TOA-645フラットナーを利用することで、TOAシリーズ鏡筒の撮影時の性能を最大限に引き出すことが可能であることは以前のブログ記事でも紹介した通りですが、実際に冷却CMOSカメラ等を使って天体撮影する場合などには光害の影響を低減したり、星雲などの淡い天体を強調したりするためにフィルターを使用する場合が多いかと思います。
フィルターにはその他にも多くのメリットがある一方で、ケラレやハロ、ゴーストが発生するなどのデメリットもあります。
今回はTOA-130N+TOA-645フラットナーというハイクオリティな組合わせに対してフィルターを使用した際のハロの出方についてご紹介したいと思います。
フィルターはLPR-Nを用いました。カラーバランス重視型のフィルターです。
以下の記事でもご紹介しておりますので合わせてご覧ください。
その他共通の撮影設定等は以下のとおりです。
・光学系 TOA-130NFB + TOA-645フラットナー
・カメラ ZWO ASI2600MC Pro (カメラマウント仕様で接続)
・フィルター LPR-Nフィルター(48mm)
・撮影地 茨城県取手市
・カメラ設定 ゲイン100、オフセット20、冷却温度-15℃、1コマ1分、ダークフラット補正あり
フィルターの位置を、「マウントアダプター内に配置」、「カメラマウントDX-WRの先端に配置」の二通りで試してみました。
上の画像をご覧いただければ分かる通り、後者のほうがセンサーから遠い位置にフィルターを配置していることになります。センサーから遠ければ遠いほど、ゴーストも大きく淡く写ることになりますので、これが強調しても無視できる程度に淡くなれば良いと考えられるでしょう。
実際に撮影した画像を見てみます。
マウントアダプター内に配置した場合
画像はいずれもスタック後にASIFitsViewの自動ストレッチのみ処理しています。
馬頭星雲の例を見ますと、アルニタクの周囲にフィルター由来のそこそこ目立つハロがあるのがわかります。一方M42の例では、明るい輝星が少ないのであまりハロは目立ちません。
カメラマウントDX-WRの先端に配置した場合
一方カメラマウントDX-WR先端にフィルターを置くと、アルニタクのハロもほとんど目立たないレベルで改善しました。
露光時間によるノイズの違いなどの細かい差はありますが、アルニタクに注目すればその差は歴然です。
光学系によっては今回のように複数の場所にフィルターを組み込める場合がございますので、撮影対象によって最適な組み込み場所を探してみると、ハロやゴーストが改善するかもしれません*1。
当店でもあらゆるフィルター、あらゆる光学系、あらゆるフィルター設置場所で撮影を試したわけではありませんが、撮影対象や光学系によるフィルター位置のご提案についてはぜひお問い合わせいただければと思います!
*1:ただし、場所によっては同じフィルター径でも微妙にネジピッチが異なりねじ込みで組み込めない場合もございます。また、撮影中に光学系をばらして組み込み直すのは神経を使い、手間がかかる作業ですので、そのことを十分ご理解の上でご参考になればと思います。