、手動式架台よりも自動で追尾してくれる架台のほうが確実に快適です。この組み合わせでは電子観望も問題無く行えそうです。
Star Adventurer GTiの搭載可能重量の上限ギリギリ、FC-100DZ一式で約5kgになるように載せてみました。バランスウェイトは付属品だけでは足りませんでしたので、内径の同じ ビクセン バランスウェイトWT 1kg を追加しました。
微風の環境下では風によるブレはほぼ感じませんでしたが、ピント合わせのために鏡筒に触った後、手を離してから振動が収束するまで2秒ほど掛かりました。微動はスマホやタブレットから出来るので、その際に鏡筒に触れる(=ブレる)ことが無く、手動式の架台と比較すればとっても快適になります。眼視では100倍前後では快適に使用できます。200倍を超えると風による微振動が目に付きます。たとえばシリウスBを検出したいのでじっくり凝視する…といった用途には、この組み合わせではやや剛性不足の感があります。ですが月や惑星を高倍率で観察するにはストレスなくお使いいただけそうです。
※FC-100DCやFC-100DFはこれよりも軽いので、ブレの程度はさらに少なくなることが想像されます。
Star Adventurer GTi 強化型三脚セット は、全体で実測約9.0kgと搭載可能重量5kgの赤道儀一式としてはかなり軽量で、手持ち移動のニーズにも応えられるコンパクトで使い勝手の良い架台です。風が強くなければFS-60CBクラスでの本格的な天体撮影にも使えます。FC-100Dクラスでの眼視でも活躍できます。皆様の機材選びのご参考になれば幸いです。
※記事中の感想(眼視の際のブレが気になるかどうか等)はスタッフの主観です。人によっては感じ方が異なるかもしれません。どうかご了承ください。