スターベース東京のブログ

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焦点距離2000mmで銀河を大きくシャープに写せる! セレストロン EdgeHD800鏡筒

今回は「EdgeHD800鏡筒」をご紹介いたします。大口径シュミットカセグレンシリーズを得意とするセレストロン社の製品で、補正レンズを組み込むことで従来のシュミットカセグレンよりも周辺像をシャープにした鏡筒です。いわゆるビクセン互換のアリガタが取り付けられたEdgeHD800-CG5鏡筒を使って、弊店スタッフが天体写真を撮影してみました。

EdgeHD800-CG5鏡筒

 

EdgeHD800-CG5 のスペックと撮影システム

EdgeHD800-CG5鏡筒の基本スペックは口径203mm/焦点距離2000mm(F9.9)です。口径20cmの大口径でありながら重さは約6.4kgと比較的軽量で、多くの赤道儀で安定して使える扱いやすさも魅力です。そのままでも周辺までシャープな星像が得られますが、専用のレデューサーを取り付ければ焦点距離1422mm(F7)の状態で使えます。接眼部のリング接続はとってもシンプルです。↓↓↓

撮影用リング接続図

直焦点撮影では鏡筒の後端にTアダプターEdgeHD8用Tリングを接続します。レデューサー撮影時にはTアダプターのカメラ側部分を外し、それ以外は同様に使用します。撮影状態の切り替えにリングの無駄がありません。

※レデューサー撮影時にはTアダプターの後端外径が小さいため、内外ネジ式のアダプターリングを併用して冷却CMOSカメラをねじ込む方式はネジが端面で止まらず不向きです。Tリングを使用して接続したほうが確実です。

 

直焦点での撮影(月)

まずは直焦点の状態で、35mmフルサイズのSONY α7RIVを使って朝の月を撮影してみました。

EdgeHD800-CG5(直焦点) + SONY α7RIV トリミング無し

 

EdgeHD800-CG5(直焦点) + SONY α7RIV トリミング無し

APS-Cセンサーでは満月がはみ出てしまう大きさです。直焦点でも月面の全体でクレーター群がシャープに写るので気持ちいいです。周辺減光の具合が分かりやすいのでトリミング無しで掲載いたしました。フルサイズの四隅以外では急激な光量低下はありません。

 

直焦点での撮影(夜間)

ここからは夜間の撮影結果をご紹介します。

鏡筒を屋外へ出してから念のため1.5時間ほど待ち(温度順応)、そのあと直焦点状態でオリオン大星雲を撮影してみました。

EdgeHD800(直焦点)+ ZWO ASI2600MC Pro + ※フィルター無し、フードあり
Gain100、冷却-15℃、オフセット20、1分露出×60枚 中程度の光害地にて撮影

※最近は大気の揺らぎでぼやけた星像をシャープに復元する画像処理が流行っていますが、これまで本ブログでご紹介してきた天体写真と同様に、今回もそのような処理は行わずに結果をご紹介いたします。

 

焦点距離2000mmの鏡筒にAPS-Cセンサーなので換算焦点距離は約3000mmとなります。M42が画面に収まらないほどで大迫力な写りです。このような大型の星雲では画面いっぱいに星雲が広がって写ることになりますから、その星雲を中心から周辺までシャープに写すには、周辺像の良いEdgeHD800のような鏡筒が適しています。

 

オリオン大星雲が西に傾いてきたので、その後は筒先を東の空へ向け、春の銀河からNGC4565を選びました。機材構成は同じです。

EdgeHD800(直焦点)+ ZWO ASI2600MC Pro ※フィルター無し、フードあり
Gain100、冷却-15℃、オフセット20、1分露出×240枚 中程度の光害地にて撮影

モノクロ冷却CMOSカメラでナローバンド撮影も行いました。F9.9の「暗い」光学系、しかも可視光のほとんどを遮断してしまうナローバンドフィルターを使った撮影ですが、じっくり撮影することで星雲のディテールをダイナミックに表現できました。

EdgeHD800(直焦点)+ ZWO ASI294MM Pro + OPTOLONG Ha 7nm ※フードあり
Gain120、冷却-15℃、オフセット20、1分露出×600枚 中程度の光害地にて撮影

 

レデューサを利用した撮影

専用のレデューサーを使用した場合の作例です。対象は先ほどと同じくオリオン大星雲ですが、F9.9→F7と明るくなることで、同じ感度なら約半分の露出時間で同等の明るさの結果を得られることになります。APS-Cの範囲では周辺像までシャープです。夏から冬までは大型の銀河や星雲が多く見られますから、そのような時期にはレデューサーが大活躍します。

EdgeHD800 + レデューサー + ZWO ASI2600MC Pro + LPR-N ※フードあり
Gain100、冷却-15℃、オフセット20、1分露出×80枚 中程度の光害地にて撮影

 

撮影時のシステム、オプションパーツなど

今回は以下のシステムで撮影を行いました。赤道儀はタカハシ90S(当時のカタログでは搭載可能重量=9kg, MAX12kg)です。迷光と夜露の対策には専用の対物フードを使用しました。底面のビクセン互換アリガタが長いのを利用して、鏡筒の先端下部にガイド鏡を吊り下げています。

※オートガイドはQHY Mini Guide Scope と一般的なカラーCMOSカメラ(ZWO ASI290MC)を使用しました。この構成で一コマ1分の撮影を行ったところ、95%以上のコマで星像がきちんと円形になりました。コマ間の星像のずれもほとんどなく、この様子なら一コマあたり3-5分の露出を掛けても星像が流れることはなさそうです。

 

対物フードはアリガタに干渉しないよう切り込みが設けられています。その部分だけ他と強度が変わるため、鏡筒へ取り付けた際にはやや楕円状に丸まってしまいますが、今回はケラレの影響はありませんでした。多少の風がありましたが撮影中にフードがずれることも無く、安心して使える良いフードだと感じました。

 

最近MORE BLUEさんから便利なアリミゾ金具「AU111」が発売されました。これを使ってガイド鏡まわりをブラッシュアップしてみました。シンプルで使いやすい構成になります。上記のようにオートガイドはカラータイプのCMOSカメラでも大丈夫ですから、惑星撮影とオートガイド用カメラを兼用するつもりで揃えていただくのもよさそうです。

各種接続例

ガイドカメラからのケーブルの取り回しについては、ケーブルがカメラ後面から出るタイプよりも側面から出るタイプのほうが干渉の心配が減ります。

MORE BLUE 「AU111」を使用したオートガイド接続の例

 

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今回は銀河や星雲の撮影を行いましたが、口径20cmの集光力を活かして淡い天体の観察や惑星撮影にも活躍できる鏡筒です。筒先に補正板があるので鏡筒内が汚れにくく、メンテナンス性が高いのもGood。通常タイプのシュミットカセグレン鏡筒 C8 SCT OTA CG5 よりもお値段は上がりますが、さまざまな用途でハイパフォーマンスを提供してくれる、魅力的な鏡筒です!

 

※今回の鏡筒は大口径&長焦点で、加えて冬の悪シーイングの影響で星像が小刻みに震えたり肥大したりします。星像の大きさを見ているだけではベストピント位置がどこにあるか分かりません。そんな時にフォーカシングマスクが大活躍しました。こちらの記事もあわせてご覧ください! ↓↓↓

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