先日取り扱いを開始した「Omegon Mount Mini Track LX3セット」ですが、ようやく実地で使う機会に恵まれました。スタッフはNEAF2019の出張時、現地で個人的に「LX2」(搭載重量2kg)を購入し愛用していましたが、今回の「LX3」(搭載重量3kg)はその後発売された新商品です。綺麗な星空のもとに持ち出して使うことで、いろいろなことを実感しましたので、それを皆様にお届けできればと思います。
LX3の使い方は以下の通りです。
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①カメラを取り付けてから北に向けて設置
②ゼンマイを巻く
③構図合わせ
④必要に応じて裏面のスプリングでテンション調整
⑤撮影スタート
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まずは設置です。付属の極軸望遠鏡はLX3本体にはめこんだまま自由に回転できます。北斗七星またはカシオペア座を使って回転向きを合わせたら、指定された場所(中央の円上の小円内)に北極星が来るように設置すれば完了です。
とはいえ、広角レンズでの星景写真撮影であればここまでの精度が不要な場合も多く、「極軸望遠鏡の視野の中央あたりに北極星が見えればOK」くらいのざっくりしたセットアップでも実用に困らない精度で極軸合わせが可能です。
LX3セットでは【極軸望遠鏡が標準で付属】するので、「筐体の北極星のぞき穴を使う」等といった方法よりも客観的に、かつ正確に極軸を合わせられるので嬉しいですね!
極軸望遠鏡は、空のじゅうぶん暗い場所で使うとスケールパターンが見えないことがあります。広角レンズでの1枚撮りがメインであれば、視野の中央あたりに北極星が見える程度の精度で十分ですが、厳密にスケールパターンを使いたい場合は対物側からヘッドライトやスマートフォンの画面などの明かりで照らして使ってください。
設置が完了したら本体のぜんまいを巻きます。最後まで巻くと、そこから60分の連続駆動が可能です。同じ構図で連続撮影してコンポジットするような使い方でなければ、「構図を変えるたびにとりあえず追加で巻いておく」ことにすれば手間はほぼゼロで、追尾が停止してしまう心配がありませんから安心です。
構図を合わせたとき、載せたカメラの荷重がぜんまいの巻き戻りを妨げる方向に掛かっている場合は、本体裏面のスプリングとフックを使って負荷の調整ができます。今回使ったのはCanon EOS6DとTAMRON A012 (15-30mm F2.8)で、付属の雲台と合わせて合計約2.2kgですが、どちらの方角を撮影する場合でもスプリングとフックを使えば正常な追尾ができました。この日は風が強く、常に体感5~10m/sほどの風が吹きつけていましたが、LX3は本体の剛性が高く、また三脚や雲台などの周辺機材との接合部分がしなってしまうようなこともありませんでした。
上の写真の場合、スプリングのテンションが最も強く掛かるようにフックを掛けると、追尾速度が日周運動の速さを超えてしまって星が流れて写りました。逆に、スプリングのテンションを最弱にすると追尾スピード不足です。載せる機材と向きによって、どのくらいのフック位置が最適なのか、あらかじめテストして慣れておくと良いと思います。
LX3セットは極軸望遠鏡と自由雲台が標準付属なので、三脚さえあればすぐにフル装備で撮影に臨めるのが魅力です。電池を使わないので、万が一夜露が降りた状態で長期間放置してしまっても電池の液漏れなどの心配がなく、「とりあえずいつものカメラバッグに入れておく」だけで日々の星空撮影がずっと快適になります!
追尾精度の目安として一コマ当たり 100 ÷ 35mm換算焦点距離 分まで大丈夫ということですが、今回は強めの風が吹きつける中でもこの数値を達成できたので安心しました。この数値は具体的には
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・焦点距離35mmで2分50秒
・焦点距離30mmで3分20秒
・焦点距離24mmで4分10秒
・焦点距離15mmで6分40秒
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は星を点にできるということなので、一般的な星空撮影には十分かと思います。
次回はLX3と中望遠レンズを使って、より厳密な追尾が問われる対象にチャレンジしてみたいと思います。
※撤収後、薄明開始直前の夜空を見上げたら、冬の天の川と黄道光のクロス、純白に輝く金星がとってもきれいでした。あわててカメラを再度取り出して撮影しましたが、固定撮影だったのでここまでです。もし追尾していれば、もっとシャッタースピードを長くできた→ISO感度を落とせた→ノイズが減った→よりなめらかな画質になった のに…とすこし後悔しています。「いや、こういう時こそLX3を使いなさいよ!」と突っ込まれてしまいそうですね。